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「社会保険の適用拡大」について

私は、相変わらず毎日電車やバスに乗って通勤をしていますので、家の隣近所の人の様子は分からなくても、
電車やバスを利用する人たちの感情の動きはよく分かるのです。きっと毎日乗るので利用者のくせなどを
見抜けるようになっているのでしょう。
夕方帰宅時には電車の駅までバスに乗って行くことがよくあります。
先日も、杖を支えに一人佇む私を先頭に、周りを気にせずいちゃつく若いカップル、忙しそうに時計ばかり気にする
サラリーマン、幼子を抱いて遠くを見つめるちょっとお疲れ気味のお母さん……の5人ほどがバスの到着を
待っていました。
性別や年齢、立場や事情が異なる他人どうしが、横一列になってバス停に立ち並ぶ姿には、偶然その場に
居合わせた者どうしが作り出す程よい「間合い」がありました。そしてみんなが早く来ないかなと思いながら、
バスが来る方向をチラチラ眺めるという不思議な一体感もありました。
バスに乗るという共通の目的だけで、見ず知らずの他人が狭い場所に並んで立ち、それぞれが違う人生の中で
偶然に出会ったひと時、そしてバスが来れば順番に乗り込みそれぞれが違う目的地で降りて行き、多分二度と
会うこともない出会い……。何か人生の不思議な巡り合わせを感じたバス停のひと時でした。

新型コロナウイルスの行動制限が全国で解除され、いつもの通勤風景が戻りつつあります。コロナ前と違うのは
電車内でつり革を持たなかったり、離れて席に座ろうとしたり、空いているのに席に座らずに立っていたりと、
出来る限りの感染予防の「自衛策」を取ろうとしている人たちが目立つことです。
全国の私鉄が加盟する日本民営鉄道協会が毎年発表している「電車内の迷惑行為ランキング」で20年度と21年度連続
して1位になったのが「座席の座り方」でした。座席の座り方のうち、最も迷惑に感じる行為として「座席を詰めて
座らない」「座りながら足を伸ばす・組む」といった回答が多かったのですが、「優先席でもお年寄りや
身体の不自由な方などに席を譲らない」という回答も多数を占めていました。
今回は、例年どおりのアンケート調査とは別に「新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、電車利用時に
気になること」という調査も行われました。この調査では「気になること」として「マスクの未着用者」を
挙げた人が全体の67.5%に達し、続いて「周囲の人との会話」が53.2%、と続き、まさに現在の風潮を現わした
ものとなっていました。

ある朝の通勤時、電車内での優先席を巡る出来事です。
私は始発駅まで戻ってホームに並び確保した優先席に座っていました。ある駅に着いた時、キャスターのついた
キャリーバッグを持った70代半ばくらいの男性が乗って来ました。そして、リュックを膝の上に抱えながら優先席に
座っていた20代とみられる女性に声をかけました。
“すみませんね~、年寄りに席を譲ってもらえませんかね~”。
それを受けて、女性はびっくりしながらも黙って席を譲りました。
ちょうど座っていた私の目の前でのやりとりでした。普通にとれば何ともないやりとりかもしれませんが、私は男性の
強引さにちょっと違和感を覚えました。私なら杖を突いたまま座っている人の前に行かないし、ましてや席を譲れなどと
声をかけたりはしません。そんなときは、ちょっと離れたドア際の衝立に寄りかかり、スマホを眺めながら静かに電車に
揺られます。
その後、その男性はキャリーバックからスマホを取り出し、何やらメールのやりとりを始めました。私は
“おいおい優先席だからと席を譲って貰ったのに、ここでスマホいじりはないだろう”との思いを強くしましたが、
黙って見ていました。その後、その男性は私の降りる一つ手前の駅で降りて行きましたが、男性の前に立っていた
(席を譲ってくれた)女性に一言のお礼もなくさっさと降りて行きました。
私は“一言有難うくらいあっても良かっただろうに!”と思いながら、偉そうに肩を怒らせて降りて行くその
高齢者の後姿を眺めていました……。

今回は「社会保険の適用拡大」についての話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
社会保険の適用拡大」
10月1日より従業員数101人以上の会社のパート・アルバイトが厚生年金健康保険加入対象になります。
加入対象は、(1)週所定労働時間20時間以上、(2)月額賃金8.8万円以上、(3)2カ月超雇用見込みがある、
(4)学生ではない、の4つに該当する従業員ですが、手取り収入への影響から、働き方を変える人が出て
くることも考えられます。
例えば、加入対象の人がシフトを増やして社保負担による手取り減を回避したいと言ったり、扶養を外れたくない人が
シフトを減らしたいと言ったりするかもしれません。
会社の保険料負担や発生する手続きも気になりますが、従業員が働き方を変えるとシフト編成等に影響が生じる
可能性もあります。従業員へのヒアリング等を行い、業務に支障が出ないように準備が必要です。
上記要件のうち、(3)は当初契約雇用期間が2カ月以内でも、契約更新等されると、当初から社会保険に加入と
なります。これまでの「1年超」との要件が撤廃されるため、特に適用漏れに注意が必要です。
年金事務所による調査で適用漏れは厳しくチェックされ、万が一適用漏れがあると保険料の遡及払いが発生し、
従業員負担分も含めていったん会社が立て替えざるを得なくなったりします。適正に手続きがされているか、
チェックしておくとよいでしょう。
雇用保険料率も10月から引上げ
従業員数100人未満の会社も、雇用保険料率の引上げによる影響があります。一般の事業で事業主分が
1,000分の6.5から8.5に、労働者分が1,000分の3から1,000分の5に引き上げられます。
特に労働者分は平成29年度以降据え置かれていたため、若い従業員には率が変わるものと認識していない人も
いるかもしれません。10月分の給与明細と一緒に、保険料率の変更を案内してあげるとよいでしょう。


以上

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