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快適職場は「珈琲等のある職場」でなく「ムダ等の無い職場」

こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業、電力会社、小売企業等で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。多くの企業様に労働衛生法、従業員の健康、会社の利益を守るお手伝いが出来ればと、新ブランド産業医EX(エキスパート)を立ち上げさせて頂きました。
https://www.sangyouiexpert.com/
 さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
 今回は、「快適職場は「珈琲等のある職場」でなく「ムダ等の無い職場」」について作成しました。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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快適職場は「珈琲等のある職場」でなく「ムダ等の無い職場」
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 生産性低下の3Mは、ムリ、ムダ、ムラの3つになりますが、その中で最も排除するべきは、ムダになります。また、ムダを意識的に排除することで、ムリとムラも低減していきます。
 ムダのない業務に比べて、従業員がムダな業務をすることは、利益の低下、業務の負担の上昇、過重なストレスによる健康障害リスク向上という、悪い影響が生まれ不快になります。今回は、働く人の健康管理のためのムダの排除について、整理したいと思います。
 快適職場の話をする場合、「弊社には珈琲メーカーを置いている。」とおっしゃる方がいますが、職場は仕事をする場所です。従って、快適職場とは、ムリ、ムダ、ムラが少ない状態で、かつ、得られる利益が多くなる職場を意味します。珈琲で得られる快適性は、仕事外でも得ることができ、わざわざ事業所内でコストを費やして行う必要はありません。ただの「快適」と「快適職場」は意味が違いますので、ご注意ください。

◎ムダの種類と内容
 ムダには、一般的に以下の様な種類に分かれます。
①正味主体作業(統括的業務)のムダ
②不良のムダ
③設備のムダ
④在庫のムダ
⑤材料待ちのムダ
⑥段取りのムダ
⑦運搬のムダ
⑧作業指示待ちのムダ
 働く人の健康管理の視点で、ムダを排除するためには、考え方として、労働衛生の5管理の視点と、方法として、労働衛生管理体制の中で改善する視点の2軸が重要になります。

◎労働衛生の5管理の視点
 労働衛生の5管理とは、対策を行うべき順序で、統括管理、作業環境管理、作業管理、健康教育、健康管理となります。ムダは5管理を総動員して対策を行う必要があります。
 総括管理は法令に一定の定義がされており、管理者等の指揮と衛生業務について責任をもって取まとめることになります。業務全体の流れや処置の中に存在するムダは、事業の在り方そのものに影響を及ぼす場合があることから、総括管理の視点を踏まえて対策を行うことが必要です。特に、正味主体作業(統括的業務)のムダや不良のムダの排除には重要な観点になります。
 作業環境管理は、作業環境を評価し、ムダを排除していく手法になります。設備や作業場におけるムダを排除する必要があります。トライアンドエラーが難しい固定資産の在り方に影響が及ぶことから、労働衛生の実務である3管理の中で、優先して取り組む必要があります。特に設備のムダの排除には重要な観点になります。
 作業管理は、作業を評価し、ムダを排除していく手法になります。作業手順、決裁ライン、情報共有におけるムダを排除する必要があります。トライアドエラーが比較的容易であることから、不要な動作の排除、情報共有ツールの活用、経験知識の水平展開等を駆使して、継続的な改善を行う必要があります。特に、段取りのムダや作業指示待ちのムダの排除には重要な観点になります。
 健康教育は、ムダの排除のうち健康に関する教育になります。ムダの排除が健康の維持向上につながる理由、ムダの排除と健康の維持向上の両立をするに当たっての基本的考え、ムダの排除により得られるメリットの共有等が社内文化の向上のために必要であり、さらに、具体的なムダ排除の改善策を共有することも必要です。
 健康管理は、5管理のうち、他の4管理を徹底しても対策しきれなかった健康障害について、早期発見早期対応と悪化の予防の観点から、健康の回復につなげることになります。本人の訴えを元に事実確認を行い、健康障害を引き起こしていたムダがあった場合は、それを衛生委員会等で適切に協議して速やかに排除することが必要です。
 ムダを排除するために労働衛生の5管理を行うに当たって、最も重要なことは目標がぶれない総括管理です。ムダを自覚しつつも、ムダの排除にあたって課題が認められた場合、現状維持を優先するといったことはあってはなりません。総括管理をしっかりしていれば、作業環境管理や作業管理を継続的に行うことで、次第にムダが排除されていきます。

◎労働衛生管理体制の視点
 ムダの排除について、会社の意思決定者が現場の意見を汲まずに実施したムダの排除により、現場ではムダが増えるリスクが存在します。例えば、企業の経営層から導入が指示されたソフトウェアが、現場の業務にそぐわず、ソフトウェアに入力するために、ムダな手作業や表計算処理が増えたという経験をされた方もいるのではないでしょうか。
 働く人の健康管理のためのムダの排除は、ムダの排除が利益向上につながるかといった経営者の視点、ムダの排除が業務負担低減と健康の維持につながるかといった労働者の視点、健康管理の専門家である産業医の視点で調査審議を行い、それぞれの担当者にとって良い妥協点で実行することが重要になります。そのため、ムダの排除にも衛生委員会衛生管理者といった労働衛生管理体制の利用や水平利用を行うと良いでしょう。
 労働衛生の取り組みを行っていると、労働安全衛生法が、利益向上と健康管理の両立を意識して定められていることを実感します。労働政策審議会で労使及び公益の議論を経て定められた背景があるからと考えます。
 経団連等が盛り込んだ利益向上の視点を水平利用し、利益向上と従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を安定して享受してください。

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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/

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