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コラムの泉

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(未上場)中小企業における議決権(支配権)の意識

 未上場企業のオーナー社長様から、A社、B社、C社、その他関連会社(以下「A社グループ」という)の資本関係の整理をしたいとご相談を受けたときのお話です。


 A社グループは、いわゆる持株会社(A社)方式をとり、M&Aで買取った会社あり、その下にぶら下がる会社あり…等で、資本関係が複雑化してきたことや財務体質の改善のため、資本関係を整理したいとのことでした。


 持株会社であるA社(株式は100%オーナー社長様所有)は、B社の議決権の3分の2以上を有し、他のB社株主はB社の取締役数名という株主構成です。そして、B社は、A社グループの中でもっとも売上げを伸ばしているC社の議決権の過半数を有しています。


 オーナー社長様からのご相談の概要は次のとおりです。


 「財務コンサルのコンサルティングを受けて、主に財務体質の改善(貸付金と売買代金との相殺)のため、A社が3分の2以上を有するB社株式の全株をB社が自己株式として取得することになったのだが、何か問題はないかね?」
(なお、会社法第461条の分配可能額内の要件は満たしています)


 愕然として言葉につまりました・・・。


 B社が自己株式として取得するということは、取得した株式分の議決権は“ゼロ”ということになり、相対的に、B社の他株主であるB社の取締役数名の議決権が増加することを意味します。つまり、A社(=オーナー社長様)が支配していたB社は、一瞬にして、B社の取締役数名の支配下となってしまうのです。さらに、稼ぎ頭であるC社も間接的にはB社取締役数名が支配することになります(B社がC社の議決権の過半数を有している)。


 幸い、B社の取締役会でいったん決議された自己株式の取得は、再度の取締役会で中止決定となりました。結局、(オーナー社長様も含め)B社取締役全員が、「自己株式議決権はない」ということを知らなかったため、すんなり、自己株式取得の中止が決定されましたが、今はインターネットで検索すれば、すぐ情報が得られる時代ですので、もし自己株式の取得がそのまま実行され後に他取締役議決権のことに気がついたら・・・目も当てられない状況になっていたことでしょう。


 未上場オーナー企業の中には、株主総会が形骸化していることもあり、議決権に対する意識がここまで低いこともあるのか・・・、そして何より財務コンサルは何をしているんだ(キャッシュフローにしか目が行かない??)!!と考えさせられる事件でした。


 キャッシュフロー(お金)に目を奪われて、会社を乗っ取られてしまっては元も子もないですね^^


名無し

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