こんにちは、
産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
従業員の健康問題(
従業員主治医の診断書が起因)が企業の経営に直結し、時には社長・
役員の辞任、売上減少、
株主代表訴訟にまで発展するケースが顕在化しています。また、
従業員の健康を第一に守るという目的により、企業ガバナンスの逆転現象が起き、結果的に健康を守りきれなかったという矛盾も生じています。
健康管理は、ケガからハラスメントまで、対策の範囲が広いです。そこで、企業ガバナンスを経営者主体という本来の形にすることで、会社と経営者を第一に守り、その結果、
従業員の健康を守るという目的で、下記の日本規格協会規格(JSA 規格)「JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針」を開発しました。
また、認証機関も立ち上げております。
なお、日本規格協会は、経済産業省による認定産業標準作成機関であり、唯一のマネジメントシステム作成機関です。
企業主体の健康管理体制の構築について、ぜひJSA-S1025をご活用ください。
今回は、「【JSA-S1025】開発の解説」について作成しました。
企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。
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【JSA-S1025】開発の解説
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JSA-S1025作成の背景
企業経営の専門性は事業運営に特化しており、社内に健康の専門家が常駐しているケースは稀です。特に、医療機関の人件費水準を考慮すると、企業が専門家を
雇用することは経済的負担が小さくありません。しかし、ひとたび
従業員に健康障害が発生すれば、その責任は企業の経営層に追求されることになります。
こうした課題を解決するため、これまでにも厚生労働省の指針や
ISOによるマネジメント規格が数多く策定され、同時に健康専門家も学会や専門医制度を通じて知識の向上に努めてきました。いずれも質の高いものですが、一方で、
従業員の健康障害が原因で経営者の引責辞任、売上の低下、
株主代表訴訟といった問題は依然として残っています。また、職域の健康問題に起因する利害関係の複雑化は、企業活動の健全性を脅かすリスクも顕在化させています。
この状況を改善すべく、企業側と健康専門家側の強みを組み合わせ、経験の少ない企業でも現場で活用できるよう、健康専門家を効果的に活用するための指針として日本規格協会規格(JSA規格)「JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針」を開発(令和7年8月28日リリース)しました。
JSA-S1025の目的
企業経営において「健康管理」の重要性は広く認識されていますが、その取り組みは、法令遵守のための形式的な対応や、個々の
従業員に対する
個別対応に留まることが少なくありません。JSA-S1025は、職域の健康管理を「
従業員の健康リスクに対して、専門家の評価に基づく危険予知と危険回避を行うこと」と定義し、より戦略的なアプローチを提示しています。
JSA-S1025の新規性
JSA-S1025は、職域健康管理を円滑にするための革新的なフレームワークを提示し、その目的は以下の3点に集約されます。
目的1:職域健康管理の「事業目的」への組み込み
本規格の第一の目的は、健康管理の質を向上させ、企業の事業目的達成に直結する経営活動へと昇華させることにあります。
従来の職域健康管理は、
産業医や
衛生管理者といった専門家が「個人の健康」を管理する「サービス」として捉えられがちでした。
そこで、本規格では、
従業員の健康状態が組織全体のパフォーマンスに影響を及ぼすという観点から、健康管理を経営層が主体的に関与すべき人的
資本マネジメントの根幹として位置づけています。
経営者主体のマネジメントとなることで、企業ガバナンスの強化につながります。
目的2:専門家と経営層の役割の明確化
本規格の第二の目的は、職域健康管理に関わる経営層と専門家の役割分担を明確化することにあります。これまでの健康管理では、専門家が単独で実務を遂行し、その活動が経営層から十分に理解されない「ブラックボックス」となる傾向がありました。
しかし、本規格は、経営層が「健康管理の方向性を定める」という戦略的役割を、職域健康専門家が「その方針に基づいた具体的な実務を遂行する」という戦術的役割を担うことを明確に定義します。この役割分担を円滑にするために、経営層が回す「組織のPDCAサイクル」と、専門家が回す「SOAPIDCARISサイクル」という、二重のマネジメントサイクルを規定しました。これにより、専門家の活動が経営層に可視化され、健康管理の成果が客観的に評価できる体制が構築されます。
企業ガバナンスの中で、責任が明確になることで、課題も可視化され、さらなる改善につながります。
目的3:客観的データに基づく「科学的健康管理」の推進
本規格の第三の目的は、属人的な経験則に頼りがちだった職域健康管理を、客観的データに基づいた「科学的健康管理」へと進化させることにあります。
SOAPIDCARISサイクルにおける「主観的情報の収集(Subject)」と「客観的情報の収集(Object)」は、個人の健康状態だけでなく、職場環境や業務内容に関する情報を科学的に分析するプロセスです。これにより、勘や経験に頼るのではなく、データに基づいた合理的かつ再現性の高い健康管理計画を立案・実行することが可能となります。この科学的アプローチは、経営層が健康管理への投資対効果を判断する上で不可欠な、信頼性の高い根拠を提供します。
従業員の健康障害をゼロにすることはできません。科学で発生しない事象について、法的責任を負うことはありません。しかし、健康障害が起きた時に企業ガバナンスを適切に構築していたかは、危険予知・危険回避責任の観点で、法的に問われることになります。
特に、専門家と経営層の役割の明確化し、それぞれの強みを連結させる点は、他の規格にはなく新規性が高いと言えます。
まとめ
JSA-S1025は、単なるマニュアルではなく、企業が「健康管理」を次のステージへ引き上げるための経営モデルです。本規格が示す二重のマネジメントサイクルとデータに基づくアプローチは、貴社の人的
資本を最大化し、持続的な成長を実現するための羅針盤となるでしょう。
企業ガバナンス構築ツールとして、JSA-S1025の有効活用をお勧めします。
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JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針
JSA-S1025ページ
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JSA-S1025%3A2025
JSA-S1025紹介
https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/jsa/pdf_jsa_372.pdf
こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
従業員の健康問題(従業員主治医の診断書が起因)が企業の経営に直結し、時には社長・役員の辞任、売上減少、株主代表訴訟にまで発展するケースが顕在化しています。また、従業員の健康を第一に守るという目的により、企業ガバナンスの逆転現象が起き、結果的に健康を守りきれなかったという矛盾も生じています。
健康管理は、ケガからハラスメントまで、対策の範囲が広いです。そこで、企業ガバナンスを経営者主体という本来の形にすることで、会社と経営者を第一に守り、その結果、従業員の健康を守るという目的で、下記の日本規格協会規格(JSA 規格)「JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針」を開発しました。
また、認証機関も立ち上げております。
なお、日本規格協会は、経済産業省による認定産業標準作成機関であり、唯一のマネジメントシステム作成機関です。
企業主体の健康管理体制の構築について、ぜひJSA-S1025をご活用ください。
今回は、「【JSA-S1025】開発の解説」について作成しました。
企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。
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【JSA-S1025】開発の解説
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JSA-S1025作成の背景
企業経営の専門性は事業運営に特化しており、社内に健康の専門家が常駐しているケースは稀です。特に、医療機関の人件費水準を考慮すると、企業が専門家を雇用することは経済的負担が小さくありません。しかし、ひとたび従業員に健康障害が発生すれば、その責任は企業の経営層に追求されることになります。
こうした課題を解決するため、これまでにも厚生労働省の指針やISOによるマネジメント規格が数多く策定され、同時に健康専門家も学会や専門医制度を通じて知識の向上に努めてきました。いずれも質の高いものですが、一方で、従業員の健康障害が原因で経営者の引責辞任、売上の低下、株主代表訴訟といった問題は依然として残っています。また、職域の健康問題に起因する利害関係の複雑化は、企業活動の健全性を脅かすリスクも顕在化させています。
この状況を改善すべく、企業側と健康専門家側の強みを組み合わせ、経験の少ない企業でも現場で活用できるよう、健康専門家を効果的に活用するための指針として日本規格協会規格(JSA規格)「JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針」を開発(令和7年8月28日リリース)しました。
JSA-S1025の目的
企業経営において「健康管理」の重要性は広く認識されていますが、その取り組みは、法令遵守のための形式的な対応や、個々の従業員に対する個別対応に留まることが少なくありません。JSA-S1025は、職域の健康管理を「従業員の健康リスクに対して、専門家の評価に基づく危険予知と危険回避を行うこと」と定義し、より戦略的なアプローチを提示しています。
JSA-S1025の新規性
JSA-S1025は、職域健康管理を円滑にするための革新的なフレームワークを提示し、その目的は以下の3点に集約されます。
目的1:職域健康管理の「事業目的」への組み込み
本規格の第一の目的は、健康管理の質を向上させ、企業の事業目的達成に直結する経営活動へと昇華させることにあります。
従来の職域健康管理は、産業医や衛生管理者といった専門家が「個人の健康」を管理する「サービス」として捉えられがちでした。
そこで、本規格では、従業員の健康状態が組織全体のパフォーマンスに影響を及ぼすという観点から、健康管理を経営層が主体的に関与すべき人的資本マネジメントの根幹として位置づけています。
経営者主体のマネジメントとなることで、企業ガバナンスの強化につながります。
目的2:専門家と経営層の役割の明確化
本規格の第二の目的は、職域健康管理に関わる経営層と専門家の役割分担を明確化することにあります。これまでの健康管理では、専門家が単独で実務を遂行し、その活動が経営層から十分に理解されない「ブラックボックス」となる傾向がありました。
しかし、本規格は、経営層が「健康管理の方向性を定める」という戦略的役割を、職域健康専門家が「その方針に基づいた具体的な実務を遂行する」という戦術的役割を担うことを明確に定義します。この役割分担を円滑にするために、経営層が回す「組織のPDCAサイクル」と、専門家が回す「SOAPIDCARISサイクル」という、二重のマネジメントサイクルを規定しました。これにより、専門家の活動が経営層に可視化され、健康管理の成果が客観的に評価できる体制が構築されます。
企業ガバナンスの中で、責任が明確になることで、課題も可視化され、さらなる改善につながります。
目的3:客観的データに基づく「科学的健康管理」の推進
本規格の第三の目的は、属人的な経験則に頼りがちだった職域健康管理を、客観的データに基づいた「科学的健康管理」へと進化させることにあります。
SOAPIDCARISサイクルにおける「主観的情報の収集(Subject)」と「客観的情報の収集(Object)」は、個人の健康状態だけでなく、職場環境や業務内容に関する情報を科学的に分析するプロセスです。これにより、勘や経験に頼るのではなく、データに基づいた合理的かつ再現性の高い健康管理計画を立案・実行することが可能となります。この科学的アプローチは、経営層が健康管理への投資対効果を判断する上で不可欠な、信頼性の高い根拠を提供します。
従業員の健康障害をゼロにすることはできません。科学で発生しない事象について、法的責任を負うことはありません。しかし、健康障害が起きた時に企業ガバナンスを適切に構築していたかは、危険予知・危険回避責任の観点で、法的に問われることになります。
特に、専門家と経営層の役割の明確化し、それぞれの強みを連結させる点は、他の規格にはなく新規性が高いと言えます。
まとめ
JSA-S1025は、単なるマニュアルではなく、企業が「健康管理」を次のステージへ引き上げるための経営モデルです。本規格が示す二重のマネジメントサイクルとデータに基づくアプローチは、貴社の人的資本を最大化し、持続的な成長を実現するための羅針盤となるでしょう。
企業ガバナンス構築ツールとして、JSA-S1025の有効活用をお勧めします。
========================
JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針
JSA-S1025ページ
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JSA-S1025%3A2025
JSA-S1025紹介
https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/jsa/pdf_jsa_372.pdf