━━☆━━━━━━━━━━━━ 労災の認定基準~
パワハラは ━━━━━━━━━━━━
┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏ C O N T E N T S┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏
┏┏┏
┏┏ ◇ 判断基準の見直し
┏┏ ◇ 労災認定訴訟
┏┏ ↑
パワハラによる精神疾患
┏┏ ↓
パワハラ⇔自殺 の因果関係
┏┏ ◇ うつ病で
傷病手当金をだまし取った
詐欺容疑
┏┏┏
┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
判断基準の見直し
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
厚生労働省は4月6日、うつ病などの精神疾患や自殺についての労災認定をする際に用いる判断
基準を10年ぶりに見直すことを決め、各労働局に
通達を出しました。
●
パワハラなどが認定できるよう12項目の判断基準が新設
会社の
合併や
成果主義の
採用、効率化など働く環境の変化を念頭に、ストレスの要因となる職
場の出来事として「違法行為を強要された」「仕事で多額の損失を出した」など12項目を追
加。
評価項目の増加により、労災が認定されやすくなるとみられます。
07年度のうつ病などの労災認定は268人(うち自殺81人)で、認定数は毎年過去最多を更新し
ている状態。
精神疾患による労災認定は、1999年に作成された「心理的負荷評価表」に基づき審査され、労
働基準監督署が発病前6カ月に職場で起きた出来事を調べ、評価表に基づきストレスの強い順
に3、2、1の3段階で、業務上の労災かどうかを判断するものです。
「
退職を強要された」「(重大な)交通事故を起こした」などの出来事は最も強いストレスと
位置づけられていました。
今回の見直しで強度3で新設されたのは、「対人関係」について「ひどい嫌がらせ、いじめ、
暴行を受けた」。
これまで明確な基準がなかった
パワハラによる精神疾患については、この基準で判断できるよ
うになりました。
「部下とのトラブル」は軽度から中度の評価に変えられました。
強度2「仕事の失敗、過重な責任の発生等」では、「違法行為の強要」(中度)や、企業の人
員削減や
成果主義の導入が進んできたことから、
「複数名で担当していた業務を1人で担当」「達成困難なノルマが課された」といった基準を
新たに設定。
また「身分の変化等」では、「仕事上の差別、不利益取り扱いを受けた」の項目の冒頭に
「非正規社員であるとの理由等により」が付け加えられました。
しかし、評価する出来事を発症前6カ月に限定している点は今回変えられておらず、
「発症後の出来事も評価すべきだ」との指摘もあり、論議を呼びそうです。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
労災認定訴訟(東京地裁07.10.15)
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
上述の基準改定のきっかけともなった、
パワハラによる自殺⇒労災認定 訴訟です。
【事案】2003年に製薬会社の男性社員(当時35歳)が自殺した原因は、上司の暴言によるもの
だとして妻が国に対して労災認定を求めた。
【経緯】男性は1997年から、東京都内に本社のある製薬会社の静岡営業所で営業担当とし
て勤務していましたが、2002年4月に赴任してきた係長から、
「存在が目障りだ。居るだけでみんなが迷惑している。お願いだから消えてくれ!」
「車のガソリン代ももったいない」(営業で使用する車のガソリン代のこと)
「どこへ飛ばされようと、俺が仕事しない奴だと言いふらしたる!」
「お前は会社を食い物にしている、給料泥棒!」
などの暴言を受けました。
男性は、上司のこうした発言によって自分を責め続け、ついには自殺願望から抜けられなくな
ってしまったといいます。家族への思いもあり、また当初は「見返したい」という気持ちもあ
ったとのことですが、上司の発言の影響が強く、気力を取り戻すことができませんでした。
02年12月~03年1月、適応障害やうつ病を発症し、取引先とのトラブルが続いた後の
03年3月に自殺。
男性の遺書には、係長から受けた暴言が記され、「自分の欠点ばかり考えてしまい、自分が大
嫌いになりました。先月からふと『死にたい』と感じていました」などと書かれていたそうで
す。
【判決】男性の自殺を労災と認定
↓
国に
遺族補償給付の不支給処分の取り消し命令
【判決理由】
1.係長の態度には男性への嫌悪の感情があった
2.男性の立場を配慮せずに大声で傍若無人に発言していた
↓
「係長の言葉は過度に厳しく、男性の人格、存在自体を否定するものもあった。
男性の心理的負担は、通常の『上司とのトラブル』の範囲を大きく超えていた」
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
うつ病で
傷病手当金をだまし取った
詐欺事件
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
一方、これとはまったく対極的な事件の初公判が4月6日、秋田地裁でありました。
うつ病を装い
傷病手当金をだまし取った
詐欺容疑事件です。
詐欺容疑で逮捕されたのは、貴金属販売の
合資会社「アクア」の代表社員と、秋田、福島、八
戸、仙台の4支店長。
詐取の手口はインターネットの
オークションで買ったとみられ、この情報をもとに精神科医や
社会保険事務局をだます手引をつくり、演技指導までしていたといいます。
うつ病で働けなくなったとの虚偽の申請書を地元の
社会保険事務局に提出し、
傷病手当金計
1500万円超をだまし取ったとされます。…(以下朝日新聞)
一連の手口について、佐野被告は「05年ごろにネット
オークションで情報を落札した」と供
述。サイトに書かれた「もうけ話がある」との触れ込みに興味を引かれて入札。3千円で落札
すると、
詐欺の詳細な手口が閲覧できたという。
…実際にアクアの社員を診察した札幌市内の精神科医は、「怪しいと感じ、『本当に具合が悪
いのか』と直接尋ねたこともあった」と振り返る。
しかし、深刻な表情で「頭がガンガン痛い」「気分が落ち込む」などと訴えられると、「完全
に否定できるだけの根拠がなかった。
一人ひとり自宅まで押しかけて生活を観察すれば見抜けるだろうが、患者は多く、現実的には
無理だ」という。
…
社会保険事務局によると、診断書に疑問があれば、別の医師に審査を依頼する。だが、「審
査医は内科、外科が多く、精神科はほとんどいない」。実際、秋田県の場合も審査医師は精神
科医ではなかった。
…事件発覚後、アクアからの申請書類を見たという関係者は「書類は完璧(かんぺき)だっ
た。再び虚偽申請があっても、防ぐことは難しい」と話している。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
この2つの全く次元の異なる訴訟から何を感じるかといえば、
精神疾患については認定基準があっても、個別の症状判断によるところが大きいから、精神科
の専門家でも難しいものだ、ということです。
だからこそ、精神疾患についてはより具体的な事例が上げられ、詳細な基準設定となっている
のでしょうが。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
┏━━━━━┓CH
ECK >>> ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┛┃┏━┳━┛ ̄ ̄ ̄ ┃ 社労・暁(あかつき) ┃
┃┣━┫ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗┣━┫
┓ ┗┳┛
http://www18.ocn.ne.jp/~akatukip/
┗━━┛
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
━━☆━━━━━━━━━━━━ 労災の認定基準~パワハラは ━━━━━━━━━━━━
┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏ C O N T E N T S┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏
┏┏┏
┏┏ ◇ 判断基準の見直し
┏┏ ◇ 労災認定訴訟
┏┏ ↑ パワハラによる精神疾患
┏┏ ↓ パワハラ⇔自殺 の因果関係
┏┏ ◇ うつ病で傷病手当金をだまし取った詐欺容疑
┏┏┏
┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
判断基準の見直し
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
厚生労働省は4月6日、うつ病などの精神疾患や自殺についての労災認定をする際に用いる判断
基準を10年ぶりに見直すことを決め、各労働局に通達を出しました。
●パワハラなどが認定できるよう12項目の判断基準が新設
会社の合併や成果主義の採用、効率化など働く環境の変化を念頭に、ストレスの要因となる職
場の出来事として「違法行為を強要された」「仕事で多額の損失を出した」など12項目を追
加。
評価項目の増加により、労災が認定されやすくなるとみられます。
07年度のうつ病などの労災認定は268人(うち自殺81人)で、認定数は毎年過去最多を更新し
ている状態。
精神疾患による労災認定は、1999年に作成された「心理的負荷評価表」に基づき審査され、労
働基準監督署が発病前6カ月に職場で起きた出来事を調べ、評価表に基づきストレスの強い順
に3、2、1の3段階で、業務上の労災かどうかを判断するものです。
「退職を強要された」「(重大な)交通事故を起こした」などの出来事は最も強いストレスと
位置づけられていました。
今回の見直しで強度3で新設されたのは、「対人関係」について「ひどい嫌がらせ、いじめ、
暴行を受けた」。
これまで明確な基準がなかったパワハラによる精神疾患については、この基準で判断できるよ
うになりました。
「部下とのトラブル」は軽度から中度の評価に変えられました。
強度2「仕事の失敗、過重な責任の発生等」では、「違法行為の強要」(中度)や、企業の人
員削減や成果主義の導入が進んできたことから、
「複数名で担当していた業務を1人で担当」「達成困難なノルマが課された」といった基準を
新たに設定。
また「身分の変化等」では、「仕事上の差別、不利益取り扱いを受けた」の項目の冒頭に
「非正規社員であるとの理由等により」が付け加えられました。
しかし、評価する出来事を発症前6カ月に限定している点は今回変えられておらず、
「発症後の出来事も評価すべきだ」との指摘もあり、論議を呼びそうです。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
労災認定訴訟(東京地裁07.10.15)
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
上述の基準改定のきっかけともなった、パワハラによる自殺⇒労災認定 訴訟です。
【事案】2003年に製薬会社の男性社員(当時35歳)が自殺した原因は、上司の暴言によるもの
だとして妻が国に対して労災認定を求めた。
【経緯】男性は1997年から、東京都内に本社のある製薬会社の静岡営業所で営業担当とし
て勤務していましたが、2002年4月に赴任してきた係長から、
「存在が目障りだ。居るだけでみんなが迷惑している。お願いだから消えてくれ!」
「車のガソリン代ももったいない」(営業で使用する車のガソリン代のこと)
「どこへ飛ばされようと、俺が仕事しない奴だと言いふらしたる!」
「お前は会社を食い物にしている、給料泥棒!」
などの暴言を受けました。
男性は、上司のこうした発言によって自分を責め続け、ついには自殺願望から抜けられなくな
ってしまったといいます。家族への思いもあり、また当初は「見返したい」という気持ちもあ
ったとのことですが、上司の発言の影響が強く、気力を取り戻すことができませんでした。
02年12月~03年1月、適応障害やうつ病を発症し、取引先とのトラブルが続いた後の
03年3月に自殺。
男性の遺書には、係長から受けた暴言が記され、「自分の欠点ばかり考えてしまい、自分が大
嫌いになりました。先月からふと『死にたい』と感じていました」などと書かれていたそうで
す。
【判決】男性の自殺を労災と認定
↓
国に遺族補償給付の不支給処分の取り消し命令
【判決理由】
1.係長の態度には男性への嫌悪の感情があった
2.男性の立場を配慮せずに大声で傍若無人に発言していた
↓
「係長の言葉は過度に厳しく、男性の人格、存在自体を否定するものもあった。
男性の心理的負担は、通常の『上司とのトラブル』の範囲を大きく超えていた」
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
うつ病で傷病手当金をだまし取った詐欺事件
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
一方、これとはまったく対極的な事件の初公判が4月6日、秋田地裁でありました。
うつ病を装い傷病手当金をだまし取った詐欺容疑事件です。
詐欺容疑で逮捕されたのは、貴金属販売の合資会社「アクア」の代表社員と、秋田、福島、八
戸、仙台の4支店長。
詐取の手口はインターネットのオークションで買ったとみられ、この情報をもとに精神科医や
社会保険事務局をだます手引をつくり、演技指導までしていたといいます。
うつ病で働けなくなったとの虚偽の申請書を地元の社会保険事務局に提出し、傷病手当金計
1500万円超をだまし取ったとされます。…(以下朝日新聞)
一連の手口について、佐野被告は「05年ごろにネットオークションで情報を落札した」と供
述。サイトに書かれた「もうけ話がある」との触れ込みに興味を引かれて入札。3千円で落札
すると、詐欺の詳細な手口が閲覧できたという。
…実際にアクアの社員を診察した札幌市内の精神科医は、「怪しいと感じ、『本当に具合が悪
いのか』と直接尋ねたこともあった」と振り返る。
しかし、深刻な表情で「頭がガンガン痛い」「気分が落ち込む」などと訴えられると、「完全
に否定できるだけの根拠がなかった。
一人ひとり自宅まで押しかけて生活を観察すれば見抜けるだろうが、患者は多く、現実的には
無理だ」という。
…社会保険事務局によると、診断書に疑問があれば、別の医師に審査を依頼する。だが、「審
査医は内科、外科が多く、精神科はほとんどいない」。実際、秋田県の場合も審査医師は精神
科医ではなかった。
…事件発覚後、アクアからの申請書類を見たという関係者は「書類は完璧(かんぺき)だっ
た。再び虚偽申請があっても、防ぐことは難しい」と話している。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
この2つの全く次元の異なる訴訟から何を感じるかといえば、
精神疾患については認定基準があっても、個別の症状判断によるところが大きいから、精神科
の専門家でも難しいものだ、ということです。
だからこそ、精神疾患についてはより具体的な事例が上げられ、詳細な基準設定となっている
のでしょうが。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
┏━━━━━┓CHECK >>> ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┛┃┏━┳━┛ ̄ ̄ ̄ ┃ 社労・暁(あかつき) ┃
┃┣━┫ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗┣━┫
┓ ┗┳┛
http://www18.ocn.ne.jp/~akatukip/
┗━━┛
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/