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会社を辞めて起業するときに気をつけるべき法律

退職前に注意すべきこと

 1)退職するまでは就業規則、社内規定を厳守しよう

 退職届が受理された後でも、正式な退職日までが、会社との労働契約

 間中であり、従業員就業規則をはじめとした会社の規則に従い、上司

 の指示・命令に従う義務があります。

 特に、退職後、独立・起業し、会社と競合するかも知れないような場合

 には注意しましょう。退職時には会社から何も言われなくとも、後で、

 起業後、「勤続期間中の就業規則違反」で訴えられるリスクがあります。

 また、勤務期間中や勤務時間中に、表だった起業の準備などの行為は厳

 禁です。退職前の取引先への挨拶などでも起業のことはあまり言及しな

 いように注意しましょう。後で、会社が取引先を回って、退職者の行動

 を聴きとり調査しているようなケースはよくあることです。


 2)モノや情報の持ち出しの疑いをかけられないように注意しよう

 退職後でよくあるのは、「○○は引継ぎを行わず勝手に辞めて言った無

 責任なやつ」発言。さらに悪いのが、「△△がない」・・「そう言えば

 以前○○が使っていたので、彼が持ち出したのに間違いない。警察に告

 訴しよう」などまで発展しているケースもあります。

 会社を辞めるときは、引き継ぎを確実に行い、自らは重要なモノや情報

 は全て返却したことと併せて、文書で確認をしておきましょう。

 引継完了書や物品返却書は、辞める会社の為ではなく、「自分の身を守

 る為に必要だ」と考えておいた方が良いでしょう。

 特に、顧客データや商品データ、個人データなど、会社の機密情報や個

 人情報に関連しそうな情報はしっかり返却を行ない、自ら、「返却届け」

 を作成し、返却したものを一覧にして、「引継完了書」確認の署名また

 は押印をもらうようにしておけば完璧でしょう。


■ 会社を辞めて起業するときに気をつけるべき法律

 上述したように、就業期間中は「労働契約の遵守、誠実義務」がありま

 すので、就業規則や会社の規定、命令・指示などには従わなければなり

 ません。また、同時に会社との「競合避止義務」も課せられています。


 退職後は、労働契約は終了していますので、退職前のような義務は原則

 なくなります。しかしながら、会社を辞めて「起業する」場合や、会社

 と競合する会社に就職するような場合には、特に気をつけなればならな

 いことがあります。

 「競合避止義務」と「営業秘密不正取得・利用行為等」です。


1)「競合避止義務違反」は限定的だが対象の場合は注意が必要

 労働契約中に従業員が「競合避止義務」を負うのは当然のことですが、

 退職後は、憲法で保障される「職業選択の自由」に従い、どんな仕事に

 就こうが原則自由です。

 しかしながら、特に、会社が、限られた従業員に対して、例えば、「○

 ○は極めてノウハウが高い仕事であり、その流出防止を図る為、3年間に

 限り、競合先(具体的な社名付き)への就職を禁止する。その為の見返

 りとして、退職金を○○円を加算する」のような契約をしているような

 場合は、退職後の従業員にも「競合避止義務」が課される場合がありま

 す。このように、限定的に、会社に合理的理由があり、と判断される場

 合にのみ、退職後も「競合避止義務」が課せられるものであり、原則は

 自由と考えて良いでしょう。


2)「営業秘密不正取得・利用行為等」には注意しよう

 「不正競争防止法」と言う法律では、他人の商号商標、商品の形状な

 どを真似る行為。いわゆる偽ブランド等の禁止と、品質内容等 誤認惹

 起行為。いわゆる産地偽装や原材料不正表示等と、ともに、「営業秘密

 不正取得・利用行為等」を禁止しています。


 「不正競争防止法」において「営業秘密」とは、「秘密として管理され

 ている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上

 の情報であって、公然と知られていないものをいう。と定義されていま

 す。すなわち「不正競争防止法」の「営業秘密」は

 1)秘密管理性:「秘密として管理されている」こと

 2)有用性:「有用な」情報であること

 3)非公知性:「公然と知られていない」こと

 ・・・・ の3つの要件を満たしている必要があります。


 このような「営業秘密」に対して、

 「不正競争防止法」では、

 ・「営業秘密」を不正に取得し、これを使用する行為、

 ・不正に取得された「営業秘密」を不正に開示する行為 を禁止してい

  ます。

 また、営業秘密の開示や利用による実損害が発生していなくとも、不正

 に営業秘密情報を取得した行為のみので対象となります。


 「営業秘密」の「不正取得」などと言うと産業スパイが代表的ですが、

 元従業員の場合、従業員のときは、自らの業務のため、当然持っていた

 情報であったとしても、(その情報を第三者に「開示」したり、利用し

 たりした場合は当然ですが)退職後も引き続き所持しているとそのこと

 のみでも「営業秘密」の「不正取得」とされるリスクがあることに注意

 しなければなりません。


 また、「不正競争防止法」違反の場合は、民事上の損害賠償が課される

 だけではなく、刑事罰も課せられることも注意が必要です。

 従って会社側は、(費用のかかる)民事上の裁判を起こさなくとも、ま

 ず、刑事告発を行い、警察や検察に捜査をしてもらい、その証拠を元に

 民事裁判を起こすことが可能です。

 このことは、裁判の前に警察の家宅捜査や逮捕されるリスクもあること

 を意味しています。

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(起業・会社設立、契約書・規定・文書)
井藤行政書士事務所

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