こんにちは。
通常、会社における売上(
収益)の計上基準は、『
発生主義の原則に基づく
実現主義による』ものと考えられております。
ただ『
実現主義』と言われても明確性に欠けますが、『
実現主義』に基づく具体的基準として、主に以下の基準が挙げられております。
(1) 出荷基準
商品等の出荷時に先方に対して引渡しがなされたものとみなす基準であり、倉庫
出庫時、船積み時等の出荷時点が考えられる。
(2)
検収基準
取引先が商品等を検収し引取りをしたことをもって、引渡が完了したとする基準。
(3) 使用
収益開始基準
土地、建物等の不動産の販売の場合に、販売先において使用が可能となった日を
収益(売上)計上美等する基準。
(4) 検針基準
ガス、水道、電気等の販売において、検針により販売数量を確認した日を
収益(売上)計上日とする基準。
しかし、上記内容が一般的であるものの、個々の取引における売上時期の判断について、個別で
通達等に定められているものや、公正なる商慣習、
会計慣行に準じて判断されるものもあります。
例えば、下記のように、業界の取引慣行に照らして判断された事例があります。
↓
競走馬の売買に係る
収益の計上の時期は、業界の取引慣行に照らし、売買代金の全額を受領した時とするのが相当であるとした事例
裁決事例集 No.43 - 191頁
たな卸
資産である競走馬の売買後も引き続き売主の管理の下に飼育、調教等が行われる場合において、売主が売買代金の全額を受領した時を当該競走馬の引渡しの時期とし、この時をもって
収益を計上するものとして、継続してこれに基づく
会計処理が行われる限り、その
収益計上基準は業界の取引慣行に照らし公正妥当なものと認めるのが相当である
平成4年6月8日裁決
↑
一方で、納税者側で公正なる慣行と判断して適用した基準が、公正ではないとして否認された事例もあります。
↓
輸出取引に係る
収益計上基準として船荷証券引渡基準(荷為替取組日基準)は公正妥当な
会計処理の基準として相当なものとはいえず、船積日基準によるのが相当であるとした事例
裁決事例集 No.32 - 170頁
請求人は、船荷証券は商品を表象する
有価証券であって、その引渡しによって商品の
所有権が移転するものであるから、船荷証券を
荷為替手形に添付して
銀行に引き渡す日を商品の引渡しの日とする船荷証券引渡基準は
法人税基本通達に定める引渡基準に該当すると主張するが、船荷証券引渡基準は、貿易慣習における
所有権及び危険負担の移転時期に合致しない基準であり、また、売主は
荷為替手形を銀行に売り渡すことにより、初めて輸出商品に対する所持・支配を失うものでなく、しかも、引渡しの時期を比較的自由に決定できるし意性が入り込む余地があるものであるから、公正妥当な
会計処理の基準として相当とはいえない。
結局、商品の占有移転の時期及び経理実務の慣習からみて、輸出取引の
収益計上基準としては、船積日基準によるのが相当である。
昭和61年12月8日裁決
http://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0201010000.html
↑
公正なる商慣習、
会計処理の基準により計上時期を判断する際は慎重に行う必要があるため、必ず専門家にご相談下さい。
相田浩志
税理士事務所
http://aita-tax.jp/
一
会計事務所職員のちょっとしたメルマガ
http://www.mag2.com/m/0001159955.html
職員トン子の満腹日記
http://aita-tax.jp/?cat=15
こんにちは。
通常、会社における売上(収益)の計上基準は、『発生主義の原則に基づく実現主義による』ものと考えられております。
ただ『実現主義』と言われても明確性に欠けますが、『実現主義』に基づく具体的基準として、主に以下の基準が挙げられております。
(1) 出荷基準
商品等の出荷時に先方に対して引渡しがなされたものとみなす基準であり、倉庫出庫時、船積み時等の出荷時点が考えられる。
(2) 検収基準
取引先が商品等を検収し引取りをしたことをもって、引渡が完了したとする基準。
(3) 使用収益開始基準
土地、建物等の不動産の販売の場合に、販売先において使用が可能となった日を収益(売上)計上美等する基準。
(4) 検針基準
ガス、水道、電気等の販売において、検針により販売数量を確認した日を収益(売上)計上日とする基準。
しかし、上記内容が一般的であるものの、個々の取引における売上時期の判断について、個別で通達等に定められているものや、公正なる商慣習、会計慣行に準じて判断されるものもあります。
例えば、下記のように、業界の取引慣行に照らして判断された事例があります。
↓
競走馬の売買に係る収益の計上の時期は、業界の取引慣行に照らし、売買代金の全額を受領した時とするのが相当であるとした事例
裁決事例集 No.43 - 191頁
たな卸資産である競走馬の売買後も引き続き売主の管理の下に飼育、調教等が行われる場合において、売主が売買代金の全額を受領した時を当該競走馬の引渡しの時期とし、この時をもって収益を計上するものとして、継続してこれに基づく会計処理が行われる限り、その収益計上基準は業界の取引慣行に照らし公正妥当なものと認めるのが相当である
平成4年6月8日裁決
↑
一方で、納税者側で公正なる慣行と判断して適用した基準が、公正ではないとして否認された事例もあります。
↓
輸出取引に係る収益計上基準として船荷証券引渡基準(荷為替取組日基準)は公正妥当な会計処理の基準として相当なものとはいえず、船積日基準によるのが相当であるとした事例
裁決事例集 No.32 - 170頁
請求人は、船荷証券は商品を表象する有価証券であって、その引渡しによって商品の所有権が移転するものであるから、船荷証券を荷為替手形に添付して
銀行に引き渡す日を商品の引渡しの日とする船荷証券引渡基準は法人税基本通達に定める引渡基準に該当すると主張するが、船荷証券引渡基準は、貿易慣習における所有権及び危険負担の移転時期に合致しない基準であり、また、売主は荷為替手形を銀行に売り渡すことにより、初めて輸出商品に対する所持・支配を失うものでなく、しかも、引渡しの時期を比較的自由に決定できるし意性が入り込む余地があるものであるから、公正妥当な会計処理の基準として相当とはいえない。
結局、商品の占有移転の時期及び経理実務の慣習からみて、輸出取引の収益計上基準としては、船積日基準によるのが相当である。
昭和61年12月8日裁決
http://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0201010000.html
↑
公正なる商慣習、会計処理の基準により計上時期を判断する際は慎重に行う必要があるため、必ず専門家にご相談下さい。
相田浩志税理士事務所
http://aita-tax.jp/
一会計事務所職員のちょっとしたメルマガ
http://www.mag2.com/m/0001159955.html
職員トン子の満腹日記
http://aita-tax.jp/?cat=15