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【レジュメ編】 行政法(その8)

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     ★★★ 新・行政書士試験 一発合格! Vol. ’06-27 ★★
            【レジュメ編】 行政法(その8)

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■■■ 処分についての異議申立
■■■ 不作為についての不服申立
■■■ 再審査請求
■■■ 教示制度
■■■ 民法法人制度の改正
■■■ お知らせ
■■■ 行政書士法施行規則の一部改正
■■■ お詫び
■■■ お願い
■■■ 編集後記

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■■■ 処分についての異議申立
■ 異議申立期間
第四十五条 異議申立ては、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以
内にしなければならない。

(1)処分があったことを知った日:14条1項における場合と同様(前回【レジュ
   メ編】行政法(その7〔2〕)■■■不服申立手続 ■審査請求手続 (3)処
   分があったことを知った日(1項)参照。)
(2)翌日から起算:14条1項における場合と同様
(3)48条(審査請求に関する規定の準用)
→ 主観的異議申立期間を徒過したことについて「やむを得ない理由」がある場合、
  「その理由がやんだ翌日から起算して1週間以内」に異議申立をすれば足りる
  (14条1項但書を準用)。
→ 客観的異議申立期間は「処分があった日の翌日から起算して1年」。ただし、「正
  当な理由」があるときは別である(14条3項を準用)。

■ 異議申立期間徒過の効果
(1)異議申立期間を徒過して異議申立を行った場合、不適法として却下される。
(2)異議申立と審査請求の両方をすることができるとき、原則として、異議申立前置
   主義が取られており(20条)、異議申立をした後ではじめて審査請求をするこ
   とができる。この場合、異議申立が異議申立期間の徒過等によって不適法であれ
   ば、異議申立を経たことにならず、審査請求をすることはできない。ただし、処
   分庁が異議申立ができる旨教示しなかった場合、正当な理由がある場合など一定
   の場合、いきなり審査請求をすることができるが、その場合でも、審査請求期間
   を満たさなければならない。

■ 誤った教示をした場合の救済
第四十六条 異議申立てをすることができる処分につき、処分庁が誤つて審査請求をす
ることができる旨を教示した場合(審査請求をすることもできる処分につき、処分庁が
誤つて審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合を含む。)において、その教示
された行政庁に書面で審査請求がなされたときは、当該行政庁は、すみやかに、審査請
求書を当該処分庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
2  前項の規定により審査請求書が処分庁に送付されたときは、はじめから処分庁に
異議申立てがされたものとみなす。

(1)57条によって、審査請求もしくは異議申立てをすることができる処分を書面
   でする場合、不服申立てをすることができる旨、不服申立てをすべき行政庁、及
   び不服申立期間を教示しなければならないことになっている。本条は、異議申立
   てをすることができる処分についてこの教示が適正に行われなかった場合の行政
   庁側の対応と不服申立人の救済について定めている。
(2)処分庁が異議申立について誤った教示を行いそれに従った申立人が救済される
   場合
(ア)異議申立だけしかできない処分であるにもかかわらず、処分庁が誤って審査請求
   をすることができると教示した場合
→ 教示された行政庁に処分の相手方が書面で審査請求を行ったとき、当該行政庁はす
  みやかに審査請求書を処分庁に送付しなければならず、審査請求書が処分庁に送付
  されたとき、はじめから異議申立がなされたものとみなされる。
(イ)異議申立と審査請求の両方ができる処分について、処分庁が誤って審査庁でな
   い行政庁を審査庁として教示した場合
→ 誤った教示にしたがってなされた審査請求を異議申立として扱うこととしている。
  なお、誤った教示にしたがわず、正規の審査庁ではない他の行政庁に書面で審査を
  行っても、本条によって救済されることはない。

■ 決定
第四十七条 異議申立てが法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法で
あるときは、処分庁は、決定で、当該異議申立てを却下する。
2 異議申立てが理由がないときは、処分庁は、決定で、当該異議申立てを棄却する。
3 処分(事実行為を除く。)についての異議申立てが理由があるときは、処分庁は、
決定で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、異議
申立人の不利益に当該処分を変更することができず、また、当該処分が法令に基づく審
議会その他の合議制の行政機関の答申に基づいてされたものであるときは、さらに当該
行政機関に諮問し、その答申に基づかなければ、当該処分の全部若しくは一部を取り消
し、又はこれを変更することができない。
4 事実行為についての異議申立てが理由があるときは、処分庁は、当該事実行為の全
部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更するとともに、決定で、その旨を宣言する。
ただし、異議申立人の不利益に事実行為を変更することができない。
5  処分庁は、審査請求をすることもできる処分に係る異議申立てについて決定をす
る場合には、異議申立人が当該処分につきすでに審査請求をしている場合を除き、決定
書に、当該処分につき審査請求をすることができる旨並びに審査庁及び審査請求期間を
記載して、これを教示しなければならない。

(1)決定:異議申立に対する処分庁の最終判断。審査請求に対する審査庁の最終判
   断である裁決と名称が区別されているが、決定も裁決も行政事件訴訟法において
   は「裁決」として一括して扱われることがある。
(2)決定の種類
(ア)却下決定:異議申立が不適法であるときに下される決定
(イ)棄却決定:異議申立の本案について理由がないときに下される決定
(ウ)認容決定:異議申立に理由があるときに下される決定
(エ)事情決定:処分が違法又は不当であるが、これを取消し又は撤廃することによっ
   て公の利益に著しい障害が生ずる場合において下される決定(48条による40条4
   項の準用)
(3)認容決定については、異議申立の対象が法的行為形式としての処分の場合と、事
   実行為の場合とで異なる取扱いがされている。法的行為形式としての処分の場
   合、認容決定は、処分の取消し又は変更である(3項本文)。事実行為に対する
   認容決定は、事実行為の撤廃又は変更である(4項本文)。
(4)審査請求の場合と対照的に、異議申立の認容決定の場合は、処分庁である異議申
   立決定庁が係争処分を変更できる。
(5)審査庁が処分庁の上級行政庁でないとき、事実行為についての認容裁決におい
   て、審査庁は撤廃を命ずるのみで変更を命ずることはできない。
(6)異議申立に理由があるとき、処分庁は係争処分を変更することができるが、適
   法・妥当な処分に変更することでむしろ異議申立人にとって不利になるような変
   更を禁じている(3項・4項)。


■■■ 不作為についての不服申立
■ 不作為庁の決定その他の措置
第五十条 不作為についての異議申立てが不適法であるときは、不作為庁は、決定で、
当該異議申立てを却下する。
2 前項の場合を除くほか、不作為庁は、不作為についての異議申立てがあつた日の翌
日から起算して二十日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作
為の理由を示さなければならない。

(1)不作為についての申立の種類(自由選択主義)
第七条 行政庁の不作為については、当該不作為に係る処分その他の行為を申請した者
は、異議申立て又は当該不作為庁の直近上級行政庁に対する審査請求のいずれかをする
ことができる。ただし、不作為庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこ
れに置かれる庁の長であるときは、異議申立てのみをすることができる。
(2)却下決定
不作為について異議申立が不適法であるとき、不作為庁である異議申立決定庁は却下決
定を下す。
● 不適法である場合:(ア)不作為庁以外の行政庁に対して異議申立がされたとき。
  (イ)異議申立書の記載に補正できない不備があるとき。(ウ)異議申立人が不作
  為にかかる処分その他の行為を申請した者でないとき。(エ)当該申請が「法令に
  基づく申請」に該当しないとき。(オ)不作為状態が継続しているが申請から「相
  当の期間」経過していないとき。
(3)なんらかの行為:申請認容処分や申請拒否処分等。申請の適法要件を満たさない
   場合には、申請却下処分を行う。
(4)「相当の期間」の経過と不作為の違法性
不作為状態が「相当の期間」継続しても直ちに不作為が違法または不当となるわけでは
なく、不作為状態の継続が正当化できる特段の事情があれば、依然として不作為は違法
または不当とならない。
★ 不作為の違法確認訴訟においては、不作為状態が「相当の期間」継続すれば、不作
  為は違法と評価される。

■ 審査庁の裁決
第五十一条 不作為についての審査請求が不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当
審査請求を却下する。
2 不作為についての審査請求が理由がないときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求
を棄却する。
3 不作為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しす
みやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨
を宣言する。

(1)却下裁決(1項)
● 不適法であるとき:(ア)直近上級行政庁以外の行政庁に対して審査請求がなされ
  たとき。(イ)審査請求書の記載に補正できない不備があるとき。(ウ)審査請求
  人が不作為に係る処分その他の行為を申請した者でないとき。(エ)当該申請が
  「法令に基づく申請」に該当しないとき。(オ)不作為状態が継続しているが申請
  から「相当の期間」経過していないとき。
(2)棄却裁決(2項)
本案について理由がないとき:「相当の期間」を経過してもなお不作為状態を継続する
特段の正当化事由が存在する場合
(3)認容裁決(3項)
・理由があるとき:不作為状態が「相当の期間」経過し、これをさらに継続する特段の
 正当化事由がない場合。
・なんらかの行為:申請認容処分や申請拒否処分(申請却下処分を含む)


■■■ 再審査請求
■ 再審査請求の定義
第三条 この法律による不服申立ては、行政庁の処分又は不作為について行なうものに
あつては審査請求又は異議申立てとし、審査請求の裁決を経た後さらに行なうものにあ
つては再審査請求とする。

★ 再審査請求では、審査請求の裁決を争うことに代えて、原処分を争うこともできる。

■ 再審査請求できる場合
第八条 次の場合には、処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求
をすることができる。
一 法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に再審査請求をすることがで
きる旨の定めがあるとき
二 審査請求をすることができる処分につき、その処分をする権限を有する行政庁(以
下「原権限庁」という。)がその権限を他に委任した場合において、委任を受けた行政
庁がその委任に基づいてした処分に係る審査請求につき、原権限庁が審査庁として裁決
をしたとき
2 再審査請求は、前項第一号の場合にあつては、当該法律又は条例に定める行政庁に
、同項第二号の場合にあつては、当該原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合に
おけるその処分に係る審査請求についての審査庁に対してするものとする。
3 再審査請求をすることができる処分につき、その原権限庁がその権限を他に委任
た場合において、委任を受けた行政庁がその委任に基づいてした処分に係る再審査請求
につき、原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請
求についての審査庁が再審査庁としてした裁決に不服がある者は、さらに再審査請求
することができる。この場合においては、当該原権限庁が自ら当該処分をしたものとし
た場合におけるその処分に係る再審査請求についての再審査庁に対して、その請求をす
るものとする。

(1)再審査請求は、再審査請求法定主義(8条1項1号の場合)または権限委任があ
   る場合(同2号)に限られる。
→ 個別の法律や条例に根拠がない場合には、できない(一審制)。

■ 裁決の方式
第四十一条
2 審査庁は、再審査請求をすることができる裁決をする場合には、裁決書に再審査請
求をすることができる旨並びに再審査庁及び再審査請求期間を記載して、これを教示し
なければならない。

■ 再審査請求期間
第五十三条 再審査請求は、審査請求についての裁決があつたことを知つた日の翌日か
ら起算して三十日以内にしなければならない。

(1)主観的再審査請求期間:審査請求についての裁決があつたことを知つた日の翌日
   から起算して30日以内。ただし、天災その他再審査請求をしなかつたことについ
   てやむをえない理由があるときは、この限りでない〔56条による14条1項但書の
   準用〕。
(2)客観的再審査請求期間:審査請求の裁決があつた日の翌日から起算して一年。た
   だし、正当な理由があるときは、この限りでない。〔56条による14条3項の準用〕

■ 裁決書の送付要求
第五十四条 再審査庁は、再審査請求を受理したときは、審査庁に対し、審査請求につ
いての裁決書の送付を求めることができる。

■ 裁決
第五十五条 審査請求を却下し又は棄却した裁決が違法又は不当である場合においても
、当該裁決に係る処分が違法又は不当でないときは、再審査庁は、当該再審査請求を棄
却する。

(1)裁決:却下、棄却、認容(一部または全部の取消しまたは撤廃)(56条による40
   条の準用)
(2)再審査請求は、(ア)裁決に係る処分(原処分)および(イ)審査請求の裁決の
   いずれに対しても、行うことができるため、(イ)審査請求の裁決に瑕疵がある
   場合(審査請求を却下し又は棄却した裁決が違法又は不当である場合)の取扱い
   が問題になる。
→ そのため、「当該裁決に係る処分が違法又は不当でないときは、再審査庁は、当該
  再審査請求を棄却する」ことになる。
→ 裁決に係る処分(原処分)が違法又は不当でないときは、(イ)審査請求の裁決を
  争っても意味がないため。

■ 審査請求に関する規定の準用
第五十六条 第二節(第十四条第一項本文、第十五条第三項、第十八条から第二十条ま
で、第二十二条及び第二十三条を除く。)の規定は、再審査請求に準用する。

(1)準用される主な規定
審査請求書の記載事項、口頭による審査請求、処分庁経由による審査請求、補正、参加
人、審理の方式、閲覧、執行停止、裁決、裁決の方式、裁決の効力発生、裁決の拘束力

(2)準用されない規定
主観的審査請求期間(60日以内)、誤った教示をした場合の救済、異議申立ての前置、
弁明書の提出、反論書の提出


■■■ 教示制度
■■ 行政不服審査法に基づく不服申立てにのみ適用される教示制度
(1)第十八条 審査請求をすることができる処分(異議申立てをすることもできる処
   分を除く。)につき、処分庁が誤つて審査庁でない行政庁を審査庁として教示し
   た場合において、その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該
   行政庁は、すみやかに、審査請求書の正本及び副本を処分庁又は審査庁に送付
   し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
   2 前項の規定により処分庁に審査請求書の正本及び副本が送付されたときは、
   処分庁は、すみやかに、その正本を審査庁に送付し、かつ、その旨を審査請求
   に通知しなければならない。
   3 第一項の処分につき、処分庁が誤つて異議申立てをすることができる旨を教
   示した場合において、当該処分庁に異議申立てがされたときは、処分庁は、すみ
   やかに、異議申立書又は異議申立録取書(第四十八条において準用する第十六条
   後段の規定により陳述の内容を録取した書面をいう。以下同じ。)を審査庁に送
   付し、かつ、その旨を異議申立人に通知しなければならない。
   4 前三項の規定により審査請求書の正本又は異議申立書若しくは異議申立録取
   書が審査庁に送付されたときは、はじめから審査庁に審査請求がされたものとみ
   なす。

(2)第十九条 処分庁が誤つて法定の期間よりも長い期間を審査請求期間として教示
   した場合において、その教示された期間内に審査請求がされたときは、当該審査
   請求は、法定の審査請求期間内にされたものとみなす。

★ 法定の期間よりも短い期間を誤って教示した結果、不服申立てを断念した場合の救
  済については、明文の規定がない。

(3)第四十六条 異議申立てをすることができる処分につき、処分庁が誤つて審査請
   求をすることができる旨を教示した場合(審査請求をすることもできる処分につ
   き、処分庁が誤つて審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合を含む。)
   において、その教示された行政庁に書面で審査請求がなされたときは、当該行政
   庁は、すみやかに、審査請求書を当該処分庁に送付し、かつ、その旨を審査請求
   人に通知しなければならない。
2 前項の規定により審査請求書が処分庁に送付されたときは、はじめから処分庁に異
  議申立てがされたものとみなす。

★ 「第2章手続」に規定された教示制度は、行政不服審査法に基づく不服申立てにの
  み適用される。

■■ 一般的な教示制度
■ 審査庁等の教示
第五十七条 行政庁は、審査請求若しくは異議申立て又は他の法令に基づく不服申立て
(以下この条において単に「不服申立て」という。)をすることができる処分をする場
合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに
不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなけ
ればならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
2 行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分である
かどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服
申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められた
ときは、当該事項を教示しなければならない。
3 前項の場合において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示
は、書面でしなければならない。
4 前三項の規定は、地方公共団体その他の公共団体に対する処分で、当該公共団体が
その固有の資格において処分の相手方となるものについては、適用しない。

★ 「審査請求若しくは異議申立て」のほか、「他の法令に基づく不服申立て」の場合
  にも適用される。

(ア)職権による教示制度(1項)
書面で教示しなければならない(平成16年の行政事件訴訟法の改正で、取消訴訟等の提
起に関する事項の教示を書面で行わなければならなくなったのに伴い(46条)、本条も
改正され、書面が求められることになった。)。ただし、処分を口頭でする場合は、こ
の限りでない。
★ 不服申立てができない処分の場合、その旨の教示は義務付けられていない。
★ 教示は「処分の相手方」にすれば足りる。
→ 利害関係人に対する教示までは求められていない(→ そのために第2項が設けら
  れている。)。
(イ)請求に基づく教示制度(2項)
★ 利害関係人:処分の相手方、当該処分に対して不服申立ての利益を有する者
(ウ)審査請求を全面的に認容する処分や不服申立人に全面的に有利な処分の場合に
   は、教示義務はない。
(エ)「不服申立てをすることができる旨」→ 不服申立ての種類を特定する必要はな
   い。

〔行政事件訴訟法〕
第四十六条 行政庁は、取消訴訟を提起することができる処分又は裁決をする場合に
は、当該処分又は裁決の相手方に対し、次に掲げる事項を書面で教示しなければならな
い。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
一 当該処分又は裁決に係る取消訴訟の被告とすべき者
二 当該処分又は裁決に係る取消訴訟の出訴期間
三 法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消し
の訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、その旨

(オ)「不服申立てをすることができる期間」→ 主観的期間で足りる(客観的期間は
   不要)。
(カ)教示義務違反による処分→ そのことだけで、処分が違法性を帯びることはない。

●● 昭和54. 8.21 東京地裁「代執行費用の納付命令取消請求事件」
【理由】
行政不服審査法第五七条第一項は、行政庁が審査請求若しくは異議申立て又は他の法令
に基づく不服申立てをすることができる処分を書面でする場合には、処分の相手方に対
して不服申立てについての教示をしなければならない旨を規定しているが、その趣旨
は、不服申立制度の存在を教えることによつて国民の権利救済の実をあげようとするこ
とにあると解されるから、行政庁が教示義務を履行しないのは違法であるが、そのため
右の相手方が損害を蒙つたような場合には別途救済の途が開かれているか否かの点は別
として、右の教示がなかつたからといつてそのため行政庁の処分や裁決自体が違法とな
るとは解されない。

■ 教示をしなかった場合の不服申立て
第五十八条 行政庁が前条の規定による教示をしなかつたときは、当該処分について不
服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる。
2 前項の不服申立書については、第十五条(第三項を除く。)の規定を準用する。
3 第一項の規定により不服申立書の提出があつた場合において、当該処分が審査請求
をすることができる処分であるとき(異議申立てをすることもできる処分であるときを
除く。)は、処分庁は、すみやかに、当該不服申立書の正本を審査庁に送付しなければ
ならない。当該処分が他の法令に基づき、処分庁以外の行政庁に不服申立てをすること
ができる処分であるときも、同様とする。
4 前項の規定により不服申立書の正本が送付されたときは、はじめから当該審査庁又
は行政庁に審査請求又は当該法令に基づく不服申立てがされたものとみなす。
5 第三項の場合を除くほか、第一項の規定により不服申立書が提出されたときは、は
じめから当該処分庁に異議申立て又は当該法令に基づく不服申立てがされたものとみな
す。


■■■ 民法法人制度の改正
この6月2日に、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」、「公益社団法人
び公益財団法人の認定等に関する法律」および「一般社団法人及び一般財団法人に関す
る法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律
の整備等に関する法律」が公布されました。

これにより、現行の社団法人と財団法人制度は、大幅に改正されます。具体的には、一
般社団法人等(一般社団法人と一般財団法人)と公益法人(公益認定を受けた一般社団
法人、すなわち公益社団法人と、公益認定を受けた一般財団法人、すなわち公益財団法
人)に分けられることになります。

これに伴い、民法の一部も改正されます。具体的には、第33条から第84条の3までが改
正されます。第33条(法人の設立)に第2項が追加されるとともに、現行第43条(法人
の能力)および第36条(外国法人)が若干の修正を経て新第34条およびに第35条変更さ
れるほか、現行第49条(外国法人登記)が大幅に改正されて新第37条になります。そ
して、第38条以下が全面的に削除されます。

なお、施行は、「公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定め
る日」です。

新3法の概要については、各法の要綱をご覧ください。要綱および条文については、つ
ぎの内閣官房のURLから国会提出法案をクリックしてご覧ください。
 http://www.cas.go.jp/index.html

■ 行政書士試験との関連
上述のとおり、新3法の施行はだいぶ先ですが、今年の行政書士民法には影響がある
のではないかと思われます。第33条から第84条の3までが改正され、現行第43条(法人
の能力)および第36条(外国法人)以外の条文は削除されることから(第49条は大幅に
改正)、近々削除される条文やそれに関連する分野を出題とすることは、あまり考えら
れないためです。

そのため、特に余力のある場合でもなければ、民法総則の「第3章法人」は学習範囲か
ら除いても差し支えないように思われます。


■■■ お知らせ
総務省行政管理局が管理する「法令データ提供システム」が、5月30日に、平成18年4
月1日現在のデータに更新されました。これにより、4月1日に施行された会社法、公
益通報者保護法、労働審判法等の行政書士試験の対象となる法律については、直接、こ
の法令データ提供システムにアクセスして参照することができるようになりました。

ただし、これ以降に改正があると、時間の経過とともに、直近の法令に改正されること
がありますので(すなわち、行政書士試験の基準日である4月1日現在の法令ではなく
なる可能性がありますので)、ご注意ください。


■■■ 行政書士法施行規則の一部改正
5月29日に、行政書士法施行規則の一部を改正する総務省令が公布されました。施行日
は、今年12月1日です。

具体的には、第4条(他人による業務取扱の禁止)および第12条の2(業務の範囲)が
改正されました。なお、総務省のホームページには、まだ掲載されていないので(6月
4日現在)、新旧対照表を解答編に掲載しました。


■■■ お詫び
前回Vol. ’06-27「行政法(その7)」の解答編ですが、掲載した31日(水)の翌日の
午前9時頃に若干の修正を行っています。この旨お知らせするとともに、深くお詫び致
します。なお、修正箇所はつぎのとおりです。

〔1〕行政手続法行政不服審査法適用除外
行政不服審査法のうち「手続き上なじまないものその他の手続」の二つ記述の位置が繰
り上がっています(なお、内容に変更はありません。)。

〔7〕参加人と補佐人
二番目の比較表のうち、利害関係人の両方と、行政サイドの下段について修正してあり
ます。


■■■ お願い  
継続して発刊するためには読者の皆様のご支援が何よりの活力になります。ご意見、ア
ドバイス、ご批判その他何でも結構です。内容、頻度、対象の追加や変更等について
も、どうぞ何なりと e-mail@ohta-shoshi.com までお寄せください。

質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただし、多
少時間を要する場合があります。


■■■ 編集後記 
今回で行政不服審査法が終わります。個別の行政法規も、これで半分が終わったことに
なります。次回は行政事件訴訟法です。以下、国家賠償法、損失補償法と続く予定で
す。

解答編に若干の修正がありました。改めて深くお詫び致します。


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 マガジンタイトル:新・行政書士試験 一発合格!
 発行者:行政書士 太田誠   東京都行政書士会所属(府中支部)
 発行者Web:http://www.ohta-shoshi.com
 発行者メールアドレス:e-mail@ohta-shoshi.com
 発行協力「まぐまぐ」:http://www.mag2.com/
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