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通勤途上の喧嘩は労災?

現在の日本で一番数が多い世帯は、夫婦と子どもからなる家族ではなく、単身で暮らす「おひとり様」で、
特にここ数年は65歳以上の単身世帯が急速に増えているとのことです(2019年厚労省調べ)。
そして、65歳以上で一人暮らしの男性は、妻に先立たれた人がほとんどだそうです。
この世代の男性は家事を妻に任せっきりにしてきた人が多く、自分で自分の身の回りのことができないという
傾向があります。日常生活を送る上で自立できていないわけですが、残念ながら、本人がそれに気づくのは
妻が亡くなった後になるようです。
多くの男性は、妻より自分の方が先に逝くと思い込んでいるので、一人暮らしになった時に備えて家事力を
身につけておこうという考えはありません。
「死後のことは妻が何とかしてくれるだろう」と奥さんに丸投げ状態にしていますが、若しそのまま奥さんが
先に逝ってしまったら、料理も洗濯も掃除もままならない状態のまま、ある日突然一人暮らしになってしまうでしょう。
そうなれば日常生活に深刻な問題が起きてしまうことは想像に難くありません
(因みに、妻を亡くした男性の余命は、同年齢の平均余命に比べて30%以上短くなるそうです)。
然し、時代は変わりました。これからは妻の介護が先になる、もしくはいざというときに妻に頼れないと
いうケースも増えてくるかもしれませんし、残念ながら夫が一人暮らしになってしまうことも出てくるかもしれません。
若し、高齢になってから「おひとり様生活」になってしまったら、大切なことは「兎も角、自分の身の回りのことは
自分でできる」ことだと言われています。

でも、ひとは色々で、「おひとり様生活」は快適だと主張する人もいます。
「おひとりさまの老後」(2007年、法研)を出版した社会学者、上野千鶴子さんは、「高齢者の独居は本人にとっても
子供にとっても幸せで快適。周囲にさまざまな関わりがあれば、『おさみしいでしょう』というのは大きなお世話。
独居イコール孤立といったステレオタイプはやめてほしい。高齢になるとめったに突然死はしないし、今では要介護
なればほとんどケアマネジャーがつくため、放っておかれることはない。不安に思う必要はありません」と語っています。
大阪府門真市の医師は、診察の際のやりとりなどを通して「1人暮らしの高齢者も家族同居と同じぐらい生活の満足度が
高いのではないか」と感じたそうです。
そこで、診療を通じての聞き取り調査などを実施したところ、独居生活の満足度は同居を上回り、悩みは少なかったとの
結果を得たと発表しました。子供の有無や男女による差もなかったそうです。家族と同居する人の満足度が低い理由
について、その医師は「家族への対応に苦慮するためだろう」と分析しています。
家族とうまくいかなかったり、コミュニケーションが取れなかったりすれば、生活の満足度は急激に下がります。
他方、独居なら、体調が悪くても自分のペースで動けて家族に配慮する必要もありません。
ただし、満足度の高いひとり暮らしの条件としては、「(1)自由で気ままに暮らせること、(2)信頼できる同世代の
友人や親類が2~3人は居て、たまに話ができること、(3)住み慣れた土地に住んでいること、そして(4)なによりも
健康であること」が前提とのことでした。

私も勝手気ままな「おひとり様生活」は気楽でいいと思う反面、突然の病気に対する不安も時々頭をかすめたりします。
だから兎も角「健康が第一」と「清く正しく規則的」で味気ない生活を毎日繰り返しています。
“何だかなぁ?”と思いながら……。               

さて、前回の「職場のハラスメント対応」は如何だったでしょう?
今回は「通勤途上の喧嘩は労災?」の話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
通勤途上の喧嘩は労災?」
通勤途上の電車内や駅構内で「見知らぬ他人」と口論し、喧嘩となり、殴られてケガを負った場合も、通勤災害
認められるのでしょうか?             
通勤の途上で労働者が負傷、疾病、障害または死亡したときは、労災保険給付が支給されます。但し、その負傷や疾病が、
通勤と相当因果関係があること、つまり通勤に通常伴う危険が具体化したと認められることが必要です(平18基発0331042号)。通勤途上における他人の故意に基づく暴行は、被害者の「自招行為(自ら招いた)や私怨によるものを除き、通勤による
ものと推定する」(平21・7・23基発0723第12号)とされています。 
通勤中に飲料水の自販機の順番待ちを巡りトラブルになり、相手に殴られ頭部外傷などの傷病を負った事案について、
労基署は労災とは認めず不支給処分としたものの、審査請求により「暴力を誘因する過失」は認められなかったとして、
原処分を取り消した例があります。      
喧嘩相手を挑発したり、殴り合ったりして怪我した場合は、「私的怨恨や自招行為に基づくもの」などとされ、労災の
対象とされない可能性が大きいと思われます。
通勤災害に該当する条件は細かく分かれており、「通勤」に関する定義もいくつもあるのでチェックが必要なのと、
すべてにおいて合理的な方法かという判断が必要になります。最終判断は労働基準監督署になるので、不明点がある場合は、
労基署に相談してみるといいでしょう。

以上

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