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起業したい方のための
社会保険・法律・税金の知識
2005/08/21(第25号)
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こんにちは、塩野です。
暑い日が続き、食欲も落ちてしまいますが、最近、いいことを発見
しました。冷やしうどんを梅干と一緒に食べるととてもさっぱりす
るんですね。かなり前に、「ラーメンに梅干」という商品が販売さ
れていましたが、梅干は絶対にラーメンよりうどんがいいです。
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◆このメルマガでは、
社会保険や起業・
退職に関係する法律、税金
などについて、独立開業志望者や週末起業家はどのような点に注意
すべきかという観点からご説明しています。
◆理解しやすくするために、各種制度の細部を省略していたり、あ
えて正式な用語を使わない場合がありますので、ご了承願います。
正確に知りたい場合は、市販の解説書などで確認してくださいね。
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■ 個人と
法人に課せられる
地方税 ■
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●前回、前々回で、
所得税、
法人税、
住民税などについてご説明し
ました。今回は、それらをまとめて、
法人設立や個
人事業における
ポイントについて考えてみたいと思います。
●個人の所得にかかる税率は、
国税、
地方税あわせると次のとおり
です。
所得区分 税率
~200万円の部分 15%
200万円~330万円の部分 21%
330万円~700万円の部分 30%
700万円~900万円の部分 33%
900万円~1,800万円の部分 43%
1,800万円~の部分 50%
●「所得」は控除後ですが、
所得税と
住民税は少し控除額が違いま
すので、ある収入から算出される所得額も違ってきますが、ここで
はザッとどれぐらいの税金がかかるかを見るだけなので、
所得税と
住民税の所得額は同じとみなしています。
●この他に、
住民税の均等割分が4,000円かかります。
また、個
人事業税が、
事業所得の5%分かかりますが、290万円の
控除があります。
●上記のように、所得が増えるにつれ税率が高くなる累進課税です
が、所得区分ごとの上限を超えると急に税率が上がってしまうわけ
ではありません。
●上の例で「200万円~330万円の部分」というように表現している
のは、例えば所得が300万円であれば、
200万円×15%+(300万円-200万円)×21%=51万円
というふうに所得区分ごとに積み上げて計算します。
●次に
法人にかかる税率を見てみます。
所得区分 税率
~400万円の部分 30.806%
400万円~800万円の部分 33.106%
800万円~の部分 44.790%
●この他に、
法人住民税の均等割分が、
資本金や
従業員数に応じて
次のようにかかります。
1,000万円以下 7万円(
従業員50人超の場合は14万円)
1,000万円超~1億円以下 18万円(
従業員50人超の場合は20万円)
※
資本金1億円以上の場合は省略
●この結果をまとめると、以下のことがわかります。
1.個人の所得が900万円以上になると
法人の税率より高くなる
2.
法人化すると、赤字であっても7万円の税金は必ずかかる
3.
資本金を1千万円超にすると、赤字でも納めなければいけ
ない税金が18万円(11万円もアップ)になってしまう
4.個
人事業の場合、
事業所得を290万円以下に抑えると、事業
所得の5%分の税金を納めなくてすむ
5.個人にかかる税金で最も低い税率になるのは所得200万円以
下の場合である
●よく、起業する際に、いきなり
法人化を考えがちですが、所得が
少ないうちは、節税という点ではメリットがないどころか、常に7
万円も税金を払わなければならないことがわかります。
●個人所得が大きくなってくると
法人化を考えてみる価値が出てき
ます。
法人化するとおいしいのは、自分に払う給料を
法人の
経費と
して
全額損金にできることです(ボーナス分はダメです)。
●また、個
人事業から
法人化することで本当においしいのは、
法人
から給料をもらう形にすると、
給与所得控除できる点にあります。
給与所得控除は以下の通りです。
年間の給料
~1,800,000円の部分 40%(最低650,000円)
1,800,000円~3,600,000円の部分 30%
3,600,000円~6,600,000円の部分 20%
6,600,000円~10,000,000円の部分 10%
10,000,000円~の部分 5%
●サラリーマンをしていると
給与所得控除のありがたさを実感でき
ませんが、このように最大40%も控除してくれているのです。給料
が9,000,000円の場合、所得は6,900,000円になるのです。
●もし個
人事業であれば、原則として控除はありません。
青色申告
したとしても最大65万円までしか控除されません。それだけ、給与
所得は
事業所得より優遇されているのです。
●例として、売上12,000,000円、
経費3,000,000円の場合を見てみま
しょう。
法人化した場合、自分の給料を9,000,000円とします。
単純化するために他の控除は
基礎控除も含めて一切ないものとします。
1.個
人事業の場合
事業所得 9,000,000円
納税額
所得税・
住民税所得割 2,343,000円
個
人事業税 305,000円
住民税均等割 4,000円
合計 2,652,000円
2.
法人の場合
個人分
給与所得 6,900,000円
納税額
所得税・
住民税所得割 1,653,000円
住民税均等割 4,000円
合計 1,657,000円
法人分
法人所得 ゼロ
納税額
法人税・
住民税所得割・事業税 ゼロ
住民税均等割 70,000円
個人分+
法人分合計納税額 1,727,000円
●このように
法人化すると、個
人事業の場合より80万円以上の節税
になります。もろもろの控除額がケースバイケースで違いますが、
給与所得控除が使えるというメリットは覚えておくといいですね。
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■ 編集後記 ■
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今回は、節税という点で、
法人化した場合のメリットについてご説
明いたしました。
法人化した場合、
法人所得がゼロになるように、自分の給料を目一
杯多くすれば、
法人税は払わなくて済み、自分の給料は
給与所得控
除によって納税額は少なくなるんですね。
このように節税だけ考えると、自分の給料をいくらにするかは、話
は単純です。
でも、ここに
社会保険がからんできます。
社会保険は、給料(「所
得」ではなくあくまでも「給料」です)の10数パーセントもかかり
ます。とてもウエイトが大きいのです。
これが、支払う分に見合った年金がもらえるのであれば別に問題は
ないのですが、実際は、支払う保険料に見合った年金は期待できな
いのが実態です。
最近も、ある方から有料メール診断で給料の設定額についての相談
がありましたが、
社会保険も加味すると、ベストな給料の額は節税
だけを考えた場合と全く違う結果が出ました。
法人税をゼロにするより、ある程度
法人税も払いつつ、
社会保険料
も加味して給料を設定すると、年間30万円以上も節約になるという
結果が出たのです。しかも老後の年金額にもそんなに影響がないの
です。
かなりいろいろシミュレーションしないといけないのですが、なか
なか興味深い結論が出せたと思っています。
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2005/08/21(第25号)
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こんにちは、塩野です。
暑い日が続き、食欲も落ちてしまいますが、最近、いいことを発見
しました。冷やしうどんを梅干と一緒に食べるととてもさっぱりす
るんですね。かなり前に、「ラーメンに梅干」という商品が販売さ
れていましたが、梅干は絶対にラーメンよりうどんがいいです。
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■ 個人と法人に課せられる地方税 ■
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●前回、前々回で、所得税、法人税、住民税などについてご説明し
ました。今回は、それらをまとめて、法人設立や個人事業における
ポイントについて考えてみたいと思います。
●個人の所得にかかる税率は、国税、地方税あわせると次のとおり
です。
所得区分 税率
~200万円の部分 15%
200万円~330万円の部分 21%
330万円~700万円の部分 30%
700万円~900万円の部分 33%
900万円~1,800万円の部分 43%
1,800万円~の部分 50%
●「所得」は控除後ですが、所得税と住民税は少し控除額が違いま
すので、ある収入から算出される所得額も違ってきますが、ここで
はザッとどれぐらいの税金がかかるかを見るだけなので、所得税と
住民税の所得額は同じとみなしています。
●この他に、住民税の均等割分が4,000円かかります。
また、個人事業税が、事業所得の5%分かかりますが、290万円の
控除があります。
●上記のように、所得が増えるにつれ税率が高くなる累進課税です
が、所得区分ごとの上限を超えると急に税率が上がってしまうわけ
ではありません。
●上の例で「200万円~330万円の部分」というように表現している
のは、例えば所得が300万円であれば、
200万円×15%+(300万円-200万円)×21%=51万円
というふうに所得区分ごとに積み上げて計算します。
●次に法人にかかる税率を見てみます。
所得区分 税率
~400万円の部分 30.806%
400万円~800万円の部分 33.106%
800万円~の部分 44.790%
●この他に、法人住民税の均等割分が、資本金や従業員数に応じて
次のようにかかります。
1,000万円以下 7万円(従業員50人超の場合は14万円)
1,000万円超~1億円以下 18万円(従業員50人超の場合は20万円)
※資本金1億円以上の場合は省略
●この結果をまとめると、以下のことがわかります。
1.個人の所得が900万円以上になると法人の税率より高くなる
2.法人化すると、赤字であっても7万円の税金は必ずかかる
3.資本金を1千万円超にすると、赤字でも納めなければいけ
ない税金が18万円(11万円もアップ)になってしまう
4.個人事業の場合、事業所得を290万円以下に抑えると、事業
所得の5%分の税金を納めなくてすむ
5.個人にかかる税金で最も低い税率になるのは所得200万円以
下の場合である
●よく、起業する際に、いきなり法人化を考えがちですが、所得が
少ないうちは、節税という点ではメリットがないどころか、常に7
万円も税金を払わなければならないことがわかります。
●個人所得が大きくなってくると法人化を考えてみる価値が出てき
ます。法人化するとおいしいのは、自分に払う給料を法人の経費と
して全額損金にできることです(ボーナス分はダメです)。
●また、個人事業から法人化することで本当においしいのは、法人
から給料をもらう形にすると、給与所得控除できる点にあります。
給与所得控除は以下の通りです。
年間の給料
~1,800,000円の部分 40%(最低650,000円)
1,800,000円~3,600,000円の部分 30%
3,600,000円~6,600,000円の部分 20%
6,600,000円~10,000,000円の部分 10%
10,000,000円~の部分 5%
●サラリーマンをしていると給与所得控除のありがたさを実感でき
ませんが、このように最大40%も控除してくれているのです。給料
が9,000,000円の場合、所得は6,900,000円になるのです。
●もし個人事業であれば、原則として控除はありません。青色申告
したとしても最大65万円までしか控除されません。それだけ、給与
所得は事業所得より優遇されているのです。
●例として、売上12,000,000円、経費3,000,000円の場合を見てみま
しょう。法人化した場合、自分の給料を9,000,000円とします。
単純化するために他の控除は基礎控除も含めて一切ないものとします。
1.個人事業の場合
事業所得 9,000,000円
納税額 所得税・住民税所得割 2,343,000円
個人事業税 305,000円
住民税均等割 4,000円
合計 2,652,000円
2.法人の場合
個人分
給与所得 6,900,000円
納税額 所得税・住民税所得割 1,653,000円
住民税均等割 4,000円
合計 1,657,000円
法人分
法人所得 ゼロ
納税額 法人税・住民税所得割・事業税 ゼロ
住民税均等割 70,000円
個人分+法人分合計納税額 1,727,000円
●このように法人化すると、個人事業の場合より80万円以上の節税
になります。もろもろの控除額がケースバイケースで違いますが、
給与所得控除が使えるというメリットは覚えておくといいですね。
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■ 編集後記 ■
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今回は、節税という点で、法人化した場合のメリットについてご説
明いたしました。
法人化した場合、法人所得がゼロになるように、自分の給料を目一
杯多くすれば、法人税は払わなくて済み、自分の給料は給与所得控
除によって納税額は少なくなるんですね。
このように節税だけ考えると、自分の給料をいくらにするかは、話
は単純です。
でも、ここに社会保険がからんできます。社会保険は、給料(「所
得」ではなくあくまでも「給料」です)の10数パーセントもかかり
ます。とてもウエイトが大きいのです。
これが、支払う分に見合った年金がもらえるのであれば別に問題は
ないのですが、実際は、支払う保険料に見合った年金は期待できな
いのが実態です。
最近も、ある方から有料メール診断で給料の設定額についての相談
がありましたが、社会保険も加味すると、ベストな給料の額は節税
だけを考えた場合と全く違う結果が出ました。
法人税をゼロにするより、ある程度法人税も払いつつ、社会保険料
も加味して給料を設定すると、年間30万円以上も節約になるという
結果が出たのです。しかも老後の年金額にもそんなに影響がないの
です。
かなりいろいろシミュレーションしないといけないのですが、なか
なか興味深い結論が出せたと思っています。
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