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市場の構造には三つあることを理解しよう

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経営テクノ研究所
201310月7日 第1・3週月曜日発行
発行人:舘 義之http://www9.plala.or.jp/keiei-techno/
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★★経営のパートナー★★経営学で企業を再生する
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<目次>
★市場の構造には三つあることを理解しよう
★ちよっと苦言:一葉(いちよう)落ちて天下の秋を知る
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★市場の構造には三つあることを理解しよう
1.価格と需要との関係を知っておこう
 ある製品の価格が100円と決まれば、買おうとする人の数が決まります。
いま10万人の買い手があるとします。それが110円になると買う人は95
万人、90円ならば11.5万人と変わることが考えられます。安ければ多
く売れ、高ければ少ししか売れないかもしれません。

 この価格と需要との関係を需要関数といい、曲線で表わしたものを需要曲
線といいます。ここで注意しなければならないのは、現実の価格と現実の需
要量との関係ではなく、可能な価格と可能な需要量との関係です。

 それから供給関係を表わした供給曲線というものがあります。これも可能
な価格と可能な供給量の関係を示したもので、価格が上昇すると今まで作っ
ていなかった企業までが作りはじめるので供給量が多くなるのです。

 どこかの市場で価格が決まるということは、需要曲線と供給曲線の交叉し
た点(市場均衡価格)で決まるのです。これより高く売ろうとすると売れな
いし、また、わざわざ安くして売ることもなく、交叉した点の価格で売れば
よいのです。このように価格は、需要と供給がちょうど一致するところで決
まります。 

 これは需要側にいる消費者と、供給側にいる企業とを結びつける原理で、
経済学ではミクロ経済学と呼んでいます。つまり、市場、企業、消費者に結
びつけるのがミクロの理論なのです。これに対して、マクロ経済学は、成長
率がどのくらいになるのかをマクロ的に研究するものです。

2.弾力性との関係を知っておこう
 弾力性とは、変化への反応速度のことで、たとえば価格が10%下げたと
きに需要が10%%上がったとすれば、1割÷1割=1で弾力性は1となり
ます。もし、弾力性が1ならば、価格を下げたところで売上高には変わりあ
りません。

 弾力性が1より大きいときは、その需要は価格に弾力的であるといい、1
より小さいときは、その需要は価格に非弾力的であるといいます。

 つまり、弾力的なときは、価格を下げると需要量が大きくなるので売上は
増加します。非弾力性なときは、価格を下げればかえって売上が減ってきま
す。したがって、価格が下げられるときは、弾力性なときだけなのです。

 また、弾力性が1のときは、必ず利益は低下しています。なぜなら、価格
を1割下げたとき需要量が1割上がれば弾力性は1ですが、需要を上げるた
めに大量(ここでは1割アップ)に作るから、経費が余計にかかります。そ
のため1割生産を上げる前より利益は低下しているので、弾力性が1のとき
は価格は下げられません。量産しても経費が増加しないときだけ、価格は下
げられるのです。

 価格を上げるとか下げるとかいうのは、単に需要が増えたとか減ったとか、
原価が高くなったからとか安くなったからとかということではなく、需要の
条件と会社内の原価の条件との両方がからみ合って、利益の大きくなる価格
がどこからきたかということによって価格を変えるわけです。この弾力性を
計算して将来の動向を判断するのも経済学の一つなのです。

3.非価格競争で選択と競争に勝つ
 買う者が自由に選択でき、売る側は競争によって買い手を獲得するのが市
場原理の社会です。安値競争で得をするのは消費者ですが、企業が無理に安
値にすると供給がつづかなくなり、結局は消費者の選択の幅がせばまってし
まうことになります。

 マーケティングにおいては、非価格競争を提としています。価格競争は企
業に対して無秩序な競争を強い、短期的な成果を求めるあまりに長期的な政
策を軽視させるとともに、消費者に対して価格以外の便益について満足感を
与え得ないからです。

 そこで、企業も非価格競争によって選択と競争に勝たねばなりません。非
価格競争の主な手段としては、製品の機能、付帯するサービス、デザインな
どが挙げられます。これは、経済学的思考の最たるもので、政治学、社会学、
心理学的視野などから人間の行動を分析するものです

 以上、市場の性質というものを経済学というものを通してみたわけです。
つまり、経済人(エコノミスト)という仮定で考えたものです。

 しかし、一般の人の製品の買い方は、情緒的、衝動的な買い方をします。
そのため売り手の上手な人にかかったら、買う気のなかったものまで、買う
気になって買わされてしまいます。中には持っているということだけでよい
人や、隣が買ったからということで買う人もいます。人は、価格のみをより
どころとせず、満足すればよいと思う買い方をするものです。
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★ちよっと苦言:一葉(いちよう)落ちて天下の秋を知る
 ものごとのちょっとした兆候を見て、そのあとの体制を察することのたと
えで、おもに衰え滅びようとする形勢を察するときにいいます。

 この言葉は淮南子(えなんじ)の中の「一葉落つるを見て、歳(とし)の
将(まさ)に暮れんとするを知り、瓶中(へいちゆう)の氷を賭(み)て、
天下の寒きを知る」からきたもので、これは、小さな現象から大きな根本を
悟らなければならぬことをいったものです。

 鍋の中の豆が煮えたかどうかを知るには、全部の豆を食べてみる必要はあ
りません。鍋の中の一つの豆を食べてみれば大体を察することができるよう
に、小さな部分から大きな全体が察せられます。

 青桐の葉が一枚落ちるのを見れば秋の訪れはわかり、手近なものを見れば
遠いものを察することができます。愚かなわれわれでも一枚の歯の脱落に老
いを感じます。

 なお、坪内逍遥の名作「桐一葉」は片桐の桐に豊臣家衰亡の意をこめたも
のでしょう。

1.予感こそ企業検討の好機
 どんな企業でも、赤字になる危険はあります。赤字にならないという絶対
の保証は得られるものではありません。これは倒産についても同様です。

 企業にひそむ赤字の危険性、可能性は、その企業の能力差や業種、規模、
あるいは経営政策の巧拙などによって異なりますが、大別すると、
(1)経営者の政策の失敗という「内部要因」による場合
(2)不可抗力ともいえる「外部要因」による場合
との二つがあります。

 経営の破綻は、いつ、いかなるときに起こるか、予測しにくいものです。
しかし、「どうもおかしい」という感じはあるはずです。これが企業におけ
る「危険への予感」なのです。

 危険への予感がありながら、それを見すごしてしまうのは自己の能力を過
信しているのにほかなりません。人体ならば、まず、「痛み」として自覚さ
れます。だからこそ、いち早く手当することができるのですがが、企業経営
においては、人体が感じる痛みのような明確な自覚症状がとぼしい、といえ
ます。

 最初はわずかなことかもしれません。「どこかスムーズにいかない」とい
う程度の感じでしょう。この形のない不安がきざしたとしたら、それが危険
への予感の第一歩なのです。痛みとしてまだ現われてこなくても、不安を感
じたら、それを見落とさないようにすべきです。安全な経営をしている経営
者ほど、危険に対して敏感なものです。

 そこで、危険への予感があったときこそ、企業の状況を正確に検討し、理
解する、よきチャンスとして活用すべきなのです。

2.なんとかなるだろう…は危険信号
 私たちは不用意にもしばしば「なんとかなるだろう」という言葉を口にし
ます。これは強い願望がありながら、それが容易に達せられないことを予期
している場合に使うことが多いのです。

 ここで注意したいことはこういう状況にあるとき、願望達成のための努力
をしていないという点です。願望成就の期待と、同時にどうにもならないだ
ろうという不安との間にあって、いらだちを押さえる気休めの言葉として口
をつくのです。ここには合理性のカケラさえ見出されないのです。

 経営上のことで「なんとかなるだろう」という気持にかられたとき、企業
にとって、最も重大な事態に直面しているのだと知らねばなりません。それ
は、企業にとって、一つの危険信号といえるからです。

 そこで、経営活動の諸問題を、明確に、積極的に追求することが必要にな
ってきます。たとえば、どんな問題について、「なんとかなるだろう」と思
ったのか整理してみる必要があります。
●資金繰りのことだろうか?
●製造関係のことだろうか?
●販売関係のことだろうか?
●得意先のことだろうか?
●業界のことだろうか?
●労働関係のことだろうか?
●支払のことだろうか?

 「なんとかなるだろう」。これこそ、実は、なんともならないことを知ら
せる赤ランプなのです。経営には、ゴマカシが絶対にきかないことを、肝に
銘じておこなければなりません。

3.赤信号発見のための自己診断
 「どこかスムーズにいかない」という形で、危険への予感の第一報を受け
たら、それをチャンスとして、自社の再確認をすることになります。その一つ
として「経営分析」があります。

 経営分析は、数多くの比率分析がありますが、次の三つが危険防止のポイ
ントになります。

(1)資金圧迫はどの程度か
 人間の健康診断では、まず、血圧について検査するのが普通です。企業経
営の場合でいうと、支払能力の問題がそれに当たります。これを示すのが
当座比率」と呼ばれる、当座資産に対する流動負債の比率です。この比率
は通常100%以上が望ましいと言われています。

 当座資産とは、現金預金受取手形売掛金など、すみやかな換金が可
能なものをさしています。流動負債とは、支払手形、買掛金、短期借入金
借受金、前受金、預り金など、短期日のうちに支払うべきものです。

 この差は、外部からの資金圧迫を表わします。そこで、不足する金額は、
ただちに導入されねばならなりません。この資金圧迫に耐えられる企業であ
るか否かが問題なのです。

(2)企業体質に抵抗力はあるか
 人体の病気に対する抵抗力は、過去に摂取した栄養と、鍛えられた体力に
よってできるものです。企業においても同じことで、その体質と抵抗力は、
過去に得た利益と資本の集積が、現在の総資本利益率や総資本回転率を高め
るように運用されているかどうかにかかっています。

 総資本利益率の低下は赤字を誘い、さらには借入依存の運営に追い込まれ、
資本回転率を悪化させ、金利負担の増大をもたらし、ついには原価高を招
きます。赤字会社のほとんどが、この体質の抵抗力の点で非常に劣っており、
なかには全く抵抗力のないものさえあります。すなわち、栄養失調の状態で
す。すみやかな体質の改善が必要です。

(3)売上高の傾向はどうか
 赤字を予知した場合、最も考えなければならないのが「売上高の減少」で
す。たとえ、現在において減少の事実がなかったとしても、将来の予測はど
うだろうか。現在よりも、今後の売上の予測こそが企業を左右する重要な問
題なのです。

 もしも、下降線をたどっていることが判明したならば、販売対策の建て直
しを急がねばなりません。この傾向があまり長く続くと、回復が不可能にな
ることが考えられるからです。人体におけるガンの発病に似て、早期発見が
必要であり、手遅れは命とりとなることを覚悟すべきです。
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★舘 義之のポジション
 人事・IE・VE・マーケティングコンサルタント
 人事・IE、VE・マーケティングの3輪で企業体質改善の仕組みを構築
して、厳しい経営環境の中で勝ち残っていく会社にすることを第一に支援し
ます。
舘 義之への問い合わせstudy@agate.plala.or.jp
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