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差し押えた債権の取立訴訟

■Vol.151(通算392)/2010-8-2号:毎週月曜日配信           
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■■■ 【 差し押えた債権取立訴訟
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☆☆☆ 差し押えた債権取立訴訟 ☆☆☆
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債権者が債務者の第三者(債務者に対する債務者であることから「第三債務者」
といいます)に対する債権差し押さえる方法によって自己の債権回収を図る
ことがありますが、差押命令の送達それ自体は、債務者に対して差押債権
取立その他の処分を禁止し、第三債務者に対し債務者に対する弁済を禁止する
だけですので、そのままでは、債権回収にはなりません。

そこで、差押えをした債権者(「差押債権者」といいます)としては、取立権を
行使して債権を回収します。

しかし、差押債権者の取立に対して第三債務者が任意に応じないときは、
取立訴訟という訴えを提起することができます。


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● 取立権の発生時期
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差押命令は第三債務者に送達された時に効力を生じますが、取立権は差押命令が
債務者」に送達されてから1週間経過したときに発生します。

差押債権者は、この時以降、差押債権について、第三債務者から直接取立を
することができます。


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取立訴訟
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差押債権者の取立に対して第三債務者が任意に応じないときは、差押債権者は、
第三債務者に対して、被差押債権について、<1>債権者が競合していなければ
直接自己への支払を求めて、<2>債権者が競合しているときは供託をするよう
求めて、訴えを提起することができます。これが「取立訴訟」です。

この取立訴訟の目的となっている権利関係(訴訟物)は、被差押債権、即ち
債務者の第三債務者に対する給付請求権と考えられていますが、取立権によって
給付を求める権利であると考える見解もあります。


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● 事案例と訴訟における攻防
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下記の事案例で、実際に裁判所に取立訴訟を提起した場合にどのような攻防が
行われるかをイメージしてみます。

【事案例】

XがAに対して売買代金1,000万円の請求債権を有していて、これについて
「AはXに対し金1,000万円を支払え」という裁判所の確定判決を得ている。
この確定判決に基づいて、Xは、AのYに対する代金3,000万円の建築工事
請負代金のうち1,000万円を差し押さえる旨の差押命令を得て、これを差し
押さえた。

 1 取立訴訟の「請求の趣旨」

  (1) 債権者が競合しない場合
「被告Yは、原告Xに対し、金1,000万円を支払え。」

  (2) 債権者が競合する場合
     「被告Yは、原告Xに対し、金1,000万円を支払え。この支払は
      供託の方法によりしなければならない。」

 2 Xが主張する「請求の原因」

    <2-1> AはYとの間で代金3,000万円で建築工事を請け負い、
          Aは工事を完成してYに引き渡した。
    <2-2> 裁判所は、債権差押命令申立事件について、Aに対しXに
          1,000万円を支払うよう命じた売買代金請求事件の
          確定判決に基づき、この1,000万円の売買代金債権
          請求債権として、AのYに対する請負代金のうち1,000万円を
          差し押さえる旨の差押命令を発し、この命令はYに送達され、
          その後1週間が経過した。

 3 Yが反論する場合の「抗弁」の例

  (1) 取立債権の譲渡の抗弁
      XはAに対する「請求の原因」<2-2>の売買代金債権
      1,000万円をFに譲渡した。

  (2) 相殺抗弁

    <(2)-1> YはAに対し、金3,000万円を貸し付けた。
    <(2)-2> <(2)-1>の貸付金の弁済期が到来した。
    <(2)-3> YはXに対し、「請求の原因」<2-1>の請負代金債務
            相殺抗弁<(2)-1>の貸金債権を対当額で相殺する
            旨の意思表示をした。

  (3) 債権喪失の抗弁

    <(3)-1> AはYに対する請負代金債権をZに譲渡した。
    <(3)-2> <(3)-1>の譲渡について、それ以後、AはYに
            確定日付ある通知をした。

 4 Xが再び反論する場合の「再抗弁」の例

  (1) 「相殺抗弁」に対して
      「相殺抗弁」の<(2)-1>に先立って「請求の原因」<2-2>の
       差押命令がYに達された。
  (2) 「債権喪失の抗弁」に対して
      「債権喪失の抗弁」<(3)-2>の確定日付ある通知に先立って
      「請求の原因」<2-2>の差押命令がYに送達された。


(弁護士 緒方義行  http://www.fuso-godo.jp/


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