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育児休業の分割取得

日本人にとって、「55歳」というのはどういう意味をもった年齢なのでしょうか?
サラリーマンの多くが65歳で実質的な定年を迎え、年金生活に入ることを考えると、
55歳は、いわば仕事人生の「最終章のプロローグ」に位置づけられる年齢なのかも
しれません。

  人生とは、一つのドラマです。
人は生まれてから死ぬまでの間に、様々な事件や出来事に遭遇します。
「平凡な人生」といっても、その人の人生にとっては大切な事件やあっと驚くような
出来事に出くわします。思いがけない出会い、結婚、子育て、辛い別れや、はたまた
会社での同僚・上司などとの交流やいさかいなどその人を取り巻いて多くの事件が
発生し、そのそれぞれが人生ドラマの一場面となります。
勿論、そのドラマの主人公はその人自身です。上手く演じられる人もそうでない人も
「自分のドラマ」で「主人公」を演じるわけですから、悔いのないドラマにしたいと
一所懸命に演じます。
そして誰もが、ドラマ終演のとき、“あぁ、いい人生だった!”と思いながら
旅立ちたいと願っています………。

  村上龍氏の書いた中編小説集に『55歳からのハローライフ』(幻冬舎文庫)
があります。5編の作品が収録されており、5編の作品に登場する人物たちは
55歳になってはじめて直面する「社会」、「世間」、「夫婦」の現実に触れて、
戸惑い、混乱します。“こんなはずじゃなかったのに”主人公たちは、「55歳」
という年齢が、「悩み多き青春時代」などとは比べものにならないほど過酷な
ものであることを思い知らされます。青春時代の悩みは、未だ「やり直しが利く」
という可能性を信じて、乗り越えることができます。
然し「やり直し」が利かない55歳ともなると、歩んできた道が間違っていたと
しても、もう後戻りができません。
「前に進むしかない」、「嫌な仕事であっても続けなくてはならない」などなど
生きるための辛い決断を迫られてしまうのです。
『仕事がツラいのはどの世代でも同じですが、若い世代と違って55歳には転職と
いう逃げ道が殆ど残されていない。そこへもってきて、医療費だ、教育費だと
カネがかかるため、潔く会社を辞めるという選択肢もない。
だから、例え会社からお荷物扱いされて、気が滅入ってしまっても、会社に
しがみつくしかない……』という辛い現実に耐えなくてはならないのです。
  村上龍氏の小説集の中に『キャンピングカー』というタイトルの作品があります。
有能な営業マンとして活躍していた主人公が、(会社業績の悪化により)
メインバンクが送り込んできた新経営陣の方針に抵抗したため、窓際に追いやられ、
結局は早期退職へ追い込まれてしまうのです。それでも彼は「割増退職金
キャンピングカーを買って、妻と日本全国を旅したい」という淡い夢を頼りに
耐えました。しかし現実は厳しく、妻からは「貴方の退職後は、私はお友達と
スケッチ旅行や美術館巡りをしたいの」と拒絶されてしまいます。
キャンピングカーの夢が破れた主人公は、「俺が働きに出て、家に居なければ
文句ないんだろう」とばかりに、再就職を試みます。然し、58歳の元営業マンが、
再就職先を探すことがどれだけ大変なことか、身に染みて分かることになります。
主人公は、現役のころ懇意にしていた取引先の経営者に頼み込みますが、
そっけなく断られてしまいます。次々とかつての取引先にもコンタクトしましたが、
みんな断られてしまいました。

 主人公が大手企業の看板を背負っていたときは、みんな平身低頭でおべんちゃら
を言っていた中小企業の経営者たちも、主人公が一介の就職浪人だと知るや否や、
手のひらを返したように冷淡な反応しか示さないのです。
主人公は、大手企業で営業マンとして活躍したという自負があったため、
自分は能力があると過信してしまっていたのかもしれません。
多くの大手企業のサラリーマンが「会社の力」と「個人の力」を取り違えている
と言われます。周りが自分を重要視するのは、「個人の力」ではなく、
もっぱら「会社の力」にあることに気が付かない。そして退職して初めて
「会社の名前がなければ、世間は相手にしてくれない」ことに気が付いて
愕然としてしまう人も少なくないようです…………。


前回の「休日労働時間外労働」についての話は、如何でしたでしょうか。
今回は、「育児休業の分割取得」についての話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「育児休業の分割取得」
───────────────────────────────
 育児・介護休業法の改正・施行は、平成28年・平成29年と連続してあったので、
当面の間は改正されないのではないかと思われていましたが、現在、内閣府で
開催されている「少子化克服戦略会議」において、育児休業の分割取得等を
盛り込んだ提言が出てくる予定となっています。
提言を受けて、厚生労働省で育児休業の取得状況の調査を開始し、詳細な
制度設計に着手する見込みです。政府としては未だ案段階ではあるものの、
現状1回しか取ることができない育児休業を、分割して取得できる検討に
入りました。これは男性の育児休業の取得率が5%程度と低いため、
使い勝手を良くして取得率の向上を目指し、ひいては出産・育児にかかる
女性の負担を軽減して少子化対策を加速させることが狙いです。2019年度
にも関連法を改正する予定とのことです。育児休業は育児・介護休業法に
基づいた休業で、雇用保険に加入している労働者には雇用保険から給付金が
支払われますが、ただ、最大3回まで分割が可能な介護休業と異なり、
育児休業は現状1回しか取得できません。分割して取得できるようになれば、
1週間といった短期間の休みでも気軽に取りやすくなると見込んでいます。
更に、労働者が1時間単位で有給休暇を取得しやすくする対策も併せて
検討する予定です。また、働く世帯などが早朝や夜間でも子どもを見て
もらえるようベビーシッターの負担軽減の検討も進めるとのことです。
然し乍ら、これらの改革案が実行に移されると諸規則の改定は勿論のこと、
休業中の仕事の割振りや休業管理など企業の負担はかなりの増加が
予想されます。

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