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製造部門も事務部門もセル生産方式で効率アップを!

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      シリーズ「カイゼン活動で仕事のできる人の集団を作る!」

 <第411回>[(第2話)「製造部門も事務部門もセル生産方式で効率アップを!」]

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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の
必要性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは「カイゼン
活動で仕事のできる人の集団を作る!」と題して様々な角度から鋭く分析し
た良質の記事を紹介していきます。きっとお役に立てると思います。中小企
業の経営者の方、管理者の方、人事担当者の方に是非ともお読みいただきた
いと思います。

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今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】流れ生産方式とは!
【3】やる気を引き出す仕事の配分法!
【4】セル生産方式で効率アップを!
【5】編集後記

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昭和の時代の大量生産の方式の一つに「流れ生産方式」があった。部品点数
の多い製品を効率よく組み立てて製品を完成させていくにはこの流れ生産が
威力を発揮した。作業量を均等に分配し、場合によっては100人以上ものオ
ペレーターを配置して主としてベルトコンベアを使って流した。

平成の時代になると大量の流れ生産品は中国や新興国にシフトされた。国内
に残ったのは比較的数のまとまらない高級品(付加価値の高い製品)が多く
なった。その後、一人で最初から最後まで組み立てる「セル生産方式」に移
行されていった。全責任を持って最初から最後まで一人でやりきるわけだか
ら多人数による流れ生産の問題も解決され、成果主義賃金制度にもなじむと
言われた。



【1】心に刻んでおきたい言葉

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現場が全てを教えてくれ、現場が全てを解決してくれる。

       岡本太一


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【2】流れ生産方式とは!

一つの製品を生産するのに、長い生産ラインを編成し、工程をいくつかに分
け、工程数に応じてオペレーターを配置して「標準時間:ST(Standard
Time)」を設定して生産する方式が流れ生産方式であり、大量生産に適し
ていた。

各工程の作業量を均等に分け与えるのだが、手の遅い人、ミスの多い人がい
る。手の速い人は待ち時間が生じる。手の遅い人のところには溜りができる。
ミスがあるとラインが乱れる。生産は手の遅い人のペースに合致してしまう。
これが生産技術者やライン長の悩みだった。

そのため、手の遅い人の作業量を削って手の速い人に追加配分する。ミスの
多い人は、簡単な作業でミスの出にくい工程に廻したりする。当然手の速い
人からは不満が出るわけだ。

毎日同じ作業の繰り返しだ。単調で、やりがいや満足感、達成感を味わうこ
とが難しくなる。単調な作業の繰り返しで「人間疎外」に陥り辞める人も多
くいた。

カイゼンは、主として生産技術担当者の仕事だ。オペレーターが自主的にカ
イゼンと言うことは難しくなる。

ホワイトカラーの仕事も製造ラインほど明確ではないが、流れ作業になって
いる例が多い。一人でフルコースの仕事をすることはゼロではないが少ない。

例えば、ある病院で輸血間違いによる死亡事故が発生した。患者の血液型と
異なる血液を輸血したためだ。採血担当者は、採血だけを担当し、識別のラ
ベルを貼る担当は別の担当者だった。検査室に血液を運ぶ人はまた別の担当
者と言うように過度の分業が行われていてミスを誘発したのだ。

このように担当が細かく分かれており、ラベルを貼る担当者は他人の採血管
にラベルを貼ってしまった。しかし、誰一人私の責任と認識する人はいなか
った。これでは亡くった患者は浮かばれない。(NHKのクローズアップ現
代の報道)



【3】やる気を引き出す仕事の配分法!

過度の分業体制は考えものだ。ベルトコンベアを使用して多人数で流れ生産
を行えば「工程数の2倍の取り置き」が生じる。どういうことかと言うとオ
ペレーターが手元に取り、自分の作業を終えたらベルトに戻す。この取り置
き時間が1工程あたり仮に5秒としよう。それだけで「5秒×工定数」のム
ダが生じるのだ。これは大きい。

さらには前述したように単調な作業で「人間疎外」に陥る。これを解消して
あげなければオペレーターのやる気を引き出すことはできない。以下にやる
気を引き出す方策を考えてみる。


□ エンラージメント(Enlargement:拡大、拡張)

これは仕事を拡大することだ。単純作業であっても違う仕事を幅広く組み合
わせて与えることで、単純さによる精神的ストレスを和らげる効果が期待で
きる。


□ エンリッチメント(Enrichment:豊かにする)

これは仕事の内容を豊かにすることだ。つまり単純な仕事も難しい仕事も判
断を要する仕事も組み合わせて与え、やりがい、充実感、達成感を味わって
もらえるようにワークデザインすることだ。

「エンラージメント」や「エンリッチメント」で、オペレーターの人間性が
尊重され、「人間疎外」から解放される。そうすることでモチベーション
アップするのである。モチベーションがアップすれば自分の仕事に対するカ
イゼン意欲も出てくるようになり、提案という形で実を結ぶだろう。これを
好循環させれば生産性が高まることが期待できる。



【3】セル生産方式で効率アップを!

近年、「セル生産方式」と言うキーワードが飛び交うようになった。従来の
流れ生産方式とどう違うのだろうか。またそのメリットについても言及した
いと思う。

セル生産方式は、またの名を「一人屋台方式」と言う。一人で製品を完成品
に組み上げ、最後の品質チェックも自分でやる。だから全工程の作業をマス
ターしなければならない。多くの場合、一週間ぐらいでマスターするようだ。

一台分の部品がキットで供給され、それを例えばモニターに表示された作業
手順を確認しながら組み立てていく。 速くて正確に作業する人は、標準時
間よりも早く予定の台数を終了する。遅くてミスの多い人はもたつくから、
標準時間をオーバーし、終業時間になってもまだ終わらない人も出てくるだ
ろう。

ここで各人の成果が誰の目にもはっきりと見える。Aさんは3台多く10台完
成、Bさんは標準時間どおり7台完成、Cさんは2台少なく5台完成というよ
うに成果がばらつく。

当然Aさんの報酬は高く、Cさんの報酬は一番低くなる。これが理にかな
った成果主義だ。当然Cさんは、頑張ってAさんに近づこうと努力するだ
ろう。Aさんはもっと多く生産しようとカイゼンをし、頑張る。企業にと
って生産性が向上し、社員も頑張って報酬が上がる。この過程で「カイゼ
ン力コンピテンシー」が磨かれていくことになる。

キヤノンは、かなり前から全工場にセル生産方式を導入している。10%~
30%もの生産性向上を実現した実績があるそうだ。

ホワイトカラーの仕事にもセル生産方式は応用できる。前述の輸血ミスに
戻るが、採血、識別のラベル貼り、検査室への運搬、検査結果の記載など
フルコースを一人で担当すればミスなく、確実な仕事ができるわけだ。し
かも責任も明確になる。

伝票入力、グラフの作成、結果の分析、報告書の作成などフルコースをセ
ル生産方式でやれば、責任感も増し、やりがいや満足感、達成感にもつな
がる。全体の業務が分かればどこに問題があり、どうカイゼンすべきかも
見えてくる。そして「カイゼン力コンピテンシー」が磨かれていくのだ。



【4】セル生産方式の由来!

モノ作りコンサルタントの山田日登志氏は「トヨタ生産システム
(TPS)」の生みの親である大野耐一氏の唯一といってよい社外の愛
弟子だ。

その山田氏が山形のパソコンの組立工場を指導しているとき、組み立て
現場のある女性が「私一人でやりますわ」と言って最初から最後まで一
人で組み立ててしまった。流れ生産よりも短い時間で完成し、しかもミ
ス一つない。山田氏は驚きの声をあげた。

オペレーターの目の前に一台分ずつ、組み付ける順番に部品を用意して
やれば一人で全工程をやりきってしまう。一人屋台方式、つまり「セル
生産方式」の誕生だ。

セル生産方式のメリットは、

□ オペレーターの能力をフルに生かせる
□ 仕事のフルコースを担当することで創意工夫が生まれやすい
□ 仕事の出来栄えが自分にもはっきり見える
□ 競争の原理が自然に働き、切磋琢磨し相乗効果が生まれる

などが考えられる。



【5】編集後記

職人の仕事は一般には「セル生産方式」だ。陶芸家は土の準備、練り、
ロクロ回し、焼きなどフルコースを行う。

寿司屋の大将は飯炊き、シャリ切り、ネタ切り、握りなどフルコースを
行う。

全ての工程を手抜かりなくやらなければ失敗作になってしまい、売り物
にならない。逆説的なことを言えば責任感の希薄な人には「セル生産方
式」は不向きということだ。


=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=

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次回に続く。


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発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
        彩愛コンサルピア代表 下山明央
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