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解雇予告期間中の労災

◆事例:解雇予告期間中の労災

 勤務態度が悪い従業員に対し解雇予告をしていたところ、あと数日で解雇と
いう日に労災を起こし入院してしまいました。予定通りの日に解雇できるでし
ょうか。

◇回答----------------------------------------------------------------
 労災で休業中の従業員を解雇することはできません。この場合、解雇予告期
間はリセットされ、復帰して30日経過後に解雇となります。

■解説----------------------------------------------------------------
 基準法第19条によると、解雇制限として「労働者が業務上の傷病による療養
のため休業する期間及びその後30日間は解雇できない」こととなっています。
 また、ここでいう解雇は懲戒解雇も含まれます。
 端的に言えば、労災で休業中の期間及びその後30日間は従業員の身分が保障
されており、何をやっても解雇されないともいえます。

 この規定は、事例のごとく解雇予告されている従業員に対しても適用されま
すので、あと数日で解雇という日に発生した災害であっても、休業となれば休
業期間及び復帰後30日間は解雇ができなくなります。たとえ休業日が1日でも
そうです。

 但し、この期間は解雇ができないというだけであって、解雇予告まで制限さ
れているわけではありません。既に行った解雇予告については、予告そのもの
が無効となるわけではなく、既に経過した解雇予告期間のみがリセットされる
ことになります。従って、復帰後30日経過後に解雇の効力が発生すると考えら
れます。
 ただ、実務上はトラブルを防止する観点から、復帰した時点で改めて解雇予
告が存在していることを説明し、30日後に解雇する旨伝達するのが好ましいで
しょう。
 例外として、休業期間が数ヶ月以上の長期にわたっており、解雇予告として
の効力を失うような場合は、改めて解雇予告を行うこととされています。
(S26.6.25基収第2609号)

 いずれにせよ、労災における解雇制限では「休業」の有無が重要なポイント
になります。
 実際に休業していても、本人が勝手に休んでいるような場合は休業中の期間
とはなりません。あくまでも療養のために必要と認められる期間だけが対象で
あり、その期間は一般的には医師の証明によることとなります。疑問が残るよ
うな場合は、会社の指定する医師に再診断を求めることも可能です。

 また、逆に多少無理しながらでも出社し、通常業務を行っている場合も、休
業中の期間とはなりません。普通こんな人は解雇の対象にならないでしょうが。

 なお、これらの解雇制限は業務上災害の場合であって、通勤災害の場合は適
用されません。


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