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変動費と調達コストはコストダウンの余地あり!

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      シリーズ「コスト意識の強化で仕事のできる人の集団を作る!」

  <第407回>[(第6話)「変動費と調達コストはコストダウンの余地あり!」]

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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の
必要性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは「コスト対
応力とコンピテンシー!」と題して様々な角度から鋭く分析した良質の記事
を紹介していきます。きっとお役に立てると思います。中小企業の経営者の
方、管理者の方、人事担当者の方に是非ともお読みいただきたいと思います。

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今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論
1.変動費の削減方法!
2.調達コストの削減方法!
3.関係部署を動かせる有能な人財を配備する!
【3】「顧客重視力」を高めるために!
【4】今日のポイント
【5】編集後記

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変動費は、創業度、つまり売上高に比例して増減する費用のことだ。メーカ
ーなら部材費や外注費等であり、卸や小売などの流通業なら仕入費用が当て
はまる。

メーカーはどこも部材費や外注費のコストダウンに力を入れる。流通業はど
こも仕入れ品のコストダウンに力を入れる。そのくせ自社の調達コストには
余り力を入れていない。つまり、サプライヤー(納入業者)には厳しい要求
を突きつけるが自社には甘いのだ。

どうすればコストが下がるのか、つまりコストダウンに効きそうな「ネタ」
を双方が出し合ってコストダウン活動を行い、下がったコストを双方折半す
ると言う「パートナーシップ型」のコストダウンが有効だ。

さらには自社の購買部門の一大改革を図ることだ。肥大化した組織と旧態依
然の調達方法にメスを入れる必要があると言うことだ。

そこで今回は「コスト意識の強化で仕事のできる人の集団を作る!」の第5
回目として「変動費と調達コストはコストダウンの余地あり!」と題して解
説することにする。



【1】心に刻んでおきたい言葉

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真の商人は、先も立ち、われも立つことを思うなり。


       石田梅岩

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【2】メルマガ本論

[(第6話)変動費と調達コストはコストダウンの余地あり!]



「先も立ち、われも立つ」とは近江商人の商道徳として語り継がれてきた格
言であろう。「他社よりもちょっぴり高く仕入れ、他社よりもちょっぴり安
く売る」と言う人もいる。このことにより、仕入先である先様の顔も立ち、
わが社も商売繁盛できると言うわけだ。

自社の利益追求一辺倒の会社は、市場の状況が激変するような事態があれば、
仕入に困窮するばかりでなく、顧客から見捨てられると言った事態だって起
こりえるのだ。

買い叩きだけでなく、売れ残りは力ずくで返品し、売れればリベート請求と
いった商慣行はデパートやスーパーに今も残っている。挙句、棚卸や開店時
にはサプライヤーに無償で人の応援を要求し、公正取引委員会から排除命令
が出されたスーパーもある。これではパートナーシップとは言えないわけだ。


1.変動費の削減方法!

「単価を下げてくれ」、「ハイ分かりました」とはならないのが世の常であ
る。相手も商売だから利益を上げなければならない。「下げないのなら他社
に切り替える」などと脅し文句を使ってのコストダウンはもう通用しない時
代になっているのだ。

これからは益々パートナーシップとしてWin Winの関係を構築して変動費を下
げていくことが求められる。当方のWinはコストダウン、しからばサプライヤ
ーに対してどんなWinを用意して交渉するか、ここがポイントになる。


□ 調達条件面でWinを提供する

購入数量を増やす、定期的に安定数量を発注する(定期発注、定量発注)、
支払条件をよくする(手形サイトの短縮あるいは現金払い)などは一般的だ
が、これらは相手サプライヤーに対してWinを与えることになる。このような
Winを提供してコスト交渉をすることだ。


□ 「取りに行く物流」でコストダウンする

日産は「日産サバイバルプラン」のとき、納品の物流に「ミルクラン(取り
に行く)方式」を導入し、物流コスト分を大幅に引き下げた。つまり、日産
のトラックが必要な品物を必要数、サプライヤーを巡回して集荷するのであ
る。酪農農家からミルクを集荷するのに似ているので「ミルクラン方式」と
呼んでいる。

今、この方式を取り入れている企業は大手を中心に増えてきている。納品時
の物流を当方が担当することで物流費の分だけコストを下げてもらうと言う
わけだ。


2.調達コストの削減方法 

サプライヤーにだけコストダウンを迫っておきながら、調達方式は旧態依然
のままで、間接人員を多く抱えている企業は結構多い。サプライヤーから見
れば、「サプライヤーいじめばかりして」と思うに違いない。

調達システムのカイゼンで調達人員を大幅に削減できる可能性がある。


□ 渡り鳥部品の撲滅

メカ部品(プレス品や機械加工部品)を購入し、受入検査をやってめっきや
塗装に出す。めっきや塗装から上がってきた部品を受入検査しシルク印刷に
出す。一つの部品に対して複数回注文書を切る部品は多い。これを「渡り鳥
部品」と名付けた。

プレスメーカーや機械加工メーカーに対して最終工程まで完了した部品を納
入してもらうようにすればたった一回の注文書で済むだろう。後は管理の手
間を部品メーカーに移行するのだから納期を余分に見て上げ、さらには「管
理費」という名目でコストを上乗せしてあげる。これで調達人員の削減につ
ながる可能性が高くなる。


□ ユニット納入に切り替える

管理能力の高い組み立てメーカーに部品を自給して組み立て完成品で納入し
てもらう。これにより管理する部品点数は激減できるから調達人員の削減効
果は大きい。

もっと発展させてOEM生産を委託し、最終製品を一通の注文書で済ませて
いるセットメーカーもある。例えば営業利益率40%以上を叩き出している超
優良企業であるキーエンスはメーカーでありながら工場を持っていない。全
て優良メーカーに委託している。これをファブレス生産し称している。


□ VMI方式に協力してもらい発注の手間を省く

本シリーズで既に解説したが、VMIとはVendor Management Inventoryのこ
とで、サプライヤーに場所や棚を提供してサプライヤーの責任で在庫管理を
やってもらうやり方だ。

生産計画等の情報を提供し、在庫切れを起こさないように補充等の管理をし
てもらう。使用量を記録しておき月末に一括伝票を発行して支払い処理をす
る。手配発注業務は大幅に省力化・省人化できるだけでなく在庫金額も削減
でき、正に一石二鳥だ。価格はサプライヤー側の管理費を上乗せしてあげて
も余りあるメリットがあるはずだ。


□ カイゼン提案を受入れてコストを下げる

技術力のあるメーカーは、VA提案力を持っている。その提案を受入れて、
下がった分のコストの例えば半分(2分の1)をコストダウンとして還元し
てもらう方法だ。

提案はどちらから行ってもいい。買い手側が提案して、下がった分のコスト
の例えば半分(2分の1)をコストダウンとして還元してもらうことも勿論
ありだ。


3.関係部署を動かせる有能な人財を配備する

一般論としてどこの会社も購買部門に有能な人財を多数配備している例は少
ない。サプライヤーに文句を言ってコストを下げさせることが主な仕事だと
考えているからではないだろうか。購買部門は、設計部門、生産技術部門、
あるいは生産管理部門の人たちを上手に動かしてたくさんの協力を得なけれ
ばならない立場にある。

それにはかなりの知的武装が必要であると同時に「人間力」コンピテンシー
も高いことが求められる。

調達部門単独でカイゼンできる項目や範囲は限られている。設計的、あるい
は技術的に検討し実験をして品質や信頼性を確認した上でなければ採用でき
ない事案も多い。生産管理部門と納期や数量面での調整も必要になってくる。
特にあらゆる面の交渉力には長けていなければならない。

経営トップは購買部門に強力なキャストを配備してでも変動費や調達コスト
のコストダウンを実現する覚悟が要ると言うことだ。



【3】「コスト交渉力」を高めるために!

「コスト交渉力」なるコンピテンシーの現状レベルをチェックしてみてはど
うか。

定義付けの例は、「サプライヤーに対して、常にミニマムコストで提供して
もらうように交渉すること」としてはどうだろうか。

行動基準の例は「サプライヤーとお互いが大切なパートナーシップ的関係を
構築する」、「サプライヤーからの提案を上手に引き出し、技術部門と協力
してコストダウンに結びつける」などとしてはどうだろうか。

===================================

交渉ごとの苦手な人は多い。サプライヤーとの交渉は脅して買い叩くことで
はない。相手にもWinを提供してコストを下げてもらうように上手に交渉をす
ることだ。

はっきり言って脅しや買い叩きを続ける会社はやがてサプライヤーから切ら
れる運命にあるということを忘れないでほしい。



【4】今日のポイント

(1)変動費のコストダウンは業種・業態を問わず大切であること。

(2)サプライヤーとパートナーシップの関係を構築すべきこと。

(3)サプライヤーに提供すべきWin を用意してコストダウンの交渉をすべ
   きこと。

(4)相互に提案を出し合って、コストダウンに結びつけること。

(5)社内の調達コストの削減にも目を向けること。

(6)購買部門にこそ有能なキャストを配備すべきこと。



【5】編集後記

食品などでは産地直送がはやってきている。仲買人や卸を通さない分コスト
は下がる。生産者も儲けが増え、飲食店等は新鮮な食材を割安で購入できる。
「卸不要論」はこのような背景から生まれた。

しかし、商社や代理店はメーカーにとって重宝する。多くのサプライヤーと
口座を開設して取引するよりも一社との取引でたくさんの部材を調達できる
からだ。しかもVMI方式の導入にとって商社や代理店は下請法の適用外だ
から問題なく推進できる。

=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=




次回に続く。


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発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
        彩愛コンサルピア代表 下山明央
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