札幌市豊平区の
税理士 溝江諭(みぞえさとし) です。
先日(2009年6月9日)の朝日新聞朝刊の社会面に、香川県の
宗教法人「宇宙真理学会」が長野県など中部地方を中心にラブホテルを経営し、関東信越
国税局から約14億円の所得隠しを指摘されていたことが分かった、という記事が掲載されています。
そのタイトルは横書きの太文字で「
休憩料 お布施扱い」とされ、さらに縦書きタイトルまでついています。それには「ホテル経営の
宗教法人 所得隠し」と黒地に白抜きの文字が使われ、非常に目立つようになっています。また、横文字タイトルのすぐ下には、ホテル入り口にある看板の写真が掲載されており、「ご
休憩3000円、ご宿泊5000円より」という縦看板のすぐ右側には高さ2m以上もありそうな観音像が写っており、その観音様がホテル出入り口を微笑みながら見下ろしているという構成となっています。
この記事をはじめて目にしたとき、横太文字のタイトル「
休憩料 お布施扱い」にまずびっくり。「なに、
休憩料がお布施とはどういうことだ?」一目で理解できず、頭が混乱し、脳の中を撹拌棒で引っ掻き回されたような感じがしました。次に縦書きタイトル「ホテル経営の
宗教法人 所得隠し」に目が移って、少し納得。「そうか、脱税か?」
記事によると、経営者が休眠状態だった
宗教法人を買い取った可能性があり、ホテルの部屋には、「世界の恵まれない子どもたちに喜捨をおねがいします」「少しでも多くの幼い命を救うために」などと書かれた張り紙があり、ホテル側では、客から得た
休憩料や宿泊料の6割ほどだけを売上とし、残りは客からのお布施(喜捨)扱いにしていた模様だ、となっています。さらに、追徴税額は重
加算税を含めて約3億円。
宗教法人は
国税の指摘を不服として戦う姿勢を見せているとのことです。
なるほど、世の中にはいろいろと考える人がいるのですね。
そうそう、写真の下には、「キーワード」として、「
宗教法人の税制」が次のように解説されています。
「お布施など宗教行為に伴う所得は非
収益事業として
非課税扱いで、旅館業や物品販売業など
法人税法で定められた
収益事業の所得のみに課税される。また、他の公益
法人同様に「みなし
寄付金制度」があり、
収益事業で得た収入の2割を非
収益事業に充当できるうえ、残った所得に対する税率も22%に優遇されている。」(注1)
この記事を読み終わったときの私の感想は以下のとおりです。
1 この記事だけでは、
宗教法人の分が悪いように感じられますが、詳細が不明なのでなんとも言えません。
国税に対して戦う姿勢をとっているということは、納税者は自己を正当化できるなんらかの反証をもっているのかもしれません。
2 経営者は脱税を指摘されたときに備えて、税率の低い
宗教法人の形態を利用した確信犯とも考えられます。
3 そもそもラブホテルの経営などを
宗教法人の
収益事業として認める必要などあるのでしょうか。公益
法人等は
収益事業を営むことができないという規定があってもよいのではないかと考えます。
4 公益
法人等は軽減税率で優遇されているのですから、「みなし
寄付金」は不要の制度ではないかと思われます。
5 公益
法人等の
収益事業に関する優遇税率18%も不要、中小
法人である普通
法人と同じ30%(軽減税率18%)でも良いのではないでしょうか。
普通
法人が行う事業と公益
法人等が行う
収益事業の質的違いが明らかに存在するのであれば公益
法人等の優遇規定は必要でしょうが、明確な違いがないのであれば、上記の3,4,5はすぐにでも検討すべき課題であると思います。
政治家や官僚の皆さんには、将来の財政改革の方策として、安易に
消費税の税率アップに頼るのではなく、公益
法人等への課税拡大のように「
消費税以外の直接税の税収アップ」をまずは目指してもらいたいものです。
みなさんはどう思われますか?
その他のためになる情報は
http://www.ksc-kaikei.com/
See you next !
(注1)本年2009年4月1日以後終了事業年度は、税率が18%とされています。
*****************************************************************
『ズバリ節税99 一問一答』 好評無料進呈中!!
『予約制 30分無料相談』 実施中!!
札幌市豊平区
税理士 溝江 諭 KSC
会計事務所
http://www.ksc-kaikei.com/
札幌学院大学 客員教授 溝江 諭
税務会計論担当
*****************************************************************
札幌市豊平区の 税理士 溝江諭(みぞえさとし) です。
先日(2009年6月9日)の朝日新聞朝刊の社会面に、香川県の宗教法人「宇宙真理学会」が長野県など中部地方を中心にラブホテルを経営し、関東信越国税局から約14億円の所得隠しを指摘されていたことが分かった、という記事が掲載されています。
そのタイトルは横書きの太文字で「休憩料 お布施扱い」とされ、さらに縦書きタイトルまでついています。それには「ホテル経営の宗教法人 所得隠し」と黒地に白抜きの文字が使われ、非常に目立つようになっています。また、横文字タイトルのすぐ下には、ホテル入り口にある看板の写真が掲載されており、「ご休憩3000円、ご宿泊5000円より」という縦看板のすぐ右側には高さ2m以上もありそうな観音像が写っており、その観音様がホテル出入り口を微笑みながら見下ろしているという構成となっています。
この記事をはじめて目にしたとき、横太文字のタイトル「休憩料 お布施扱い」にまずびっくり。「なに、休憩料がお布施とはどういうことだ?」一目で理解できず、頭が混乱し、脳の中を撹拌棒で引っ掻き回されたような感じがしました。次に縦書きタイトル「ホテル経営の宗教法人 所得隠し」に目が移って、少し納得。「そうか、脱税か?」
記事によると、経営者が休眠状態だった宗教法人を買い取った可能性があり、ホテルの部屋には、「世界の恵まれない子どもたちに喜捨をおねがいします」「少しでも多くの幼い命を救うために」などと書かれた張り紙があり、ホテル側では、客から得た休憩料や宿泊料の6割ほどだけを売上とし、残りは客からのお布施(喜捨)扱いにしていた模様だ、となっています。さらに、追徴税額は重加算税を含めて約3億円。宗教法人は国税の指摘を不服として戦う姿勢を見せているとのことです。
なるほど、世の中にはいろいろと考える人がいるのですね。
そうそう、写真の下には、「キーワード」として、「宗教法人の税制」が次のように解説されています。
「お布施など宗教行為に伴う所得は非収益事業として非課税扱いで、旅館業や物品販売業など法人税法で定められた収益事業の所得のみに課税される。また、他の公益法人同様に「みなし寄付金制度」があり、収益事業で得た収入の2割を非収益事業に充当できるうえ、残った所得に対する税率も22%に優遇されている。」(注1)
この記事を読み終わったときの私の感想は以下のとおりです。
1 この記事だけでは、宗教法人の分が悪いように感じられますが、詳細が不明なのでなんとも言えません。国税に対して戦う姿勢をとっているということは、納税者は自己を正当化できるなんらかの反証をもっているのかもしれません。
2 経営者は脱税を指摘されたときに備えて、税率の低い宗教法人の形態を利用した確信犯とも考えられます。
3 そもそもラブホテルの経営などを宗教法人の収益事業として認める必要などあるのでしょうか。公益法人等は収益事業を営むことができないという規定があってもよいのではないかと考えます。
4 公益法人等は軽減税率で優遇されているのですから、「みなし寄付金」は不要の制度ではないかと思われます。
5 公益法人等の収益事業に関する優遇税率18%も不要、中小法人である普通法人と同じ30%(軽減税率18%)でも良いのではないでしょうか。
普通法人が行う事業と公益法人等が行う収益事業の質的違いが明らかに存在するのであれば公益法人等の優遇規定は必要でしょうが、明確な違いがないのであれば、上記の3,4,5はすぐにでも検討すべき課題であると思います。
政治家や官僚の皆さんには、将来の財政改革の方策として、安易に消費税の税率アップに頼るのではなく、公益法人等への課税拡大のように「消費税以外の直接税の税収アップ」をまずは目指してもらいたいものです。
みなさんはどう思われますか?
その他のためになる情報は
http://www.ksc-kaikei.com/
See you next !
(注1)本年2009年4月1日以後終了事業年度は、税率が18%とされています。
*****************************************************************
『ズバリ節税99 一問一答』 好評無料進呈中!!
『予約制 30分無料相談』 実施中!!
札幌市豊平区 税理士 溝江 諭 KSC会計事務所
http://www.ksc-kaikei.com/
札幌学院大学 客員教授 溝江 諭 税務会計論担当
*****************************************************************