**********************************************************************
■
行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第85号/2006/8/1>■
1.はじめに
2.「
会社法務編/中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(29)」
3.「市
民法務編/ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(12)」
4.編集後記
**********************************************************************
**********************************************************************
1.はじめに
**********************************************************************
皆様、こんにちは。
行政書士の津留信康です。
先週、ようやく、約2ヶ月間の長~い梅雨が明けた九州南部。
ここ宮崎市では、先々週末の大雨以降、
連日の猛暑ゆえ、体中の脂肪が溶けてしまいそうですが、
皆様のお住まいの地域ではいかがでしょうか?
8月というと、夏休みをとられる会社員の方々も多いと思いますが、
しがない個人
事業者には、そんな余裕はとてもとても・・・。
風呂上りのビールを唯一の楽しみに、仕事に励む毎日です。
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
★2006/7/24、
「2006年度版これでいける!
行政書士Vol.4(TAC出版)」が発売されました!!
2006/11/12(日)実施予定の「平成18年度
行政書士試験(※1)」は、
新制度による最初の試験となるため、大幅な難化も予想されますので、
同試験の受験対策には、是非、
「2006年度版これでいける!
行政書士シリーズ(TAC出版)」をご活用ください。
ちなみに、私は、同シリーズ中、
「Vol.2(
行政不服審査法&行政事件訴訟法/※2)」および
「Vol.4(行政法科目のすべて/※3)」の執筆を担当しています。
※1)財団
法人行政書士試験研究センター
http://gyosei-shiken.or.jp/
※2)Vol.2
http://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/1931/
※3)Vol.4
http://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/1933/
★当事務所では、「
行政書士の受験・業務」に関連する内容について、
原稿執筆のご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)にて、お気軽にご相談ください。
なお、当事務所の原稿執筆実績(2002/12~2006/7)については、
こちら(※)をご覧ください!!
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/post_ccb6.html
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2.「
会社法務編―中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(29)」
**********************************************************************
★本号では、「
会社法(全8編/全979条)―第3編 持分会社」の中から、
「
合同会社(LLC)の設立・運営等」の概要について、ご紹介します。
<LLCの設立手続きの流れ>
LLCは、
株式会社に比べ、「簡易な設立手続き」が特徴です。
■社員(出資者)による「会社のアウトライン」の検討
▼
■
定款の作成
□LLCを設立するには、その社員になろうとする者が
定款を作成し、
その全員が、署名し、または記名押印しなければなりません(第575条第1項)。
定款の記載(記録)事項は次のとおりです(第576条第1項・第4項)。
1.目的
2.
商号
3.本店の所在地
4.社員の氏名または名称および住所
5.社員の全部を有限責任社員とする旨
6.社員の出資の目的およびその価額または評価の標準
□
株式会社の場合と違い、「公証人による
定款の認証」は不要です。
▼
■出資金の払込み
□LLCの社員になろうとする者は、原則として、
定款作成後から設立
登記までの間に、その出資に係る金銭の全額を払込み、
または、その出資に係る金銭以外の財産の全部を
給付しなければなりません(第578条本文)。
▼
■設立
登記
□LLCは、本店所在地における設立
登記によって、成立します(第579条)。
なお、「設立
登記申請書、
定款など添付書類」のサンプルについては、
法務省HP(※)をご覧ください。
※)
http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI109/minji109-15.pdf
<LLCの運営>
LLCでは、
定款自治による自由な制度設計が可能であり、
機関を置かず、社員自らが、直接業務の執行にあたります。
■社員
□社員1人のみのLLCの設立・存続も認められています(第641条第4号)。
□
法人も、LLCの社員となることができます(第598条)。
□社員(出資者)全員が、出資額の範囲までしか責任を負わない、
有限責任社員です(第576条第4項・第580条第2項)。
□社員の加入には、原則として、
総社員の同意が必要です(第604条第2項・第637条)。
□社員は、LLCに対し、利益の
配当を請求することができ(第621条第1項)、
LLCは、利益
配当の請求方法その他の利益の
配当に関する事項を、
定款で定めることができます(同条第2項)。
■業務の執行
□各社員が、原則として、
業務執行権限を有しますが(第590条第1項)、
社員が2人以上ある場合には、原則として、
業務は、社員の過半数をもって決定します(同条第2項)。
□業務を執行する社員は、会社を代表します(第599条第1項)。
■計算等
□
株式会社同様、LLCにも、
一般に公正妥当と認められる
企業会計の慣行に従うこと(第614条)、
適時に、正確な
会計帳簿を作成すること(第615条)、
貸借対照表(B/S)や
損益計算書(P/L)等の
計算書類を作成・保存することが、
義務づけられています(第617条)。
□LLP(有限責任事業組合)では、
構成員課税、いわゆるパススルー課税が適用されますが、
LLCは、
法人格を有することから、
法人税が課税されます。
■他の会社類型との関係
□旧
商法では、人的会社から物的会社への組織変更はできませんでしたが、
会社法では、「LLCを含む持分会社から
株式会社への組織変更」
が可能となりました(第2条第26号ロ、第5編第1章第3節・第5章第1節第2款)。
□
定款を変更することにより、他の持分会社(
合同会社・
合資会社)に、
種類を変更することができます(第638条第3項)。
★次号(2006/8/15発行予定の第86号)では、
「第4編
社債」の概要について、ご紹介する予定です。
★当事務所では、「
会社法の施行に伴う諸手続き(※)」に関して、
ご相談・ご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)にて、どうぞお気軽にご連絡ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_ac8d.html
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3.「市
民法務編―ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(12)」
**********************************************************************
★本号では、「
民法(全5編/全1044条)」のうち、
「第2編
物権―第4章
地上権&第5章 永小作権」の概要について、ご紹介します。
■「用益
物権」について
□用益
物権とは、「他人の土地を、一定の目的のために使用
収益する
物権」
であり、
民法では、次の4つが規定されています。
1.
地上権(第4章/後述します)
2.永小作権(第5章/同上)
3.地役権(第6章/2006/8/15発行予定の第86号で、ご紹介します)
4.入会権(第263条・第294条/同上)
□用益
物権は、「
担保物権(
留置権・
先取特権・
質権・
抵当権)」とともに、
「制限
物権(一定の限られた内容をもって、目的物を支配する
物権であり、
目的物を全面的・一般的に支配する
物権である
所有権と対立する概念)」
とよばれています。
■第4章
地上権(第265条~第269条の2)
□
地上権とは、「工作物(建物・道路など、地上・地下のすべての建造物)、
または、竹木(植林の目的となる植物)を所有するために、
他人の土地を使用する権利(第265条)」のことであり、
登記することができます。
また、
地上権は、土地所有者の承諾なしに譲渡や転貸でき、
この点が、土地の賃借権(第612条)と異なる点です。
□
地上権は、土地所有者・土地利用希望者間の「
地上権設定
契約」
によって成立しますが、それ以外にも、
譲渡、
相続・
遺言、
取得時効によって取得します。
なお、法定
地上権(第388条)の発生については、
後日、
抵当権のご紹介の折に、触れたいと思っています。
□
民法には、地代の支払義務に関する規定はなく、
無償で
地上権を設定することも可能であり(第266条)、この点は、
「小作料の発生する永小作権」や「賃料の発生する賃貸借(第601条)」
と異なる点です。
□
民法には、永小作権(第278条)や賃貸借(第604条)のような、
地上権の存続期間に関する規定はありません(第268条)。
よって、「
地上権設定
契約」に定めた場合を除き、
地上権は、
地上権者が放棄するまで存続します。
□「工作物(トンネル、送電線、高架道路など)」を所有するため、
地下または空間は、上下の範囲を定めて、
地上権の目的とすることができます(区分
地上権/第269条の2第1項前段)。
☆
民法の特別法である
借地借家法において、
「借地権(建物所有を目的とする
地上権または土地の賃借権)に関する特則」
が規定されていますので、
後日、賃貸借のご紹介の折に、触れたいと思っています。
■第5章 永小作権(第270条~第279条)
□永小作権とは、「小作料を支払って、
他人の土地で、耕作(目的物となる植物は、稲・麦・桑・茶など)または牧畜
をする権利(第270条)」のことであり、小作人の保護を目的としています。
□現在、小作上の農地の
貸与は、主に、賃貸借によって行われています。
★次号(2006/8/15発行予定の第86号)では、
「
民法第2編
物権―第6章 地役権&入会権(第263条・第294条)」
の概要について、ご紹介する予定です。
**********************************************************************
4.編集後記
**********************************************************************
■以下の2件は、現在、「意見公募手続き(※)」中ですが、
行政書士業務とも関連していることから、個人的にも注目している案件です。
1.
厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令(案)
「
離婚時の厚生
年金の分割制度」に関連した内容です。
ME=Pcm1010&BID=495060037&OBJ
CD=100495&GROUP=" target="_blank">http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNA
ME=Pcm1010&BID=495060037&OBJ
CD=100495&GROUP=
2.戸籍法の見直しに関する要綱中間試案
「戸籍謄抄本等の交付請求、届出人の本人確認等」などについて。
ME=Pcm1010&BID=300080001&OBJ
CD=&GROUP=" target="_blank">http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNA
ME=Pcm1010&BID=300080001&OBJ
CD=&GROUP=
※)意見公募手続きとは、行政機関が命令等(政令、省令など)の制定に際し、
事前に命令等の案を示し、
その案について、広く国民から意見や情報を募集するものであり、
閣議決定に基づく「パブリック・コメント手続き」に代わり、
行政手続法・平成17年改正により新設された手続きです。
■第85号は、いかがでしたか?
次号(第86号)は、2006/8/15発行予定です。
■編集責任者:
行政書士 津留信康
□津留
行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□
行政書士・津留信康の法務サポートblog
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(
http://www.mag2.com/)」を利用しており、
購読の解除は、「
http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。
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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第85号/2006/8/1>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(29)」
3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(12)」
4.編集後記
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1.はじめに
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皆様、こんにちは。行政書士の津留信康です。
先週、ようやく、約2ヶ月間の長~い梅雨が明けた九州南部。
ここ宮崎市では、先々週末の大雨以降、
連日の猛暑ゆえ、体中の脂肪が溶けてしまいそうですが、
皆様のお住まいの地域ではいかがでしょうか?
8月というと、夏休みをとられる会社員の方々も多いと思いますが、
しがない個人事業者には、そんな余裕はとてもとても・・・。
風呂上りのビールを唯一の楽しみに、仕事に励む毎日です。
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
★2006/7/24、
「2006年度版これでいける!行政書士Vol.4(TAC出版)」が発売されました!!
2006/11/12(日)実施予定の「平成18年度行政書士試験(※1)」は、
新制度による最初の試験となるため、大幅な難化も予想されますので、
同試験の受験対策には、是非、
「2006年度版これでいける!行政書士シリーズ(TAC出版)」をご活用ください。
ちなみに、私は、同シリーズ中、
「Vol.2(行政不服審査法&行政事件訴訟法/※2)」および
「Vol.4(行政法科目のすべて/※3)」の執筆を担当しています。
※1)財団法人行政書士試験研究センター
http://gyosei-shiken.or.jp/
※2)Vol.2
http://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/1931/
※3)Vol.4
http://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/1933/
★当事務所では、「行政書士の受験・業務」に関連する内容について、
原稿執筆のご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)にて、お気軽にご相談ください。
なお、当事務所の原稿執筆実績(2002/12~2006/7)については、
こちら(※)をご覧ください!!
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/post_ccb6.html
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2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(29)」
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★本号では、「会社法(全8編/全979条)―第3編 持分会社」の中から、
「合同会社(LLC)の設立・運営等」の概要について、ご紹介します。
<LLCの設立手続きの流れ>
LLCは、株式会社に比べ、「簡易な設立手続き」が特徴です。
■社員(出資者)による「会社のアウトライン」の検討
▼
■定款の作成
□LLCを設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、
その全員が、署名し、または記名押印しなければなりません(第575条第1項)。
定款の記載(記録)事項は次のとおりです(第576条第1項・第4項)。
1.目的
2.商号
3.本店の所在地
4.社員の氏名または名称および住所
5.社員の全部を有限責任社員とする旨
6.社員の出資の目的およびその価額または評価の標準
□株式会社の場合と違い、「公証人による定款の認証」は不要です。
▼
■出資金の払込み
□LLCの社員になろうとする者は、原則として、
定款作成後から設立登記までの間に、その出資に係る金銭の全額を払込み、
または、その出資に係る金銭以外の財産の全部を
給付しなければなりません(第578条本文)。
▼
■設立登記
□LLCは、本店所在地における設立登記によって、成立します(第579条)。
なお、「設立登記申請書、定款など添付書類」のサンプルについては、
法務省HP(※)をご覧ください。
※)
http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI109/minji109-15.pdf
<LLCの運営>
LLCでは、定款自治による自由な制度設計が可能であり、
機関を置かず、社員自らが、直接業務の執行にあたります。
■社員
□社員1人のみのLLCの設立・存続も認められています(第641条第4号)。
□法人も、LLCの社員となることができます(第598条)。
□社員(出資者)全員が、出資額の範囲までしか責任を負わない、
有限責任社員です(第576条第4項・第580条第2項)。
□社員の加入には、原則として、
総社員の同意が必要です(第604条第2項・第637条)。
□社員は、LLCに対し、利益の配当を請求することができ(第621条第1項)、
LLCは、利益配当の請求方法その他の利益の配当に関する事項を、
定款で定めることができます(同条第2項)。
■業務の執行
□各社員が、原則として、業務執行権限を有しますが(第590条第1項)、
社員が2人以上ある場合には、原則として、
業務は、社員の過半数をもって決定します(同条第2項)。
□業務を執行する社員は、会社を代表します(第599条第1項)。
■計算等
□株式会社同様、LLCにも、
一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うこと(第614条)、
適時に、正確な会計帳簿を作成すること(第615条)、
貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)等の計算書類を作成・保存することが、
義務づけられています(第617条)。
□LLP(有限責任事業組合)では、
構成員課税、いわゆるパススルー課税が適用されますが、
LLCは、法人格を有することから、法人税が課税されます。
■他の会社類型との関係
□旧商法では、人的会社から物的会社への組織変更はできませんでしたが、
会社法では、「LLCを含む持分会社から株式会社への組織変更」
が可能となりました(第2条第26号ロ、第5編第1章第3節・第5章第1節第2款)。
□定款を変更することにより、他の持分会社(合同会社・合資会社)に、
種類を変更することができます(第638条第3項)。
★次号(2006/8/15発行予定の第86号)では、
「第4編 社債」の概要について、ご紹介する予定です。
★当事務所では、「会社法の施行に伴う諸手続き(※)」に関して、
ご相談・ご依頼を承っておりますので、
専用アドレス(
n-tsuru@mbr.nifty.com)にて、どうぞお気軽にご連絡ください。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_ac8d.html
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3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(12)」
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★本号では、「民法(全5編/全1044条)」のうち、
「第2編 物権―第4章 地上権&第5章 永小作権」の概要について、ご紹介します。
■「用益物権」について
□用益物権とは、「他人の土地を、一定の目的のために使用収益する物権」
であり、民法では、次の4つが規定されています。
1.地上権(第4章/後述します)
2.永小作権(第5章/同上)
3.地役権(第6章/2006/8/15発行予定の第86号で、ご紹介します)
4.入会権(第263条・第294条/同上)
□用益物権は、「担保物権(留置権・先取特権・質権・抵当権)」とともに、
「制限物権(一定の限られた内容をもって、目的物を支配する物権であり、
目的物を全面的・一般的に支配する物権である所有権と対立する概念)」
とよばれています。
■第4章 地上権(第265条~第269条の2)
□地上権とは、「工作物(建物・道路など、地上・地下のすべての建造物)、
または、竹木(植林の目的となる植物)を所有するために、
他人の土地を使用する権利(第265条)」のことであり、
登記することができます。
また、地上権は、土地所有者の承諾なしに譲渡や転貸でき、
この点が、土地の賃借権(第612条)と異なる点です。
□地上権は、土地所有者・土地利用希望者間の「地上権設定契約」
によって成立しますが、それ以外にも、
譲渡、相続・遺言、取得時効によって取得します。
なお、法定地上権(第388条)の発生については、
後日、抵当権のご紹介の折に、触れたいと思っています。
□民法には、地代の支払義務に関する規定はなく、
無償で地上権を設定することも可能であり(第266条)、この点は、
「小作料の発生する永小作権」や「賃料の発生する賃貸借(第601条)」
と異なる点です。
□民法には、永小作権(第278条)や賃貸借(第604条)のような、
地上権の存続期間に関する規定はありません(第268条)。
よって、「地上権設定契約」に定めた場合を除き、
地上権は、地上権者が放棄するまで存続します。
□「工作物(トンネル、送電線、高架道路など)」を所有するため、
地下または空間は、上下の範囲を定めて、
地上権の目的とすることができます(区分地上権/第269条の2第1項前段)。
☆民法の特別法である借地借家法において、
「借地権(建物所有を目的とする地上権または土地の賃借権)に関する特則」
が規定されていますので、
後日、賃貸借のご紹介の折に、触れたいと思っています。
■第5章 永小作権(第270条~第279条)
□永小作権とは、「小作料を支払って、
他人の土地で、耕作(目的物となる植物は、稲・麦・桑・茶など)または牧畜
をする権利(第270条)」のことであり、小作人の保護を目的としています。
□現在、小作上の農地の貸与は、主に、賃貸借によって行われています。
★次号(2006/8/15発行予定の第86号)では、
「民法第2編 物権―第6章 地役権&入会権(第263条・第294条)」
の概要について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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■以下の2件は、現在、「意見公募手続き(※)」中ですが、
行政書士業務とも関連していることから、個人的にも注目している案件です。
1.厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令(案)
「離婚時の厚生年金の分割制度」に関連した内容です。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=495060037&OBJCD=100495&GROUP=
2.戸籍法の見直しに関する要綱中間試案
「戸籍謄抄本等の交付請求、届出人の本人確認等」などについて。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=300080001&OBJCD=&GROUP=
※)意見公募手続きとは、行政機関が命令等(政令、省令など)の制定に際し、
事前に命令等の案を示し、
その案について、広く国民から意見や情報を募集するものであり、
閣議決定に基づく「パブリック・コメント手続き」に代わり、
行政手続法・平成17年改正により新設された手続きです。
■第85号は、いかがでしたか?
次号(第86号)は、2006/8/15発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
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