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企業の裁判員制度への対応

平成21年7月15日 第70号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
───────────────────────────────────
目次

1.企業の裁判員制度への対応
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ブログもよろしくお願い致します。
人事のブレーン社会保険労務士日記」です。
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1.企業の裁判員制度への対応

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<1> はじめに

平成21年5月より裁判員制度が始まりました。
4月に八王子ひまわり法律事務所の狩集英昭弁護士に裁判員制度への企業の準
備について講演をして頂きました。
その後も問い合わせが多く、一度メルマガのテーマにしようと思い今回執筆す
ることとした。

<2> 裁判員制度の概要

(1)裁判員裁判とは
 
 情報管理を行う場合に、裁判員制度の概要の理解がないと対策が十分に行え
ないとの観点から簡潔に概要をお話しする。

まず、職業裁判官3名と裁判員6名の合計9名の合議制で行う。
そしてこの合議で「有罪か無罪か」「有罪とした場合の刑量」を決める。

(2)対象となる事件

 重大な刑事事件であり、具体的には殺人、強盗致死傷、強姦致死傷、傷害致
死、強制わいせつ致死、強盗強姦、覚醒剤取締法違反、偽造通貨行使、通貨偽
造、集団強姦致死傷、麻薬特例法違反、危険運転致死、現住建造物等放火、身
代金目的誘拐、保護責任者遺棄致死、爆発物取締罰則違反、銃砲刀剣類所持等
取締法違反等の犯罪である。

(3)選任までの流れと企業への報告のタイミング

 (前年秋頃)候補者名簿の作成
 ・選挙権のある人の中から、翌年の裁判員候補者となる人を毎年くじで選び、
  裁判所ごとに裁判員候補者名簿を作成する。

 (前年12月頃)裁判員候補者への通知・調査票の送付
 ・企業の対応として、この通知が来た場合には直ちに会社の然るべき部署へ
  知らせるという規定を設けておくことが、スムーズな企業運営に欠かせな
  いと考える。

 ・調査票の返送
  調査票の記載から、明らかに裁判員になることが出来ない人や1年を通じ
  て辞退事由が認められる人は裁判所に呼ばれることはない。
  
 (事件ごと)裁判員候補者がくじで選ばれる。

 (選任手続期日6~8週間前)選任手続期日のお知らせ(呼出状)・質問票の送付
 ・裁判員を務めるであろう予定期間が記載されており、辞退の事由等を記載
  して返送
 ・質問票の記載から辞退事由が認められる場合には、呼出を取り消され裁判
  所へ行く必要はなくなる。
 ・この通知が来た場合には、会社の然るべき部署へ直ちに報告し、その期間
  の業務の調整を行う必要がある。これもしっかりと規定化すべきである。
 
(選任手続期日)裁判当日の午前中
 ・裁判所で、候補者から裁判員を選ぶための手続き
  裁判長から辞退事由等の質問・・・この結果、裁判員になれない人や辞退
  が認められた候補は候補者から除外される。
 
  その後
 (裁判員となる人の決定)
 ・この段階で検察官と弁護士が面接し、各々4名までは裁判員に選任しない
  人を指名できる。残った候補者の中からくじ引きで裁判員6名を選任する。

<3> 裁判員に選任された場合の対策

(1)裁判員名簿記載と候補者選任の通知

 前述の通り、12月には翌年裁判員候補者名簿が作成され、この名簿に記載が
なければその一年間は裁判員となることはない。
 逆に、この名簿に記載されている場合については裁判員となる可能性がある
わけであり、この時点で会社に報告をしてもらう必要がある。
 年間を通じて裁判員に選任される可能性があるのであれば、それを踏まえて
人員体制を見直さなければならないからである。
 また、裁判期日の6週間から8週間前に裁判員候補者に選任された通知が来
るが、これも同様である。
 
(2)裁判員の選任と企業への報告

 裁判員に選任されたことを公にすることは禁じられている。
この公とは裁判員になったことを不特定多数に公表することで、企業への報告
はこれに該当しないとされている。
 なぜなら裁判員になったことを理由に不利益取り扱いを禁じており、当該労
働者の人事考課を行う人が裁判員に選任されたことを知らなければ「あいつは
何故今休んでいるのか」となり、不利益取り扱いされてしまう可能性がある。
 知るべき立場の人に報告して初めて不利益取り扱いの防止が対策として行え
る事となるのであり、報告することで労働者自身も自分の立場を守れるわけで
す。
 よって年末に名簿記載された場合や裁判員候補者になった場合には直ちに会
社に報告することが大切と考える。

(3)報告を受けた上司等の守秘義務

 裁判員となることについて報告を受けた上司にも当然守秘義務があり、知る
べき立場の人にしか話すことは出来ない。
 そもそも裁判員であることを公にしてはいけない理由は、その裁判員に事件
関係者が接触し、公正な審理が行われなかったり、危害が加えられたりするこ
とを防止するためであり、その裁判が終わるまでは公にすることは出来ない。
 この点は非常に情報コントロールが難しい点であり、小規模企業や小規模な
出先機関であれば、うすうす感づく人もあろう。
 筆者が考える裁判員制度の最大の問題はこの点である。

<4>裁判員守秘義務

(1)裁判員に選任されたことの守秘義務
 裁判員になったことの守秘義務は裁判が終われば課されない。
これは前述の通り、事件関係者が裁判員に接触することを防ぐ為のものである
からだ。
 
(2)審理内容の守秘義務
 公開の法廷で審議されたことは、公になっているのでこれは守秘義務が課さ
れていない。
守秘義務が課されているのは裁判官と裁判員で合議した内容である。
 合議は非公開で行われ、裁判官や裁判員が自由に意見を述べる。
この内容を公にすることは裁判が終わった後も許されない。
生涯守秘義務が課されている。
 この審理内容が公開されれば、被告人やその関係者からの報復を恐れて何も
言えなくなる可能性もあり、またその裁判員がどの様な信条を持っているのか
も知らしめることになるからである。
 この守秘義務は一般人にとって非常に厳しいものである。

<5>まとめ

 裁判員に選ばれて会社を欠勤した場合には、当然ノーワークノーペイの原則
どおり賃金を支払う必要はない。
 中小企業では、賃金を支払わない企業が多数であるというのが筆者の感想で
ある。
裁判員制度が始まった以上は、企業としてしっかりと対策を立て、特に人員面、
情報管理面を考えていくべきである。

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編集責任者 特定社会保険労務士 山本 法史
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