相談の広場
タイトルどおりですが、傷病による年次有給休暇取得の場合に診断書を強制的に提出させることは可能でしょうか?
会社規定(就業規則)では、傷病による欠勤は1週間以上に
及ぶ場合、診断書の提出を義務付けていますが、年次有給休暇の場合の明記はありません。
そもそも年次有給休暇の利用目的を干渉することが禁止されているはずですので、当社では取得する際に理由を確認していません。
先日、本社より年次有給休暇であっても、傷病によるものであれば診断書を提出させるようにとの指示があったのですが、どこにもそのような規定がないのでどうしたものかと悩んでいます。
もともと事前の理由確認をしていないので、1週間以上年休を取得している職員に対し、いちいち個別に理由を確認しなければならないので非常に面倒だという思いもあります。
○規定がないのに診断書の提出を義務付けてもいいのか
○もしダメであれば、規定をつくれば義務付けていいのか
ご教示ください。
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「年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨である」(S48・3・2最高裁第二小法廷判決)
という判例がありますから、
労働者には取得理由を告知する義務はありません。
取得理由が記載されていようがされていなかろうが、“拒否”はできない(時期変更権の行使は可能ですが)ことから、
記載させる意味がないということで、記載を求めないところがほとんどなわけです。
診断書の提出を求めること自体は問題ないと思いますが、御社が診断書の提出を求めたとしても、
上記の理由から、診断書の提出を拒否したことを理由に年次有給休暇の取得を拒否することはできません。
とはいえ、運用上、取得理由によって、
使用者側が時期変更権を行使するかどうかが分かれる面もあるかと思います。
たとえば、休まれると業務に支障をきたす場合などは、時期変更権の行使が認められていますが、
病気なのに時期変更権を行使するのは困るだろうから、時期変更権は行使しないであげよう、
というような判断がされるようなケースも考えられるわけです。
ですから、もし診断書の提出を求めるとしても、
それがなければ年休の取得を認めないというのではなく、
診断書がある場合は時期変更権の行使が必要な場合でも考慮しますよ、
というくらいでのスタンスで運用すべきだと思います。
> 本社の意図としては【診断書を提出しないなら、年休の取得を認めない】というよりは、単に【従業員の健康状態を把握する為】という意味合いが強いようです。
前レスでもお話しましたとおり、年次有給休暇は取得理由を問わないことになっていますから、
従業員の健康状態を把握するためというようなものは、提出を義務付けるだけの合理的理由があるとは言えないでしょうね。
ただ、事後申請の場合に限っては、診断書の提出を求めることも可能かと思います。
というのは、年次有給休暇は、原則的には事前に申請することが前提となります。
(事後では、事業者が時期変更権を行使する余地がなくなってしまうため)
このため、事後申請を認めるかどうかは、使用者の裁量に委ねられています。
ですから、診断書の提出をもって事後申請を認めるかどうかを判断するという処理をしたとしても、
それには合理的な理由があると言えるでしょう。
たしかに診断書も無料ではないので要求しづらいという面もありますし、
プライバシーの侵害だと感じる方もいらっしゃるでしょう。
でも、診断書を提出するのがイヤだと言うなら、年次有給休暇の事後申請をしなければいいわけですよね。
そもそも、会社側には事後申請の年次有給休暇を認める義務はないわけですし。
したがって、
「傷病による欠勤を事後申請によって年次有給休暇とする場合は、診断書を提出すること」
というような運用をする分には、特に問題はないと考えます。
結局のところ、「年次有給休暇は取得理由を問わない」という原則がある以上、
事前に申請がされている限りは診断書の提出を義務付けることはできない(従業員には提出する義務はない)ということと、
時期変更権を行使するか否か、事後申請を認めるか否かの判断材料として、
任意で診断書を提出してもらうくらいが限界ということを本社に理解してもらうしかないのではないでしょうか?
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