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武富士事件で考察すべきこと

皆様は、『武富士事件』というワードを聞いたことがあるでしょうか?『武富士』という会社は知っていても、『武富士事件』というワードは、租税関係で使用する用語のためご存じでない方も多いと思います。

 まず『武富士』という会社について言及すると、消費者金融、いわゆるサラ金と言われる金融会社で、出資法利息制限法との利率の違いにまだ法律的メスが入っていなかったサラ金会社の全盛期時代に急成長した会社です。当時約29%の高利率でお金を融資し、複数の女性がダンスをするCMのインパクトも加わって、サラ金業界のトップに君臨してました。

 ただ、利息に係るグレーゾーンに法的メスが入り、弁護士団による利息過払い請求が急増するにつれて武富士の業績も悪化の一途をたどり、2010年9月に東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請しております。

さて、租税法上の『武富士事件』というのは、創業者の資産を香港在住の息子に贈与したのがきっかけで、当時の法律では、日本に「生活の本拠」をおいていない人への贈与は日本の贈与税が課税されないこととなっており(現在は改正により課税されます)、当該息子が日本に居住していなかったかが争点となり、結果当該息子は日本に居住していなかったと認定され、贈与税の返還と、還付加算金が支給される結果となりました。

この事件は、贈与税の返還はもちろんのこと、還付加算金が多額であったこと、租税回避行為ではなかったのではないかという点で、注目されました。

〇日本に住んでいるかの判定

この事件の最も大きな争点は、当該息子の「生活の本拠」が日本であったか、香港であったかということでした。当時の日本の法律では、「生活の本拠」が日本でない場合、日本の贈与税を課税することができませんでした。家の有無、居住期間の長さなどで判断しましたが、当時当該息子は事前に長期間香港に在住していたため、たまに日本に戻ってくることがあっても、「生活の本拠」が日本であると認定することが困難であったのです。

〇タックスヘイブンの存在

この事件が生じたもう一つの要因としては、世界には、税金の課される金額が少額の「タックスヘイブン」といわれる国が存在することです。

なぜ「タックスヘイブン」が存在するかというと、国の面積が小さく、且つ資源が少ない国などは、諸外国から経済資本を集めるため、税金を少なくして出来るだけ諸外国から企業に来てもらおうというバイアスが働きます。香港やシンガポール、ケイマン諸島などの領土の小さい国がこれに該当します。

日本と外国で条約などを結んでいる国であれば、そのような課税の少ない国に租税回避目的で法人を設立して経済活用をしていたとしても、実質日本で経済活動をしていると同等であると認められれば、日本の税金を課することが可能となりますが、いまだに租税回避目的で海外に居住したり、海外で法人を設立する(ペーパーカンパニーなど)ケースがあとをたちません。

今のグローバル社会において、経済活動もグローバル化しているのはいうまでもありません。その中において、国によって税金負担が大きく異なる現状は歪な状態とも言えます。 本来税金は応能負担(税金の負担能力がある者がそれに応じて負担する)、応益負担(税金によるサービスを受ける割合に応じて負担する)など、合理的負担を必要としています。今後さらにグローバルな生活スタイル、経済活動が増えると想定され、「生活の本拠」という言葉自体が形骸化となる可能性もあります。そのため、税負担についても国際的な統一制度がさらに図られるべきと考えます。

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