登録

会員登録いただけると、

  • メールマガジンの受け取り
  • 相談の広場への投稿 等

会員限定のサービスが利用できます

登録(無料)を続ける
TOP > 記事一覧 > 経営・財務 > 業績が安定してきたときこそ要注意!創業5年目に見直すべきことと対応策4つ
創業

業績が安定してきたときこそ要注意!創業5年目に見直すべきことと対応策4つ

2022.11.29

起業をしてから一つの節目となる5年目。このころになると、創業当初のメンバーに加えて新たに採用した従業員も増えてきているのではないでしょうか。また、契約の獲得も順調に増え、事業が軌道に乗ってきている時期でもあるのでしょう。ただ、事業が軌道に乗ってきているときにこそ、未来を見据えて、現在生じてきている経営課題に目を向け、対策を講じておくことが重要です。


創業5年目の企業の特徴

少し古いですが、中小企業庁の「中小企業白書」(2017年)によれば、起業後の企業生存率は、起業5年後で81.7%であり、欧米諸国に比して高い水準となっています。

また、2010年設立企業が5年後の2017年にどの程度従業員数を増加したかをみると、多くは増減がないものの、次いで1~4名増加した企業が多く、中には10名以上増加した急拡大企業も見られます。

加えて、筆者の経験上、創業5年目の企業では、「まだ創業したばかりなのだから、休まず仕事だ」というように、長時間労働を厭わない傾向もあります。

よくある経営課題と見直すべきこと①就業規則等の社内ルールの策定

上記のとおり、創業から5年が経った企業では、創業メンバーに加えて新たに従業員を雇用する場合が見られます。創業時のメンバーだけであれば、いわば“阿吽の呼吸”で事業を運営できていたとしても、後から入ってくる従業員のことを考えるとそうはいかないことが多いため、社内のルール作りが必要です。

特に、常時10名以上を雇用する事業所では、労働基準法上、就業規則の作成・届出が義務付けられています。就業規則は、会社と従業員との労働条件等を定めた重要なルールとなりますので、従業員数が10名に近くなってきたところで、社労士などの専門家に相談し、作成してもらうのがよいでしょう。

【もっと詳しく】社内ルール策定に役立つ!社労士が解説する就業規則のよくある間違い

よくある経営課題と見直すべきこと②契約書などの取引書類の作成

創業から5年が経過するころには、順調にいけば徐々に取引件数も増え、継続的な取引先も出てきているでしょう。他方で、こうした取引が増えれば増えるほど、取引トラブルが発生するリスクも高まります。取引トラブルへの対応は、マンパワーが十分ないなかで、事業拡大とは逆方向の事柄のために貴重な時間を割かなければならず、大きなストレスになることも多いです。

取引件数が増え継続的な取引先が出てきたら、弁護士に相談し契約書などの取引関係書類を作成しておきましょう。すでに取引関係書類は作成済みという企業も、一度専門家に見てもらい作り直すとよいでしょう。メリットとしては、紛争の未然防止や有利な条件の獲得などが挙げられます。

【もっと詳しく】自社に不利になってない?弁護士が伝えたい「契約書で確認すべき項目」6つと注意点

よくある経営課題と見直すべきこと③長時間労働の是正や働き方の見直し

創業当初の創業メンバーは、「創業したばかりなのだから、寝る間も惜しんで仕事だ」と、猛烈に仕事をしてきていることが多いです。創業メンバーのような役員は、(適切かどうかはともかく)“労働者”ではないので労働基準法違反の問題は生じません。しかし、新たに雇用した従業員は“労働者”であり、労働基準法の遵守が求められます。よく「うちはまだ創業したばかりだから」という理由で、従業員に対しても、長時間労働や深夜労働、サービス残業を強いたりする例がありますが、こうした行為は、当然ながら労働基準法違反であり、さらには、人材の獲得・定着や従業員のモチベーションの低下を招き、結果的には業績不調などを招きます。

創業5年目の時点で、今後の事業の拡大も踏まえつつ、現在の働き方の見直しをすべきでしょう。例えば、労働時間を削減する手段としては、ただ単に「効率よく仕事をせよ」と言うのではなく、会社の業務を改めて見直し、自動化できる業務についてはITツールを活用したり、アウトソースできる業務を外部に発注したりすることが考えられます。

よくある経営過大と見直すべきこと④オフィスの移転

創業5年目にもなると、従業員数が増加や取引先との打合せの増加などのためオフィススペースが手狭になり、オフィスの移転を検討することが多いでしょう。コロナ禍でテレワークが普及した現在では、「そもそもなぜオフィスで働くのか」というオフィスの存在意義が改めて問われています。オフィスの広さだけでなく、働く場所や働く環境を見直すべきでしょう。

オフィスの移転先の住所は、賃料負担、主要な取引先との距離や従業員にとっての通勤の便宜を踏まえて検討すべきです。ただデスクが並べられているだけのオフィスではなく、従業員同士が話し合いを行いやすい環境を作り、オフィスを“イノベーション創出の場”として整備するという例も見られます。

【もっと詳しく】オフィス移転はどこからはじめればいい?オフィス改革のヒント

会社として「仲間同士」から「組織」になることを意識する

創業5年目以降で重要になるのは、創業メンバーだけの“仲間同士”だけの体制から、新たに入ってくる従業員も含めた“組織”としての体制になってくることです。まだ従業員数がそれほど多くはないとしても、こうした“組織”になることを意識して、業務体制や働き方、働く環境を見直していきましょう。

【参考】
2017年版「中小企業白書」第2部 / 中小企業庁
2019年版「中小企業白書」第2部 / 中小企業庁

*freeangle、マツ / PIXTA(ピクスタ)

【まずはここから】オフィス移転・改装・レイアウトお問い合わせはこちら