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ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
石下雅樹法律・
特許事務所 第31号 2008-02-04
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http://www.ishioroshi.com/
法律相談のお申し込みは
http://www.ishioroshi.com/btob/soudan_firstb.html
顧問弁護士
契約についての詳細は
http://www.ishioroshi.com/btob/komon_firstb.html
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1 不正競争防止法の虚偽の事実の告知の責任
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東京
地方裁判所平成19年12月26日判決
事案は次のとおりです。
生ゴミ処理機を製造,販売するX社が,同様に生ゴミ処理機を
製造,販売するYに対し訴訟を起こしました。
X社の主張は,Y社が,X社の製品に関する虚偽の事実を,Y
社の管理するウェブサイト上で表示し,また,X社やX社の製
品に関する虚偽の事実を記載した書面をX社の顧客に交付した,
これは,X社の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布
であって,不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に当
たる,というものでした。
ちなみに,ウェブサイト上に表示した表示内容は,「この会社
は弊社製品,生ゴミ処理装置,ゴミサーの偽造品を製造販売し
ています,ご注意をして頂きたい事を通知致します。」「この
会社は弊社製品,生ゴミ処理機ゴミサーを偽造し販売していま
す」というものでした。
そのため,X社は,Y社に対し,上記のような書面の交付の差
止,上記ウェブサイト上の表示の削除を求め,さらに,X社の
信用等を害されたことによる無形損害3000万円の支払を求
めました。
なお,本件については,
代理店
契約と競業禁止義務の効力とい
う別のビジネス上の重要な論点もあります(もともとX社はY
社の
代理店でした)が,これは次号以降で取り上げたいと思い
ます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2 判決の概要
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本件では,ウェブサイト上で掲載された内容(原告製品が偽造
品である旨)の虚偽事実性が問題となりましたが,虚偽である
と判断されました。
しかし,ウェブサイトの掲載については,訴訟の途中で表示が
削除されていたため,差止の必要性が認められず,また,書面
の交付については,X社の主張そのものが認められませんでし
た。それで,
差止請求については認められませんでした。
他方,X社の信用の毀損については,100万円の損害額が認
定されました。この根拠ははっきりませんが,ウェブサイト上
の「表示の記載内容及び掲載期間(上記・・のとおり1年余で
あると認められる。)等の事情」からとされました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3 解説
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
不正競争防止法2条1項14号は,競争関係にある他人の信用を毀
損する行為を不正競争行為としています。
具体的な要件は以下のとおりです。
1 争いとなっている両者間に競争関係にあること
2 ある事実について告知又は流布行為があること
3 2の事実が虚偽であること
4 2の告知又は流布が他人の営業上の信用を害すること
したがって,例えば,ライバル会社,競争相手の取引先に対し
て,当該競争相手の商品についてネガティブなことを告げたり,
ホームページ上で告知する場合は,十分な注意が必要です。例
えば,よくある例としては,自社で
特許権を持っており自社製
品を製造しているとして,競争相手がその
特許権を侵害した製
品を製造又は販売しているように思える場合があります。
この場合,競争相手の取引先に対し,競争相手の製品が自社の
特許権を侵害しているといったことを文書で告知したり,ホー
ムページ上に掲載して告知したりした後,結果的に,裁判で特
許権の侵害が否定されたり,又はその
特許権が無効となった場
合,場合によっては,この「
特許権の侵害」という告知が不正
競争行為として責任を問われる可能性があります。
そして,不正競争行為が認められた場合,不正競争行為を行なっ
た者に対しては,
差止請求
信用回復請求(謝罪広告とか,取引先に対して謝罪文を発送さ
せるなどの方法)
損害賠償請求
などの厳しい措置が認められることがあります。
したがって,競争相手に直接ではなく,競争行為の取引先へ何
かを告知する場合などは,事前に必ず弁護士の助言を得ること
は自社を守る重要なプロセスではないかと思います。
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本マガジンの無断複製,転載を禁止します。
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【編集発行】石下雅樹法律・
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〒220-0011 神奈川県横浜市西区高島2-10-13
横浜東口ビル4階
mailto:
info@ishioroshi.com
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mailto:
info@ishioroshi.com まで
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1 不正競争防止法の虚偽の事実の告知の責任
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東京地方裁判所平成19年12月26日判決
事案は次のとおりです。
生ゴミ処理機を製造,販売するX社が,同様に生ゴミ処理機を
製造,販売するYに対し訴訟を起こしました。
X社の主張は,Y社が,X社の製品に関する虚偽の事実を,Y
社の管理するウェブサイト上で表示し,また,X社やX社の製
品に関する虚偽の事実を記載した書面をX社の顧客に交付した,
これは,X社の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布
であって,不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に当
たる,というものでした。
ちなみに,ウェブサイト上に表示した表示内容は,「この会社
は弊社製品,生ゴミ処理装置,ゴミサーの偽造品を製造販売し
ています,ご注意をして頂きたい事を通知致します。」「この
会社は弊社製品,生ゴミ処理機ゴミサーを偽造し販売していま
す」というものでした。
そのため,X社は,Y社に対し,上記のような書面の交付の差
止,上記ウェブサイト上の表示の削除を求め,さらに,X社の
信用等を害されたことによる無形損害3000万円の支払を求
めました。
なお,本件については,代理店契約と競業禁止義務の効力とい
う別のビジネス上の重要な論点もあります(もともとX社はY
社の代理店でした)が,これは次号以降で取り上げたいと思い
ます。
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2 判決の概要
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本件では,ウェブサイト上で掲載された内容(原告製品が偽造
品である旨)の虚偽事実性が問題となりましたが,虚偽である
と判断されました。
しかし,ウェブサイトの掲載については,訴訟の途中で表示が
削除されていたため,差止の必要性が認められず,また,書面
の交付については,X社の主張そのものが認められませんでし
た。それで,差止請求については認められませんでした。
他方,X社の信用の毀損については,100万円の損害額が認
定されました。この根拠ははっきりませんが,ウェブサイト上
の「表示の記載内容及び掲載期間(上記・・のとおり1年余で
あると認められる。)等の事情」からとされました。
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3 解説
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不正競争防止法2条1項14号は,競争関係にある他人の信用を毀
損する行為を不正競争行為としています。
具体的な要件は以下のとおりです。
1 争いとなっている両者間に競争関係にあること
2 ある事実について告知又は流布行為があること
3 2の事実が虚偽であること
4 2の告知又は流布が他人の営業上の信用を害すること
したがって,例えば,ライバル会社,競争相手の取引先に対し
て,当該競争相手の商品についてネガティブなことを告げたり,
ホームページ上で告知する場合は,十分な注意が必要です。例
えば,よくある例としては,自社で特許権を持っており自社製
品を製造しているとして,競争相手がその特許権を侵害した製
品を製造又は販売しているように思える場合があります。
この場合,競争相手の取引先に対し,競争相手の製品が自社の
特許権を侵害しているといったことを文書で告知したり,ホー
ムページ上に掲載して告知したりした後,結果的に,裁判で特
許権の侵害が否定されたり,又はその特許権が無効となった場
合,場合によっては,この「特許権の侵害」という告知が不正
競争行為として責任を問われる可能性があります。
そして,不正競争行為が認められた場合,不正競争行為を行なっ
た者に対しては,
差止請求
信用回復請求(謝罪広告とか,取引先に対して謝罪文を発送さ
せるなどの方法)
損害賠償請求
などの厳しい措置が認められることがあります。
したがって,競争相手に直接ではなく,競争行為の取引先へ何
かを告知する場合などは,事前に必ず弁護士の助言を得ること
は自社を守る重要なプロセスではないかと思います。
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