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勤務間インターバル制度

普通のサラリーマンは、22歳で大学を出てからビジネスマンとして仕事をし、
結婚後は、その収入で家族を養って行かなくてはなりません。
大卒で就職し60歳で定年を迎え、定年後は再雇用などで65歳まで勤務した
としてこの間43年間にもなります。この43年間は多くの社員が、仕事中心の
生活をします。
60歳定年後に嘱託社員として勤務した後も、労働時間を減らして
(勿論給料も減りますが)、会社での負担を少なくしてみても、それでも
仕事中心の生活はさほど変わらないようです。
そして65歳でリタイアした後に、やっとサラリーマンを卒業して
「残りの人生を奥さんと楽しく暮らそうか」と思うのが、普通のサラリーマン
の感覚かもしれません。

問題は、リタイア後の生活が豊かで安心できるかということになります。
一般的には、65歳から夫婦二人で15年くらいの生活を維持して行かなくては
ならないでしょう。また若しかしたら、介護の問題が発生するかもしれません。
年金だけで豊かな生活ができるのであれば問題はありませんが、年金だけで
豊かな生活を維持するのは、現実的には余り期待は出来なそうです。
そこで、定年後に備えて、それなりに蓄えがなければ老後生活が大いに不安に
なるというわけで、現役時代にせっせと貯金に励もうとするわけです
(でも、お金は、思うようには貯まってくれませんが・・・)。

でも、世の中の情勢は、中高年サラリーマンにとって、老後資金を貯める
どころか、むしろ明日の生活を維持することさえ厳しいものになりつつある
ようです。
政府の国家戦略会議が2012年7月上旬に提言した「40歳定年制」については、
新聞記事などで取り上げられ、大変な話題となりました。転職を複数回する
ことが普通になるような社会を目指しながら、職業訓練など労働者への支援も
用意するというのがこの提言の趣旨でした。

今後、この「40歳定年制」がどれだけ現実味を帯びて来るのかは分かりませんが、
既に多くの会社では中高年の収入を抑えたり、役職者を減らしたりする動きが
本格化しているようです。また実際にバブル(1980年代後半から1990年初頭までの
好況期)崩壊後は、中高年サラリーマンの給料は下がり続けています。
厚生労働省の2010年版「労働白書」によると、「1990年代初め頃までは、
“サラリーマンの給料は入社後から上がり続け、50代前半にかけて当初の3倍強
まで上昇”したが、2008年になると、それが2.5倍ほどに縮まっている」と、
バブル崩壊後は、給料(特に中高年サラリーマンの給料)が下がり続けていると
纏めています。

また、年功型給料体系も崩れつつあるようです。
「若い時は給料抑え目でも、中高年になると“若い時の後払い分”も含めて給料が
上がる」という年功制を信じて、若い時に「働き分以下の給料」を甘受していた
中高年サラリーマンは、やっと中高年まで勤め上げて、
「さぁ、これからは、若い時の分まで含めて「給料を頂こう」と思った矢先に、
「成果型賃金制度」なるものが言い出されてしまいました。従来の暗黙の了解
(「中高年になったら働き分以上の給料が貰える」)をホゴにされてしまったのです。
更に挙句の果てには、「40歳定年制」などが提唱されてしまい、
中高年サラリーマン達の“俺たちは割を食った世代だ”という「嘆き節」が、
あちこちから聞こえて来るようです。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○ 「勤務間インターバル制度」
────────────────────────────────
「勤務間インターバル制度」は、終業から次の始業までの間に一定の休息を
取らせる仕組みで、大企業での導入が増えています。
極端な働き過ぎを防ぐことが目的ですが、今後、多くの企業に広がるか
注目されています。
KDDIはこの7月から、「8時間以上の休息確保」ルールを本格的に始めました。
管理職を除く社員約1万人が対象で、午前1時以降の勤務を原則禁止し、
始業時刻の午前9時までに8時間以上の休息が取れるようにするというものです。
1時以降も働いた場合には、次の出勤をその分ずらすことになります。例えば
午前2時退社なら、翌朝の出勤は10時以降となります。
また、8時間ギリギリの日が続かないよう、休息が11時間を下回った日が
1カ月に11日以上あった場合は本人や上司に注意を促します。
以前からあった制度ですが、組合の求めに応じて対象を広げたものです。
欧州連合(EU)では、すでに11時間以上の勤務間インターバルの確保を
企業に義務付けていますが、日本ではこうした法規制はありませんので、
労組が経営側と話し合って自主ルールとして確保に乗り出しています。

24時間営業のレストランを展開するある企業では昨春、店長ら従業員
「11時間以上の休息」を取らせる仕組みをつくりましたが、「店長に急な
残業が入っても、翌朝の仕事をパートに頼める雰囲気ができた」などと
喜ばれているようです。
3週間分の勤務計画を本社がチェックし、人手不足で休息が取れない店には、
近くの店から従業員を派遣させているそうです。
ただ、この制度で働き過ぎが必ず防げるわけではありません。
8時間の休息では、通勤や食事時間を除くと睡眠は5時間ほどになり、
連日続いたら働き手の健康を害するレベルです。
また、休息が取れたとしても仕事量が減らなければ、かえって働き手
を精神的に追いつめる恐れもあります。
中小企業や労組のない企業への浸透も課題です。厚生労働省の審議会
では昨冬、労組側から「勤務間インターバルを導入すべきだ」との
意見が出ましたが、経営側が「企業に一律に導入するのは不可能
」と反対し、法案化には至りませんでした。

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