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セクハラ対策

◆事例:セクハラ対策

 女子社員から休憩室のヌードカレンダーを何とかして欲しいとの申し入れが
ありました。会社としてどのような措置をとればいいでしょうか。

◇回答----------------------------------------------------------------
 これは環境型のセクハラとなります。セクハラ行為は直接の言動だけでなく、
職場環境を害するような事実行為も含まれます。会社としては、このような事
例もセクハラになる旨を周知し、速やかに撤去する必要があります。

■解説----------------------------------------------------------------

 セクハラ(セクシャルハラスメント)は個人の受け止め方に相違があり、難
しい問題です。元々は女性の人権問題に端を発したものですが、男女雇用機会
均等法の施行も相まって女性の職場進出も盛んになり、避けて通れないものと
なっています。もちろんセクハラを放置すれば、いま流行の「訴えてやる」じ
ゃないですが、損害賠償を求められることさえあります。まして新聞ネタにな
れば会社名までバレて赤っ恥をかくはめになります。

 セクハラのパターンとしては、女性の労働条件に直接的に不利益を与える
「対価型」と、就業環境を害する「環境型」とに分かれるようですが、特に環
境型には留意が必要です。

 具体的事例は役所のパンフレット等にあるので省略しますが、職場での性的
言動が全てセクハラになるわけでもありません。一切の性的言動を禁止しては
業務に支障が出る他、職場がギスギスしてたまったものではありません。あく
までも性的言動に関わる人の地位や年齢、婚姻歴、職務上の立場、場所、反復
性等を総合的に勘案して判断されるものです。

 判例等を要約すれば、社会的見地から受忍限度を超えるようなケースはアウ
トです。受忍限度の判断も、平均的な女性の感じ方を基準にしているようです
が、実際の言動により感じ方は人それぞれですので明確な基準はないようです。
それにしても、判例に載るようなケースはワンマンを通り越したゴウマン社長
でひどいのが多いですね。訴えられて当たり前です。

 普通の良識ある職場であれば、セクハラの基準云々を細かく認識するまでも
ないはずです。要は「人の嫌がることをするな」ってだけの話。でも最近はこ
の常識が通用しなくなってきましたね。

ところで一般的なセクハラ対策としては、労働省指針にもありますが、
・規程等で方針を明確化し、周知啓蒙を図る。
・相談、苦情等の窓口を設置する。
・発生時には迅速適切な対応を図る。
・事案のプライバシーを保護する。
等の対策を講ずることとされています。

 さらに充分な対応を図る場合には、社員研修のメニューに取り入れる、現場
に信頼をもたれている女性管理職を相談窓口に置く、匿名の投書により現場の
声を拾い上げる等の方法も考えられます。製造業の方なら詳しいでしょうが、
手法としては安全対策や業務改善、QCサークルのやり方に準じた方法が取り組
みやすいかも知れません。

 この問題は、潜在する問題を顕在化することが大切です。例えばヒヤリハッ
ト活動の手法で問題をあぶり出す、セクハラパトロールを行う、問題点があれ
ば横展開を図る、セクハラ委員会を設ける等です。

 最も重要なことは、経営トップの決意です。担当者だけシャカリキになって
もナメられるだけ。決意を示すためにトップ自ら明言する等がいいでしょう。
 なお、セクハラ対策での留意点として、あまりギチギチにしてしまうと職場
の雰囲気が窮屈になり、逆に女性を遠ざけてしまう方向になったりします。運
営方法は職場全体の意思を踏まえて柔軟に行う必要があります。

 この問題は個々人の意識や文化に根ざしたものなので長期的視野に立った対
応がポイントです。当面は、非常識な事例は即改善させるとしても、判断に難
しいケースは職場の意見を踏まえた上で対策を講じた方がいいでしょう。
 セクハラに限らず人事労務問題全般に関しても言えますが、性急な効果を求
めるのではなく、まずは意識改革の醸成を主眼とし、問題があれば改善すると
の意思を周知し、忌憚なく意見が出てくるような職場づくりをめざすことが大
切です。


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