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【再発防止の提言】個人の健康管理のプロに、不慣れな仕事は危険

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業、電力会社、小売企業等で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。多くの企業様に労働衛生法、従業員の健康、会社の利益を守るお手伝いが出来ればと、新ブランド産業医EX(エキスパート)を立ち上げさせて頂きました。
https://www.sangyouiexpert.com/
 さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
 今回は、「【再発防止の提言】個人の健康管理のプロに、不慣れな仕事は危険」について作成しました。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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再発防止の提言】個人の健康管理のプロに、不慣れな仕事は危険
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 令和2年8月3日付けで、LINEヘルスケアより「不適切なお客様対応に関するお詫び」が発出され、一部報道では、悩む人に「死ぬのが正解」「低レベル」「ガキンチョ」と発言があった旨が示され、SNSにアップされた画像では「診断なんかいくらでも付けられますよ。よくいる世間知らずの10代の女の子です。」と示されていました。
 この様な発言をした医師については、擁護の余地はありませんが、相当なストレスを受けての発言であることは容易に想像できます。
 今回は、こういった不幸な事態が再発しないように、防止のための提言をさせていただきます。

◎個人の健康管理のプロが行う通常業務
 個人の健康管理は、医師法第19条第1項「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」、第20条「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを(中略)交付してはならない。(後略)」及び健康保険法第72条第1項「(前略)保険医(中略)は、厚生労働省令(健康保険法施行規則)で定めるところにより、健康保険の診察又は調剤に当たらなければならない。」に基づき、患者の主訴という『診察治療の求め』を受け、客観的な事実を積み重ねる『診察』を行い、健康保険法施行規則第66条療養費の支給の申請等に要する『傷病名の診断』をし、そして『治療』することになります。実務においては、SOAP(subject、object、assessment、plan)とも表記されます。
 従って、個人の健康管理のプロは、「困った」「苦しい」「痛い」等の「不健康の訴え」という診察治療の求めに応じて、対応することが通常業務になります。個人の健康管理は、患者の「不健康の訴え」ありきが原則なのです。
 さらに、個人の健康管理について、身体的健康は臓器別で専門家が進んでおり、精神的健康は精神科と心療内科が行っています。そして、社会的健康は社会福祉の仕組みにつなげる枠組みができています。個人の健康管理の通常業務では、自らの専門性の追求と連携が行えれば業務が円滑に進む仕組みが出来上がっています。
 こういった業務しか経験の無い医師にとっては、医師の業務はSOAPだけだと勘違いするリスクがあります。もしそうであるならば、「不健康の訴え」ではない一般的な不安を、健康相談という形で受けたため、通常業務から逸脱し、大きなストレスになったと考えられます。ただし、これは当該医師を擁護する訳では無く、医師法第1条「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」とある個人の健康管理以上の健康管理に関する概念を、全うしていなかった当該医師の責任といえます。

◎集団の健康管理のプロが行う通常業務
 集団で「不健康の訴え」が発生する場合、集団の活力が低下し、生産性が下がり、集団から報酬をもらっている健康管理のプロの収入も低下するおそれがあるため、「不健康の訴え」が最小限となるように、予防を全力で行うことになります。
 また、個人が暴走した場合、集団の機能が低下するため、集団で定めた秩序に基づいた対応も必要になります。
 さらに、不健康の訴えを少なくする努力をしても、ゼロにはできませんので、個人の健康管理のプロが行う措置は当然できなくてはなりません。
 こういった業務の中で、身体的・精神的・社会的健康について集団と個人の両方のバランスをとることが必要になります。
 集団の健康管理のプロが行う健康相談の事例としては、第1に傾聴になります。その後、関係者との連携を見える化し、客観的事実を示し、それに基づき「適切に怖がる」ことがどういうことかを説明し、それでも「不健康の訴え」であるなら、個人の健康管理である専門の医療機関へつなげることになります。
 集団の健康管理のプロは、健康な人、健康が崩れた人、疾病を持っている人等、身体的・精神的・社会的にあらゆる属性の人々に対応します。これは、一朝一夕にできる甘いものではありません。実際、産業医の専門医である労働衛生専門医は、取得するまで最短でも5年間が必要です。
 こういった不幸な事態が再発しないように、予防のための健康管理は、集団の健康管理のプロを活用し、個人の健康管理のプロは限定的に活用した方が良いでしょう。

◎悪化の予防に関する提言
 「不適切なお客様対応に関するお詫び」において、「当該医師につきましては、昨日より利用停止とし、今後しかるべき措置を講じてまいります。」とありますが、詳細までは示されていません。
 そこで、悪化の予防に関する提言としては、今回は、医師が健康相談の中で、「診断なんかいくらでも付けられますよ」(以下「診断発言」という。)と発言している点の整理をするべきと考えます。
 患者の「不健康の訴え」に基づく診察中であれば、患者が自覚している不健康が何であるかを見える化する段階の中で、診断発言は比較的許容されるといえます。しかし、本事例は本人が不健康と訴えた後に発生する診察の過程ではありません。その中での診断発言は、不健康の自覚がない人に対して、一方的に「不健康との判断なんかいくらでも付けられますよ」と発言していることになります。健康か不健康かを判断するのは原則本人です。決して、医師の一方的な判断ではありません(意識消失等の救急対応を要する場合は除く。)。
 企業努力として、心を害された利用者に対しては、適切な対応を行っていることと思いますが、医師の責任に関するこの点も、適切な措置を行うべきと存じます。

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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/

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