• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

災害などで資産に損害を受けた場合の税務上の救済(2)

2011年4月25日号

◆災害などで資産に損害を受けた場合の税務上の救済(2)


◇◆◇----------------------------------------------------◇◆◇

税理士三村恵子の商売繁盛!!           2011年4月25日号

◇◆◇----------------------------------------------------◇◆◇

★今日のトピック
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
災害などで資産に損害を受けた場合の税務上の救済(2)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


いつもご愛読頂きまして誠にありがとうございます。


税理士の三村です。今回は、前回に続き、災害などに遭った場合の税務
上の救済についてもう少し詳しく取り上げてみます。

後半では、ご参考までにQ&A形式で阪神淡路大震災に係る質疑応答事
例を挙げています。


さて、前回の復習になりますが、災害に遭った場合の税務上の救済措置
として、

○「雑損控除」という被害額を所得から控除できる制度
○「災害減免法による所得税の軽減免除」という税額控除できる制度

との2つの制度があるということでした。

ここで被害に遭った資産について、税務上は大きく2つに区分されます。
つまり、個人が有する資産は、

(1)業務用の資産 
(2)生活用資産

とに区分されます。

さらに、業務用の資産

○事業用資産
(事業として、事業的規模で行われていると取り扱われるもの)

○事業以外の業務用資産(事業的規模ではないが、業務用のもの)

に区分されます。

生活用資産は、

○通常必要と認められる生活用資産
(住宅、家財、衣服など)

○通常必要と認められない生活用資産
(別荘、スポーツカーなど)

に区分されます。

なお、不動産の貸付業の場合は、貸間、アパート等については独立
した室数が10室以上、一戸建家屋については5棟以上の場合に、事業
として行われているものと取り扱われます。

まとめてみますと、

(1)業務用資産
○事業用資産
    ○事業以外の業務用資産

(2)生活用資産
○通常必要と認められる生活用資産
    ○通常必要と認められない生活用資産


このようになります。
これらの資産について生じた損失について、それぞれ注意点を見ていき
ましょう。


1. 業務用資産が損失を受けた場合

(1)事業用資産

 ○事業用資産のうち、固定資産等について生じた損失は、その損失の
  原因を問わず、経費にできます。

 ○その事業者が、事業者と同一生計親族が所有する資産を借りて事業
  を行っている場合において、その親族所有の資産が受けた損失につ
  いても、その事業者経費にできます。

  ただしその親族が雑損控除の適用を受ける場合には、その事業者
  経費にはできません。

 ○事業上生じた売掛金などの貸し倒れによる損失は、経費になります。

 
(2)事業以外の業務用資産

 ○災害・盗難・横領による損失は、雑損控除の対象になります。

 ○上記以外による損失は、それらの資産から生じた所得を限度として
  不動産所得または雑所得経費になります。


2. 生活用資産が損失を受けた場合

(1)通常必要と認められる生活用資産

 ○災害・盗難・横領による損失に限り、雑損控除の対象になります。


(2)通常必要と認められない生活用資産

 ○災害・盗難・横領による損失に限り、譲渡所得の金額の計算上
  控除されます。


3. Q&Aによる具体例

阪神淡路大震災に係る質疑応答事例から、参考になりそうなものを挙げて
みました。

Q1 現在居住している住宅のほかに、生計を一にする長男夫婦に無償で
   使用させている住宅を所有している。                        
   今回の震災により、この長男夫婦が居住している住宅が倒壊したが、
   この損失については、雑損控除の適用を受けることができるか。

A1 雑損控除の対象となる資産には、生活に通常必要でない資産や事業
   用資産は除かれているが、長男夫婦に無償で使用させていた住宅は、
   生活に通常必要でない資産や事業用資産に該当しないので、雑損
   除の適用を受けることができる。


Q2 今回の震災により自家用乗用車が建物の下敷きとなり使用不能と
   なった。この場合、自家用乗用車に対する損害は、雑損控除の対象
   となるか。        

A2 雑損控除の対象となる資産は、生活に通常必要なものに限られてい
   る。したがって、自動車の場合、構造や価格などからみて生活に通
   常必要と認められないような自動車、例えば、高級乗用車やスポー
   ツカーなどについては、雑損控除の対象とならない。

   なお、サラリーマンが専ら通勤用に使用しているような通常の乗用
   車について、その実質において生活に通常必要な資産と考えられる
   ものについては、雑損控除の対象となる。

   ※一般的には、例えば、3,000CCを超えるような乗用車に
   ついては、通常は、生活に通常必要な資産には当たらないと考
   えられる。


Q3 今回の震災により別荘が損壊したが、何か救済措置はないか。

A3 別荘のように生活に通常必要でない資産が災害により被害を受けた
   場合は、雑損控除や災害減免法の適用はない。

   ただし、これらの資産について受けた損失の金額は、その損失を受
   けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除
   される。


Q4 店舗併用住宅(1階が店舗、2階が住居)が、今回の震災で倒壊し
   た。建物全体の損失を雑損控除の対象としてよいか。 

A4 事業の用に供する資産は、雑損控除の対象となる資産から除かれて
   いることから、1階の店舗部分の損失は、雑損控除の対象とならない。

   ※店舗部分の損失は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入する。


Q5 今回の地震によりマンションの外壁にひびが入ったので、その補修
   工事に併せて以前から計画していた外壁の塗装工事をすることとなった。
   この場合、これに要する費用全体を雑損控除の対象とすることはできるか。

A5 雑損控除の対象となる損失額は、今回の震災によるものに限られるので
   あるから、これに関係なく支出した工事代金については雑損控除の対象
   とならない。


Q6 雑損控除における損失額の計算は、個々の資産について、実際にどの
   ようにして求めるのか。   

A6 災害により被害を受けた住宅又は家財等の資産の損失額の計算につい
   ては、その損失が生じたときの直前におけるその資産の時価を基として
   計算することとされている。

   この場合、「直前におけるその資産の時価」は、具体的には、その資産
   と同一の資産を購入する場合の価額からその資産の実態に即した減価償
   却の額を差し引くなどして合理的に計算する。


Q7 今回の震災により半壊した住宅を取り壊し、沈下した地盤を地盛りすると
   ともに、新たな住宅を建設した。                     
   この場合、これらの建築費用等は、災害関連支出として雑損控除の対象と
   なるか。

A7 次のように取り扱う。

  ○災害により損壊した資産を災害後1年以内に取り壊した場合の費用は、
   雑損控除対象となる災害関連支出に該当する。

  ○沈下した地盤を原状に戻すまでの部分の費用は、雑損控除の対象となる。

  ○新たな住宅の建築費用は、資産の取得そのものであり災害関連支出に該当
   しない。


今回は以上です。
もしお知り合いの方で、被災された方がいらっしゃったら是非今回のメルマガを
教えて差し上げてくださいね。
お役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただいて、どうもありがとうございます。


ご質問等ございましたらお電話、メールご遠慮なく下さいませ。
お待ちしております。
それではまた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
法人個人事業主様向けに税務に関する【無料レポート】進呈中!★

今まで多くの企業様の税務処理をお手伝いさせて頂いた経験から導き出
した税務処理のポイント、節税のテクニックなど、法人、個人それぞれ
一冊のレポートにまとめました。

 ■法人企業様向けには ⇒「決算書作成・法人税申告のポイント」

 ■個人事業主様向けには ⇒「個人事業主のための記帳・決算・確定
  申告のポイント」
 をご用意して、今だけ【無料】進呈中です。

決算時、申告時に慌てないように、お早めにご入手頂き、税務処理の
ポイント、節税のポイントなどをご確認下さい。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メルマガ 税理士三村恵子の商売繁盛!!

★発行責任者 三村恵子
★公式サイト http://mimura-tax.com
★お問い合わせ info@mimura-tax.com
★メルマガの登録・解除はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001025961.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

姫路 税理士・三村恵子税理士事務所
http://www.mimura-tax.com

24時間受付無料相談フォーム:http://bit.ly/cLP0lJ

★三村恵子オフィシャルブログも見て下さいね。
http://ameblo.jp/mimu-kei/

★twitter始めました。フォローして下さいね。
http://twitter.com/mimukei

----------------------------------------------------------------

絞り込み検索!

現在22,390コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP