相談の広場
教えてください。現在、産休中の職員が産休後に年休を取ってから育休を取得したいとの要望が出ています。育休中も年休が20日発生するため、それを消化したいようです。そこでお尋ねしたいのは①産休後に年休を消化してその後、育休を取得することは問題ないか ②問題がなければ、その後、同じ要望が出てくると予想されますが、それにはどう対処すればいいでしょうか。よろしくお願いします。
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> ①産休後に年休を消化してその後、育休を取得することは問題ないか
まず、産前産後については、労基法第65条により、大雑把に言うと産前は本人の請求を条件とした就業禁止とし、
産後は本人の請求の有無を問うことなく就業禁止としています。
ですから産前については、本人からの請求のない場合には産前休暇として取り扱う必要がありません。(別の言い方をすると、有給休暇を使える。)
これに対し産後8週間は就業させてはならない(法律によって労働義務が免除されている)ため、そもそも有給休暇を行使する余地が無いことになります。
また育児休業中の場合、育児介護休業法第5条では、労働者が申し出ることにより申し出た期間について、事業主は育児休業を与えなければならないものとしています。
この期間中は、産前産後の休業中と同様に労働が免除されているわけですから、有給休暇を付与する余地は無いという解釈になります。
申出がない場合は通常の労働義務のある日ということになります。
つまり育児休業を請求しない期間については有給休暇を行使することが可能だと考えてよいと思います。
上記のように問題があり、ですので②にはいきません。
念のため確認させていただきたいのですが、
ご質問の方が取得を希望しているのは、未消化の年次有給休暇ではなく、
“育児休業中”に付与される年次有給休暇なのでしょうか?
つまり、年次有給休暇を前取りしたいということでしょうか?
そうであれば、まだ付与されていないものである以上、
当然ながら請求権がありませんから、
それを認める必要はありません。
> ①産休後に年休を消化してその後、育休を取得することは問題ないか
これについては、冒頭のような状況であれば、すでにお話したとおりですが、
そうでない場合は状況によって違ってきます。
まず、①を考える際にポイントとなる点についてご説明させていただきます。
育児休業は、「子供が生まれてから1歳の誕生日の前日まで(一定条件を満たせは1歳6ヶ月になるまで)の間で、“労働者が申し出た期間”」とされているため、
育児休業開始日の1ヶ月前までに事業主に申し出れば、
育児休業開始日と育児休業終了日は、上記の期間内で労働者が自由に決めることができます。
したがって、育児休業を数ヶ月のみにしたり、
短期間だけ職場復帰したあとに育児休業を取得するというようなことも可能です。
(そういった方は少ないとは思いますが)
また、年次有給休暇は、通達により、
「労働の義務がない日については、年次有給休暇を取得する余地はない」
とされているため、
産休中や育児休業等の取得により、すでに労働の義務が免除されている期間については、
年次有給休暇を取得する余地はないということになります。
これを踏まえて、いくつか例をあげてご説明させていただきます。
【例1】
育児休業開始前に未消化の年次有給休暇があり、
産休終了後に年次有給休暇を消化し、その後育児休業を開始したいと申し出があった場合
→前述のとおり、育児休業は原則として労働者の申し出た日が育児休業開始日となります。
たとえば、10/31まで産休の方が、11/21からの育児休業を申し出たとすると、
10/31までは産休の取得によりすでに労働の義務が免除されているわけですから、
この期間に年次有給休暇を取得することはできません。
また、11/21以降は、育児休業の取得により労働の義務が免除されるわけですから、
この期間に年次有給休暇を取得することはできません。
しかしながら、11/1~20は、産休でも育児休業でもありませんから、労働の義務がある日となり、
この日に年次有給休暇の取得の申し出があった場合は、
時季変更権を行使するだけの合理的な理由がない限り、
会社としては、それを認めるしかないことになります。
【例2】
育児休業開始前に未消化の年次有給休暇があり、
産休や育児休業の期間中に、それを消化したいと申し出があった場合
→その方には未消化の年次有給休暇の請求権自体はありますが、
前述のとおり、すでに労働の義務が免除されている日には、
年次有給休暇を取得する余地はありません。
したがって、産休中や育児休業中に年次有給休暇の取得を申し出たとしても、
年次有給休暇を取得することはできません。
たとえば、10/31まで産休の方が11/1からの育児休業を申し出たとすると、
労働者の申し出により、11/1以降は労働の義務が免除されているわけですから、
その後に11/1~20まで年次有給休暇を取得したいと申し出たとしても、
その期間に年次有給休暇を取得することはできないことになります。
【例3】
育児休業中の方が、育児休業開始後に付与された年次有給休暇の取得を申し出た場合
→年次有給休暇は付与された日から請求権が発生します。
したがって、育児休業中に年次有給休暇が付与された場合、
その付与日から2年間は請求権があることになりますが、
例2の場合と同様、育児休業中はすでに労働の義務が免除されている状態であることから、
育児休業中に年次有給休暇を取得する余地はありません。
したがって、育児休業中に付与された年次有給休暇を取得することが可能になるのは、
育児休業終了後ということになります。
> ②問題がなければ、その後、同じ要望が出てくると予想されますが、それにはどう対処すればいいでしょうか。
例1のケースに当たるのであれば、法的には有効ですので、
時季変更権を行使するだけの合理的な理由がない限り、
会社としては認めざるを得ません。
例2、例3のケースについては、そもそも年次有給休暇を取得する余地がありませんから、
「労働の義務が免除されている期間については、年次有給休暇を取得することはできないと通達が出ている」
という旨を伝えればよろしいかと思います。
> 【例1】の
> 「育児休業開始前に未消化の年次有給休暇があり、
> 産休終了後に年次有給休暇を消化し、その後育児休業を開始したいと申し出があった場合」に当たります。会社としては時季変更権を行使するだけの合理的な理由がない限り、年休を認めるしかないということですが、合理的な理由にはどういう理由がありますか。
年次有給休暇は、“労働者が請求した日”に与えなければならないというのが大前提です。
ですから、原則的には、労働者が年次有給休暇の取得を申し出れば、会社はこれを認めるしかありません。
しかしながら、社員が一斉に年次有給休暇の取得を申し出た場合などのように、
無条件に取得を認めると会社の業務が成り立たないというケースもありうることから、
極めて限定的な条件下でのみ、
例外的に事業者が年次有給休暇を取得する時季を変更させることが認められています。
これが時季変更権です。
※注:あくまでも取得する時季の“変更”を求めることが可能なだけで、
年次有給休暇の取得自体を“拒否”することはできません。
労働基準法第39条4項では、
「使用者は、前3項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」
と規定されています。
つまり、「事業の正常な運営を妨げる場合」に当たらない限りは、時季変更権の行使はできないということです。
また、上記の「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、
「当該労働者の年休取得日の労働がその者の担当業務を含む相当な単位の業務(課、係の業務など)の運営にとって不可欠であり、かつ代替要員の確保が困難であることが必要である」
と解されています。
言い換えれば、
「その人がその日に年次有給休暇を取得すると、会社の業務に重大な支障がある」
「その人の代わりになる人員を確保することが難しい」
という両方の条件を満たしている場合に限り、
時季変更権の行使が可能、ということになります。
これは今回のようなケースばかりでなく、
通常勤務されている方が年次有給休暇の取得を求めた場合でも同様です。
普通は、産休後にそのまま育児休業に入るという前提で、
産休に入った時点で代替要員を確保しているはずですので、
「代替要員の確保が困難」な状態とは見なされないと思いますよ。
当初は産休後すぐに復職予定で、産休終了後の代替要員は確保されていない、
というような状況だと、少し事情が違ってくるかもしれませんが・・・。
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