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リストラクチャリング

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2006年5月15日発行 第1・第3週月曜日発行
メールマガジン:経営のパートナー VOL1
<経営学で企業を再生する>
【発行責任者】経営テクノ研究所 代表 舘 義之
【E-mail】tate@agate.plala.or.jp
【H P】http://www9.plala.or.jp/keiei-techno
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◆CONTENTS◆
VOL1.経営管理
リストラクチャリング
●閑話休題「強者になる武器はアイデア」
■舘義之小冊子紹介
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リストラクチャリング

 リストラクチャリングとは、「事業の再構築」のことをいいます。つまり、
不採算部門を切り捨てながら将来の有望部門へとシフト化する経営手法です。

 しかし、日本では、「企業のスリム化」と、そのための「人員削減」の意
味に使われている場合が多いようです。

 リストラクチャリングには、2つのやり方で実行されます。

1.後ろ向きのリストラ
 これは、不況時におけるリストラといわれるもので、徹底的なコスト削減
が中心となるものです。これによって、収益性や成長性の維持を図るわけで
すが、米国ではダウンサイジングと呼んでいます。

 具体的には、
●過剰設備の廃棄
●不良資産の処理
●不採算事業の撤退・整理
●余剰人員の削減
遊休資産の処分
借入金の返済
などが挙げられます。

 日本では、1991年以降不況による収益立て直しのための合理化方策が
行われてきまましたが、その内容は、
出向
●早期退職
●新卒・中途採用の削減
●臨時工・パートタイマーの解雇
など、人件費削減が中心となっています。

 たしかに、固定費の主要素である人件費の現象は、企業の収益改善に有効
ですが、企業本来の努力によって収益の獲得がなされたわけではありません。
このことを肝に銘じておく必要があります。

2.前向きのリストラ
 好況時のリストラといわれるもので既存・新規事業への投資拡大が中心と
なります。

 具体的には、
●既存事業の競争力強化のための生産・マーケティング・開発への投資
●新製品・新事業の開発、
●市場参入への投資
などが挙げられます。

 これが本来のリストラなのです。最近では、事業の基本的枠組みを再構築
し、企業の存続・成長を図ろうとしています。

 事業とは、ある活動に対し、調査・企画し、資源を調達し、活動を組み上
げ、展開し、収益を上げ、利潤を分配することです。前向きのリストラとは、
そうした事業の組み替え・切捨て、将来事業の組み込みにポイントがありま
す。

 そこではマーケットの将来展望がキーになります。成長屈折点にある大企
業は隙間市場を狙って狭く細い分野にも触手を伸ばす場合もありますが、し
ょせん大魚は細流には住まず、小さな市場に子会社群をたくさん散らばすこ
とは、かえってエネルギーの分散となります。大きな市場が明らかである分
野に果敢に打って出るべきだと考えます。

 市場から撤退するのか、新市場に入るのか、その際、買収するのか、合併
か、提携か、被買収企業の背景調査(どんな育てられ方、売られ方をしてき
たか)を念入りにしながら、市場の将来展望と合わせていきます。

 さて、リストラクチャリングの代表例としてGE社が盛んに取上げられて
きました。

 GEの成長を支えてきたものには、トップの交代とともに、ドラスチック
な「経営方針」が、戦略を明確にして打ち出される点にあります。経営方針
が、その時代の要請・その自店の事業優位性に応じて、事業の「コア・スキ
ル(中核となる強み)」を設定する基準となっています。

 60年代後半にはポーチ会長(当時)が、多角化のための「重点経営/資
源配分の重点化」を基本戦略とし、経営のメーンテーマとしてPPM(プロ
ダクト・ポートフォリオ・マネジメント)を導入しました。

 日本でもなじみ深いPPMは、各事業の企業全体での位置づけと目標を、
事業の成長率と市場での競合相手とのシェア関係で明らかにするものです。

 その結果、事業が拡大しすぎて事業規模で資源配分が決まるようになると、
今度はZBB(ゼロベースで予算を評価し直す)という基本戦略を導入しま
した。優先順位を常時見直し、優先課題に重点投資するという方針に切替え
たのです。

 やがてZBBで、財務偏重になりかけると、80年には技術畑出身のウェ
ルチ氏が会長に就任、「技術によるブレークスルー」を基本戦略としR&D
重視の経営によって、事業をさらに飛躍させました。

 競合力が増し事業基盤が強化されるとすぐに「1位、2位の競争力を確保
する」という基本戦略を立て、そのガイドラインに基づいて「事業構造変革
を行うためには、将来にわたり無限の生産性を追及することが必要」として
います。

 しかも、そのためには、伝統あるGEの社風を全面的に変えることも辞さ
ないのです。その試みとして「ワークアウト」という、全社での「目的の共
有化」をテーマとしたシステムを、経営の基本方針として新たに導入してい
るのです。
 
 トップの交代とともに明確に提示されるGEの戦略イベントは、われわれ
にリストラ実践における3つの教訓を教えてくれます。

◆教訓1:評価基準点を明示するトップのリーダーシップ

 ここでいうリーダーシップは、単なる精神論ではありません。事業の選択、
事業の評価基準を明らかにし、個々人の業務遂行の基準までも統一できるも
のを示すことです。

 こうしたリーダーシップによって初めて、企業の構成員全員が明確な1つ
の目的に向かってミッションを果たしていくことができるのです。

 一方的に提示された画一的な基準によるものでなく、各自の立場に応じて
やるべきことが明確であるということです。

◆教訓2:知恵のインフラを積み重ねる「ステップ・バイ・ステップ」

 経営のコンセプトとしてPPMをマスターし、次の経営コンセプトである
ZBBを推進しているときには、すでにPPMはインフラとしてすっかり定
着しているのです。

 商品での差別化が難しくなっている現在、経営コンセプトがインフラとし
て定着しているかどうかが、他社が短期的に模倣できない優位性を確保でき
るかどうかを決めるポイントとなります。

 つまり、PPMのコンセプトを表面的にしか理解できていない企業は、次
のコンセプトであるZBBを表面的にしか用いることができないのです。形
だけの経営コンセプトの導入は、結果として精神論と挫折感だけが残ること
になってしまいます。

◆教訓3:重要なビジネスシステムにターゲットを当てた「バランス改革」
     が重要

 GEの注目すべき点は、常に「総合的点検」で企業リストラを実践してい
ることです。その時代の「経営方針」、「目的」に合わせる形で、企業内の
ビジネスシステムをつくり上げています。

 機能の強弱を明確にした組織を設計し、かつバランスをとっているのです。
ZBBを導入したときには、財務部門から各事業責任者への権限委譲を徹底
して実施することで、スタッフとラインとが共通の価値観で一体化し、
PPMマトリックスのガイドに従って具体的な戦略重視の体制をつくり上げ
ることができたのです。

 次の時代には特定事業の徹底拡大というPPMの問題を克服するために、
財務部門を重視しZBBを展開していきました。このように戦略と企業の組
織機能が有効にリンクする運営体制が終始貫かれています。

 かくして、エンジンのランプから始まった小さな企業は、次々と先端産業
をのみ込み、時代に応じた経営方針を基準点として、買収と売却、そしてリ
ストラを繰り返し、今や巨大なソフト志向の高付加価値産業となっています。

 そこで、日常の身近な出来事から判断できる「リストラ緊急度チェックリ
スト」を示してみました。企業を見直し、リストラ実施の参考にしていただ
きたいと思います。

★身近で判断できる、あなたの会社のリストラ緊急度チェックリスト

1.コンペティターと比較して新聞記事が少ない
    →業界に対する「発言力」が弱まっている……?
2.新製品発表会の出展品目に悩まされる
    →形骸化、差別化商品が欠如している……?
3.社内で「○○畑」が通用している
    →業務がマンネリ化に陥っている……?
4.事業数、部門数が5年間変わっていない
    →組織が硬直化している……?
5.5年前に作成した資料、経営基準をそのまま使用している
    →経営環境の変化に対応していない……?
6.自分の事業に必要とされるスキルを5つ即答できない
    →プロ意識の欠如と「サラリーマン化」が進行……?
7.経営について討議できる他業界の知り合いがいない
    →業務遂行がワンパターンになっている……?
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●閑話休題「強者になる武器はアイデア」

 市場原理主義の根底には自由競争があり、芥川龍之介は「自由は山巓
(さんてん=山頂)の空気と似ている。どちらも弱い者には耐えられない」
といいましたが、競争が自由になればなるほど過酷になります。

 蓄えた資本も勝ち取ったシェアも、わずかの油断で他にとられてしまう。
それに耐えられない弱者は、とかく自由を放棄し、保護や規制のなかに逃げ
込みたがります。しかし、それでは弱者が弱者のまま生き残ってしまうこと
になり、社会は進歩しません。保護や規制は、弱者が強者に生まれ変わる機
会を奪ってしまうといえるのです。

 では強者になるための武器は何でしょうか。

 アイデアです。企業がいろいろなアイデアを出し、消費者がそれを自由に
選びます。結果として社会全体の効率が高まり、満足度も高まります。これ
が市場の法則なのです。

 たとえば、コストダウンを図って価格競争力を高めるのも、画期的な商品
を開発して需要を拓くのも、すべてアイデアです。ただし、着想がどれだけ
鋭くとも、市場で受け入れられなければ意味がありません。市場はアイデア
を生むと同時に、育てもするわけです。

 市場原理主義の社会は、市場競争で勝ち残った勝者のための社会であり、
敗者のための社会ではないのです。
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〒323-0807 栃木県小山市城東2-8-7
TEL:0285-23-0370 FAX:0285-23-0370
【発行責任者】経営テクノ研究所 代表 舘 義之
【事業内容】コンサルティング・企業内研修・講演会・経営顧問・執筆
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