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■
行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第119号/2008/1/1>■
1.はじめに
2.「
会社法務編/中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(63)」
3.「市
民法務編/ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(46)」
4.編集後記
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1.はじめに
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あけましておめでとうございます。
行政書士の津留信康です。
2007年は、「今年の漢字・“偽”(※)」のとおり、
「“偽り、騙し、偽物”ばかりが目立つ1年」でしたが、
今年こそは、「“本物”が話題になる、“真”の年」であって欲しいものですね。
※)財団
法人日本漢字能力検定協会
http://www.kanken.or.jp/event/index.html
それでは、2008年も、よろしくお願い申し上げます。
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2.「
会社法務編―中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(63)」
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★2007/8/15発行の第110号より、
「平成19年度
司法書士試験問題」の解説を通じて、
“
会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
第10回目は、「株式の
譲渡制限」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■株式の
譲渡制限に関する規定の
登記に関する次の1~5の記述のうち、
正しいものはどれか。
1.株式の
譲渡制限に関する規定の設定の
登記の申請書には、
定款に別段の定めがある場合を除き、
議決権を行使することができる
株主の半数以上であって、
当該
株主の
議決権の4分の3以上にあたる多数
で議決した
株主総会の議事録を添付しなければならない。
□正解: ×
□解説
設問肢のような場合の
株主総会の決議要件(特殊決議)は、
「
議決権を行使することができる
株主の半数以上であって、
当該
株主の
議決権の3分の2以上の多数」です(
会社法第309条第3項第1号)。
2.
株券発行会社がする、
株式の
譲渡制限に関する規定の設定の
登記の申請書には、
株式の全部について
株券の不所持申出がされている場合であっても、
株券提供公告をしたことを証する書面を添付しなければならない。
□正解: ×
□解説
設問肢のような場合(
会社法第217条、第219条第1項第1号・本文但書)には、
株券提供公告をしたことを証する書面の添付は不要です(商業
登記法第62条)。
3.株式の
譲渡制限に関する規定の設定の
登記の申請は、
株券提供公告の期間満了の日の翌日から2週間以内にしなければならない。
□正解: ×
□解説
設問肢の
登記申請は、その効力発生日(
株主総会決議の日等)から2週間以内
にしなければなりません(商業
登記法第915条第1項)。
ちなみに、
株券提供公告については、
当該効力発生日までにしなければなりません(
会社法第219条第1項本文)。
4.
取締役会設置会社であっても、
譲渡による株式の取得について
株主総会の承認を要する旨の
株式の
譲渡制限に関する規定の設定の
登記の申請をすることができる。
□正解: ○
□解説
会社法第139条第1項本文・但書を参照のこと。
5.
特例有限会社は、
株式の
譲渡制限に関する規定の廃止の
登記の申請をすることができない。
□正解: ○
□解説
株式の
譲渡制限の定めに関する特則を規定した、
「
会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第9条」を参照のこと。
★次号(2008/1/15発行予定の第120号)では、
「募集株式の発行」について、ご紹介する予定です。
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3.「市
民法務編―ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(46)」
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★2007/8/15発行の第110号より、
「平成19年度
司法書士試験問題」の解説を通じて、
民法各編についての理解を深めていただいておりますが、
第10回目は「共有」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■共有に関する次の1~5の記述のうち、
判例の趣旨に照らし、正しいものはどれか。
1.共有者の1人が、共有者間の協議に基づかないで、
農地である共有地を造成して宅地にする工事を行っている場合には、
他の共有者は、当該共有者に対して、
当該工事の差止めを請求することができる。
□正解: ○
□解説
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、
共有物に変更を加えることはできません(
民法第251条)。
よって、設問肢のような場合、他の共有者は、
各自の持分権に基づく差止め請求をすることができます(最判H10.3.24)。
2.共有者の1人が、共有者間の協議に基づかないで、
共有地を占有している場合には、
他の共有者は、当該共有者に対して、
当該共有地の明渡しを請求することができる。
□正解: ×
□解説
各共有者は、共有物の全部について、
その持分に応じた使用をすることができます(
民法第249条)。
よって、設問肢のような場合であっても、他の共有者は、
当然には、明渡し請求をすることはできません(※最判S41.5.19)。
※)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=28018&hanreiKbn=01
3.第三者が共有地を不法に占有している場合には、
各共有者は、単独では、当該第三者に対して、
当該共有地の明渡しを請求することができない。
□正解: ×
□解説
共有物の保存行為は、各共有者がすることができます(
民法第252条但書)。
よって、設問肢のような場合、
各共有者は、単独で、明渡し請求をすることができます(大判T10.7.18)。
4.第三者が共有地を不法に占有している場合において、
当該第三者に対して、
不法行為に基づく
損害賠償の請求をするときは、
各共有者は、自己の持分の割合を超えて
損害賠償の請求をすることができない。
□正解: ○
□解説
設問肢のような場合であっても、
各共有者は、自己の持分割合を超えて、他の共有者の持分割合についてまで、
損害賠償の請求をすることができません(最判S51.9.7)。
5.共有者の1人が、共有者間の協議に基づかないで、
共有地を第三者に賃貸している場合には、
他の共有者は、当該第三者に対して、
当該共有地の明渡しを請求することができる。
□正解: ×
□解説
各共有者は、共有物の全部について、
その持分に応じた使用をすることができます(
民法第249条)。
設問肢のような場合の第三者は、
当該共有者の持分の限度で、共有地を占有使用する権原を有するため、
他の共有者は、当然には、
明渡し請求をすることはできません(最判S63.5.20)
★次号(2008/1/15発行予定の第120号)では、
「
留置権」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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★1/15(水)まで、第168臨時国会が開会中ですが、次期通常国会など、
今後、国会への提出が予定(予想)されている法案の一部をまとめてみました。
詳しくは、こちら(※)をご覧ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_9b94.html
■第119号は、いかがでしたか?
次号(第120号)は、2008/1/15発行予定です。
■編集責任者:
行政書士 津留信康
□津留
行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(
http://www.mag2.com/)」を利用しており、
購読の解除は、「
http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。
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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第119号/2008/1/1>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(63)」
3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(46)」
4.編集後記
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1.はじめに
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あけましておめでとうございます。行政書士の津留信康です。
2007年は、「今年の漢字・“偽”(※)」のとおり、
「“偽り、騙し、偽物”ばかりが目立つ1年」でしたが、
今年こそは、「“本物”が話題になる、“真”の年」であって欲しいものですね。
※)財団法人日本漢字能力検定協会
http://www.kanken.or.jp/event/index.html
それでは、2008年も、よろしくお願い申し上げます。
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2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(63)」
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★2007/8/15発行の第110号より、
「平成19年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
“会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
第10回目は、「株式の譲渡制限」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■株式の譲渡制限に関する規定の登記に関する次の1~5の記述のうち、
正しいものはどれか。
1.株式の譲渡制限に関する規定の設定の登記の申請書には、
定款に別段の定めがある場合を除き、
議決権を行使することができる株主の半数以上であって、
当該株主の議決権の4分の3以上にあたる多数
で議決した株主総会の議事録を添付しなければならない。
□正解: ×
□解説
設問肢のような場合の株主総会の決議要件(特殊決議)は、
「議決権を行使することができる株主の半数以上であって、
当該株主の議決権の3分の2以上の多数」です(会社法第309条第3項第1号)。
2.株券発行会社がする、
株式の譲渡制限に関する規定の設定の登記の申請書には、
株式の全部について株券の不所持申出がされている場合であっても、
株券提供公告をしたことを証する書面を添付しなければならない。
□正解: ×
□解説
設問肢のような場合(会社法第217条、第219条第1項第1号・本文但書)には、
株券提供公告をしたことを証する書面の添付は不要です(商業登記法第62条)。
3.株式の譲渡制限に関する規定の設定の登記の申請は、
株券提供公告の期間満了の日の翌日から2週間以内にしなければならない。
□正解: ×
□解説
設問肢の登記申請は、その効力発生日(株主総会決議の日等)から2週間以内
にしなければなりません(商業登記法第915条第1項)。
ちなみに、株券提供公告については、
当該効力発生日までにしなければなりません(会社法第219条第1項本文)。
4.取締役会設置会社であっても、
譲渡による株式の取得について株主総会の承認を要する旨の
株式の譲渡制限に関する規定の設定の登記の申請をすることができる。
□正解: ○
□解説
会社法第139条第1項本文・但書を参照のこと。
5.特例有限会社は、
株式の譲渡制限に関する規定の廃止の登記の申請をすることができない。
□正解: ○
□解説
株式の譲渡制限の定めに関する特則を規定した、
「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第9条」を参照のこと。
★次号(2008/1/15発行予定の第120号)では、
「募集株式の発行」について、ご紹介する予定です。
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3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(46)」
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★2007/8/15発行の第110号より、
「平成19年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
民法各編についての理解を深めていただいておりますが、
第10回目は「共有」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■共有に関する次の1~5の記述のうち、
判例の趣旨に照らし、正しいものはどれか。
1.共有者の1人が、共有者間の協議に基づかないで、
農地である共有地を造成して宅地にする工事を行っている場合には、
他の共有者は、当該共有者に対して、
当該工事の差止めを請求することができる。
□正解: ○
□解説
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、
共有物に変更を加えることはできません(民法第251条)。
よって、設問肢のような場合、他の共有者は、
各自の持分権に基づく差止め請求をすることができます(最判H10.3.24)。
2.共有者の1人が、共有者間の協議に基づかないで、
共有地を占有している場合には、
他の共有者は、当該共有者に対して、
当該共有地の明渡しを請求することができる。
□正解: ×
□解説
各共有者は、共有物の全部について、
その持分に応じた使用をすることができます(民法第249条)。
よって、設問肢のような場合であっても、他の共有者は、
当然には、明渡し請求をすることはできません(※最判S41.5.19)。
※)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=28018&hanreiKbn=01
3.第三者が共有地を不法に占有している場合には、
各共有者は、単独では、当該第三者に対して、
当該共有地の明渡しを請求することができない。
□正解: ×
□解説
共有物の保存行為は、各共有者がすることができます(民法第252条但書)。
よって、設問肢のような場合、
各共有者は、単独で、明渡し請求をすることができます(大判T10.7.18)。
4.第三者が共有地を不法に占有している場合において、
当該第三者に対して、不法行為に基づく損害賠償の請求をするときは、
各共有者は、自己の持分の割合を超えて損害賠償の請求をすることができない。
□正解: ○
□解説
設問肢のような場合であっても、
各共有者は、自己の持分割合を超えて、他の共有者の持分割合についてまで、
損害賠償の請求をすることができません(最判S51.9.7)。
5.共有者の1人が、共有者間の協議に基づかないで、
共有地を第三者に賃貸している場合には、
他の共有者は、当該第三者に対して、
当該共有地の明渡しを請求することができる。
□正解: ×
□解説
各共有者は、共有物の全部について、
その持分に応じた使用をすることができます(民法第249条)。
設問肢のような場合の第三者は、
当該共有者の持分の限度で、共有地を占有使用する権原を有するため、
他の共有者は、当然には、
明渡し請求をすることはできません(最判S63.5.20)
★次号(2008/1/15発行予定の第120号)では、
「留置権」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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★1/15(水)まで、第168臨時国会が開会中ですが、次期通常国会など、
今後、国会への提出が予定(予想)されている法案の一部をまとめてみました。
詳しくは、こちら(※)をご覧ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_9b94.html
■第119号は、いかがでしたか?
次号(第120号)は、2008/1/15発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
□津留行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
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