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採用調査について

著者 ordlly さん

最終更新日:2010年01月05日 16:04

採用時に行う採用調査(身元調査)は法的に問題ないのでしょうか?

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Re: 採用調査について

専門家ではありませんが、公開上場企業内の社内監査業務を担当しております。

ご質問の、採用時の身元調査のことですが、これについて、最高裁が「適法」という判決を出した判例があります。

これによりますと、
「企業は、自己の営業のためにどのような者をどのような条件で雇うかについて、原則として自由に行うことができる。企業が特定の思想、信条を有する者をそのことを理由に雇入れを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない。」「企業が労働者の性向、思想等の調査を行うことは、企業活動としての合理性を欠くものということはできないし、そのような調査を違法とすることはできない。」(昭和48年12月12日・三菱樹脂事件)

ただ、この「採用の自由」「調査の自由」は無制限に認められているわけでありません。この最高裁も同判決の中で、「法律その他による特別の制限がある場合は採用の自由に制限がある」旨をも述べています。
一つの事例として公共の福祉または勤労権の保障とそれを根拠とした社会的弱者等の雇用促進などの観点から、採用の自由は制限されると認めている場合もあります。
これらの点から念頭におく必要があるのは、上記判決からは既に30年以上が経過していること、その間の法制、社会情勢もだいぶ変化しているということです。
そのため、上記判決そのままに、採用の自由、調査の自由が幅広く認められているという判断は避ける必要があります。

厚生労働省の採用等に関する要点として「応募者の適性・能力のみを基準として行うこと」を求めており、以下のような項目について、面接時に質問あるいは情報を収集したりしないよう十分配慮するようにという行政指導をしています。

<本人に責任のない事項>
・本籍・出生地に関すること
・家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境に関すること(生い立ちなど)
<本来自由であるべき事項>
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
労働組合・学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
<その他>
・身元調査などの実施
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

また、最近一番の問題点は、個人情報保護法に関する要点でしょう。
同法令では、個人情報を収集する際には利用目的を明示すること、そして個人情報を提供する場合には本人の同意を得ることを義務づけています。
これらの点から考えれば、やはり調査そのものも不適切であると考えます。



> 採用時に行う採用調査(身元調査)は法的に問題ないのでしょうか?

Re: 採用調査について

著者ordllyさん

2010年01月06日 14:22

ご丁寧にありがとうございます。
それでは、
①学歴・職歴が履歴書と合致しているかを調べる程度の調査は違法にはならないのでしょうか?

②調査を行う際、本人にその旨を知らせたほうがいいのでしょうか?

ご回答の程よろしくお願い致します。

> 専門家ではありませんが、公開上場企業内の社内監査業務を担当しております。
>
> ご質問の、採用時の身元調査のことですが、これについて、最高裁が「適法」という判決を出した判例があります。
>
> これによりますと、
> 「企業は、自己の営業のためにどのような者をどのような条件で雇うかについて、原則として自由に行うことができる。企業が特定の思想、信条を有する者をそのことを理由に雇入れを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない。」「企業が労働者の性向、思想等の調査を行うことは、企業活動としての合理性を欠くものということはできないし、そのような調査を違法とすることはできない。」(昭和48年12月12日・三菱樹脂事件)
>
> ただ、この「採用の自由」「調査の自由」は無制限に認められているわけでありません。この最高裁も同判決の中で、「法律その他による特別の制限がある場合は採用の自由に制限がある」旨をも述べています。
> 一つの事例として公共の福祉または勤労権の保障とそれを根拠とした社会的弱者等の雇用促進などの観点から、採用の自由は制限されると認めている場合もあります。
> これらの点から念頭におく必要があるのは、上記判決からは既に30年以上が経過していること、その間の法制、社会情勢もだいぶ変化しているということです。
> そのため、上記判決そのままに、採用の自由、調査の自由が幅広く認められているという判断は避ける必要があります。
>
> 厚生労働省の採用等に関する要点として「応募者の適性・能力のみを基準として行うこと」を求めており、以下のような項目について、面接時に質問あるいは情報を収集したりしないよう十分配慮するようにという行政指導をしています。
>
> <本人に責任のない事項>
> ・本籍・出生地に関すること
> ・家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)
> ・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
> ・生活環境に関すること(生い立ちなど)
> <本来自由であるべき事項>
> ・宗教に関すること
> ・支持政党に関すること
> ・人生観、生活信条に関すること
> ・尊敬する人物に関すること
> ・思想に関すること
> ・労働組合・学生運動など社会運動に関すること
> ・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
> <その他>
> ・身元調査などの実施
> ・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
>
> また、最近一番の問題点は、個人情報保護法に関する要点でしょう。
> 同法令では、個人情報を収集する際には利用目的を明示すること、そして個人情報を提供する場合には本人の同意を得ることを義務づけています。
> これらの点から考えれば、やはり調査そのものも不適切であると考えます。
>
>
>
> > 採用時に行う採用調査(身元調査)は法的に問題ないのでしょうか?

Re: 採用調査について

個人の学歴;職歴は、学歴ならば本人から同意を求めて学歴証明をお願いする手順も可能でしょう。職歴についてはやはり問題があると思いますが、人事総務責任者の方が、前職先に職務経歴をお問い合わせになるなどはよく耳にします。
(専門職の方です。余り公会はしませんが。)
個人調査も同様でしょう。個人情報保護法との絡みから知り得た情報を開示したことで訴訟等に至る場合もあります。

以前、司法書士の方が類似事項で訴訟に至ったケースもあります。
十分なる注意が必要でしょう。

Re: 採用調査について

著者ordllyさん

2010年01月06日 14:44

それでもリスクを承知で調査を行う場合、本人にはその旨を伝えずに行うほうがいいかと思うのですが、如何でしょうか?


> 個人の学歴;職歴は、学歴ならば本人から同意を求めて学歴証明をお願いする手順も可能でしょう。職歴についてはやはり問題があると思いますが、人事総務責任者の方が、前職先に職務経歴をお問い合わせになるなどはよく耳にします。
> (専門職の方です。余り公会はしませんが。)
> 個人調査も同様でしょう。個人情報保護法との絡みから知り得た情報を開示したことで訴訟等に至る場合もあります。
>
> 以前、司法書士の方が類似事項で訴訟に至ったケースもあります。
> 十分なる注意が必要でしょう。

Re: 採用調査について

最終判断は、会社の最高責任者にあるとも思います。
訴訟等に至るなどそれに対する管理、訴訟費用責任が、会社またはその担当責任者にあると容認するなら可能でしょう。
最終的には紆余曲折としか判断しかねます。

#######################

> それでもリスクを承知で調査を行う場合、本人にはその旨を伝えずに行うほうがいいかと思うのですが、如何でしょうか?
>
>
> > 個人の学歴;職歴は、学歴ならば本人から同意を求めて学歴証明をお願いする手順も可能でしょう。職歴についてはやはり問題があると思いますが、人事総務責任者の方が、前職先に職務経歴をお問い合わせになるなどはよく耳にします。
> > (専門職の方です。余り公会はしませんが。)
> > 個人調査も同様でしょう。個人情報保護法との絡みから知り得た情報を開示したことで訴訟等に至る場合もあります。
> >
> > 以前、司法書士の方が類似事項で訴訟に至ったケースもあります。
> > 十分なる注意が必要でしょう。

Re: 採用調査について

著者ordllyさん

2010年01月07日 09:48

色々と参考になりました。
ありがとうございました。


> 最終判断は、会社の最高責任者にあるとも思います。
> 訴訟等に至るなどそれに対する管理、訴訟費用責任が、会社またはその担当責任者にあると容認するなら可能でしょう。
> 最終的には紆余曲折としか判断しかねます。
>
> #######################
>
> > それでもリスクを承知で調査を行う場合、本人にはその旨を伝えずに行うほうがいいかと思うのですが、如何でしょうか?
> >
> >
> > > 個人の学歴;職歴は、学歴ならば本人から同意を求めて学歴証明をお願いする手順も可能でしょう。職歴についてはやはり問題があると思いますが、人事総務責任者の方が、前職先に職務経歴をお問い合わせになるなどはよく耳にします。
> > > (専門職の方です。余り公会はしませんが。)
> > > 個人調査も同様でしょう。個人情報保護法との絡みから知り得た情報を開示したことで訴訟等に至る場合もあります。
> > >
> > > 以前、司法書士の方が類似事項で訴訟に至ったケースもあります。
> > > 十分なる注意が必要でしょう。

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