相談の広場
不渡手形の付箋についてお伺したいのですが、
不渡り手形の場合、銀行から付箋がついて返却されますが、この「付箋」にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
いままで、上司から「付箋は2回はつけておいたほうが良い」と聞いたこともあり、先月不渡り手形を出した取引先の手形(数か月分ある場合)を今月も銀行に回して、付箋をつけておりました。
貸倒損失を計上する場合でも、取引停止後1年以上経過した場合など別要件が様々ですが、経理上は手形の付箋のメリットが見当たらず・・
また、手形の請求権等も聞きますが、実際は裁判所から破産通知が届くのが殆どで、付箋をつける意味がわかりません。
手形の取立料や、銀行へ行く時間等を考えますと、付箋が必要でないのなら、そのままにしておくのですが。
すみませんが、メリット・デメリットがありましたら教えていただきたいと思っております。宜しくお願いいたします。
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> 不渡手形の付箋についてお伺したいのですが、
> 不渡り手形の場合、銀行から付箋がついて返却されますが、この「付箋」にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
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> いままで、上司から「付箋は2回はつけておいたほうが良い」と聞いたこともあり、先月不渡り手形を出した取引先の手形(数か月分ある場合)を今月も銀行に回して、付箋をつけておりました。
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> 貸倒損失を計上する場合でも、取引停止後1年以上経過した場合など別要件が様々ですが、経理上は手形の付箋のメリットが見当たらず・・
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> また、手形の請求権等も聞きますが、実際は裁判所から破産通知が届くのが殆どで、付箋をつける意味がわかりません。
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> 手形の取立料や、銀行へ行く時間等を考えますと、付箋が必要でないのなら、そのままにしておくのですが。
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> すみませんが、メリット・デメリットがありましたら教えていただきたいと思っております。宜しくお願いいたします。
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「手形の不渡り」について、新入社員研修のさいの資料として使用しています。
手形の不渡とは、手形の決済資金が無く、手形の決済ができないことを言います。
手形の支払期日の欄に記載された「支払日」に、当該手形は取立に回され、手形の交換に出ます。
手形交換所から、決済銀行に手形が回され、決済資金があれば無事決済となりますが、資金が不足していれば、不渡として、手形を持ち込んだ人に不渡の付箋を付けて、「不渡手形」として返還されます。
このとき、手形には、付箋が貼られ、「資金不足」「銀行取引なし」などと書かれます。こうして、その手形は、振出人、もしくは引受人においては決済できなかったことになり、その後は、裏書人等に対する遡求となります。
手形の不渡が出ると、相手方は倒産だとか、手形が紙屑になったとか思いこんであきらめる人が実に多いのには驚きます。
手形を使って、何年も仕事をしながら、不渡になると、ただそれだけで、もう駄目だと、あきらめてきたというのですから、驚くばかりです。
手形の機能は、不渡の時にも支払が得られるように、手形の機能を充実させています。
まず、第一は約束手形の振出人と、為替手形の引受人の最終の絶対的な手形金支払義務であり、第二が担保機能を用意している点であり、この二つの制度で手形の流通を強化しているのです。
手形が不渡になったといっても、振出人などに対しては3年間は遡求できますから決して紙屑ではありません。
そして、何より重要なのは、手形金支払の担保機能として用意されている、手形の裏書制度であり、保証なのです。
裏書のある手形がほとんででしょう。裏書のない手形という方が少ないはずです。あまり信用のないとき、支払に不安があるときは、法人と、その代表者が裏書をしているはずです。何件か回って来ておれば、もっと良いわけです。それら裏書人が、手形金の支払を担保してくれるからです。
すなわち、手形が不渡になったら、まず直前の裏書人に手形を受け戻すように要求し、手形金額の返還を求め、手形金を返還してもらうのと引き替えに手形を返してやればいいのです。
したがって、直前の人が信用があれば、手形が不渡になっても、何の心配もないのです。
このように、不渡手形は、最終の所持人から振出人に至るまで、順次裏書人をさかのぼって、巻き戻されてくるのです。こうして、最初の裏書人、すなわち手形の振出人から直接手形の振出を受けた人まで戻ってくることになるのです。
さてこうのように、万が一、手形が不渡になったからといってもあきらめる必要はまったくなく、裏書人の記載があるかをみて、あれば安心して、裏書人の責任を追及すればよいのです。
万が一、裏書人がなくとも、最低でも3年間は追及できるので、じっくりと時をねらって、請求すればいいのです。
結論から申し上げますと「付箋」はとても重要なものです。
手形には呈示期間というものがあり、満期日(支払期日)+2取引日(銀行営業日)内に銀行に呈示(取りたてにまわす)必要があります。そこで、①呈示期間内に呈示された事実、②支払不能の事実(支払拒絶文言が付箋に記載されます)を証明してくれるのが、付箋の役割です。
重要な事は、前の裏書人に請求する権利(遡及権)は、この①と②を満たす付箋(「本日呈示されたけど、資金不足の事由で支払わない」等の文言が記載される)がないと行使できなくなりますので、注意が必要です。・・・うっかりして取りたてに回すのを忘れたら、遡及権は失効してしまいます(手形振出人への直接請求権は残っていますが、手形振出人を良く知らない場合が多いと思われ、やっかいかも)。
もっすこし、くわしく言えば、①の呈示期間を過ぎても取り立てはできますが、付箋に記載された文言が、「呈示期間内に呈示されていないので支払わない」と言う内容の文言で記載され返却されますので、残念ながらこの手形の遡及権の行使は失効してしまったと言う事です。
第1裏書で不渡り手形が発生した場合、その翌月、翌々月もその不渡り手形を出した取引先の手形を持っている場合は、付箋をつけるために銀行に取立をするのでしょうか?
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債権の行使には「請求」が必要で、その「請求の事実」と「支払拒絶された事実」を残す事が必要で、通常の借金取り立てでは、これを証拠として残すためには、内容証明や支払が無い事を証明する資料が必要になってきますが、手形は、取立てにまわし、付箋をつけてもらう事で、この資料がそろいます。
税務上でも、損金処理する際はこの付箋のついた手形が必要となってきます。
なお、補足説明ですが、最初に述べた、①の要件は、厳密に言うと、「適法な呈示が必要」というのが正しく、手形の形式要件が具備していること(手形振出人の印が無いとかは、手形の形式要件が具備していない等)及び、呈示期間内に呈示する事というのが正しいです。ここではわかりやすく手形の形式要件が具備していることを前提に述べて見ました。
さらに、小切手の場合は、付箋ではなく、裏面への支払拒絶文言の記載となり、付箋で帰ってきたものは、適法な呈示をしてなかったものがそうなりますので。奥が深いですね。ふう。
イチロー様
お返事ありがとうございます。
「付箋」の重要性について、とても詳しい説明ありがとうございます。
そこで、またまた質問があるのですが・・(すみません)
「税務上、損金処理する際は付箋のついた手形が必要」とありますが、
弊社(決算は一通り社内でまとめた後、顧問税理士に申告書を作成してもらっています)では、決算時に一度も不渡り手形を使用したことがありません。
というのは、
債権を取れる可能性もなく(夜逃げなど)、法手続(自己破産など)もない場合は、債権放棄通知を出して貸倒損失を計上し、自己破産の法手続きがある場合は、裁判所の通知書を証明書として貸倒損失を計上しております。
(税金対策の一つとして、出来るだけ損失は計上したいので)
不渡手形は、不渡りになった時点で、売掛金と受取手形の仕訳を起こして売掛金を増やします。貸倒損失計上時は、貸倒損失/売掛金の仕訳となります。
弊社の現在の処理方法よりもっと税務上良い方法があるのでしょうか(不渡り手形を使用して)?
すみませんが宜しくお願いいたします。
「税務上、損金処理する際は付箋のついた手形が必要」と書いたのは、税務上の損金の考え方から、私の考えを述べたものですので、平和の森さんのやりかたが実務上の業務フローだと思います(あくまでも、「考え方」を述べたと解釈して下さい)。
もう少し書きますと、税務上損金を計上する(それを税務署からも否認されない)為には、税務調査時にそれなりの説明をきちんとできるように、書類上の整備をしておく必要があります(請求したが、相手が事実上支払不能であった事の立証ができるようにしておく)。したがって手形のみでこれを示す場合は付箋が必要(請求したけど拒絶され、相手は支払不能等が立証できる)という考え方から、「付箋の効用として」、述べたものです。
もっとも、平和の森さんのご説明では、その資料として、「債権放棄通知」「裁判所の通知書」を使用するわけですから、十分だと思いますし、それが実務的だと思います。
いづれにせよ、手形小切手というものは単純だけど奥が深い・・と思います。
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