日本はこれから益々高齢化社会に突入して行くようです。夫婦そろって高齢を迎える人もいますが、
伴侶に先立たれて老後一人暮らしをする人も多くなってきました。老後生活の収入の柱ともいえる年金は、
今後も物価の高騰ほどは増えては行きません。でも、生活がいくら苦しくなっても子供には迷惑を掛けたくないと
の思いから子供とは別居の生活を選ぶ高齢者が多数となっています。
先日、ベストセラー小説「老後の資金がありません」(2011年/中公文庫)を映画化した天海祐希さん主演の映画を
アマゾンプライムで観ました。 夫の失職、セレブ姑との同居、親の葬式、子供の派手婚……。
お金の災難に振り回される普通の主婦・後藤篤子(天海祐希)さんの奮闘が、小気味よく描かれています。
「二人の子供の私立大学の学費も払い終わり、気付けば手元にあるのは1,200万円の
預金だけ。ただでさえ老後の
資金が心配な篤子(主人公)ですが、娘の結婚式
費用に500万、舅の葬儀
費用には400万と、羽が生えたように
お金は篤子のもとから飛んでいきます。さらに悪いことは続き、篤子はパートを
解雇され、夫の会社も倒産してしまう。
篤子の努力もむなしく、手元の資金はアッと言う間に300万円を切ってしまい、不安にかられる篤子・・・・・・・」。
老後資金問題というシリアスなテーマをユーモラスに描いた作品です。
平成元年に金融庁が発表した「老後2000万円問題」が一時期話題となりました。これは「老後の30年間で
約2,000万円が不足する」と発表されたことが社会を驚かせたのです。報告書の中には以下の一文がありました。
「収入と支出の差である不足額約5万5千円」が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の
取り崩しが必要となる。
前提としては、
・夫が65歳以上、妻が60歳の夫婦のみの無職世帯
・夫が95歳、妻が90歳になるまでの30年間は夫婦とも健康である
・毎月約5万5,000円が赤字になる
毎月5万5,000円不足する根拠に関しては、
総務省の家計調査(2017年)における高齢夫婦無職世帯の平均から
算出されています。
「2,000万円」という金額はあくまでもモデルケースでの老後資金の不足額ですので、人によって実際の不足額は
異なります。
頼りとする
退職金についても、そんなに頼りには出来なくなってきています。
退職給付額(
退職金)は減少傾向にあり、
1992年度には企業の92%に存在した
退職給付制度が、2017年には80.5%の企業にしか存在しない状況です。
企業規模が小さくなるほど、
退職給付制度が用意されている割合も低くなります。
また、
退職給付制度が存在する企業であっても、給付金額が減少傾向にあるので安心できる状況ではありません。
例えば、「大学卒業者または大学院卒業者、勤続35年」というケースでは、1997年に平均3,203万円だった
退職金が
2017年には平均1,997万円(但し大企業の場合、中小企業ではこの半額程度)になっており、3~4割程度も減少
しています。更に、近年は転職回数が増加傾向にあることや、働き方の多様化によりフリーランスが増えていること
もあり、
退職給付額が少なかったり受け取れなかったりするケースも発生しています。
そのため、かつてのような「
定年退職後は、
退職金と年金をベースにして豊かな生活を営む」というバラ色の老後生活を
送れる人は益々少なくなってきています。
こんな現実をわきまえて多くの人が60歳~65歳はもとより、65歳~70歳迄働く準備をしています。老後資金を、余裕を
もって準備するためには、無職となる老後期間(年金だけの収入となる期間)を短くするしかないのです。
仮に60歳から10年間、年収400万円で働けば4000万円の収入があります。そしてこの資金の半分位を老後資金として
蓄えることができれば、70歳の時に2000万円近くの金融
資産が作れることになります。70歳の時これだけの資金が
あるかどうかで、その後の老後生活の豊かさは大きく変わるかもしれません。
超高齢化社会では、個人間の経済格差は一段と大きくなるようです。
同時に「お金が無いから長生きするのを躊躇してしまう世の中は何だかなぁ!」との思いも強くなる世の中になって
しまうのかもしれません。
さて、前回の「フリーランス取引適正化法」は如何だったでしょう?
今回は「
被扶養者資格の再確認」の話をします。
──────────◆ 目 次 ◆──────────────
被扶養者資格の再確認
健康保険には
被保険者の他に、一定の要件を満たした家族を
被扶養者とできることになっています。
被扶養者は
認定する時点での
被扶養者の状況により、基準を満たしているかの判断することになっているため、継続的に
基準を満たしている状況にあるかを確認するため、
被扶養者資格の再確認を実施することがあります。
協会けんぽでは
被扶養者資格の再確認が毎年度実施されており、令和5年度も実施するとの公表が行われました。
実施の流れは、2023年10月下旬から11月上旬にかけて、順次「
被扶養者状況リスト」が事業主宛に送付され、
事業主を通じて確認対象の
被扶養者が
健康保険の
被扶養者要件を満たしているか、
被保険者に確認することになります。
確認後は、
被扶養者状況リストに結果を記入し、返信用封筒で返信することになります。
昨年度の
被扶養者資格の再確認の結果としては、
被扶養者から削除となった人が約7.8万人(2023年3月31日現在)、
被扶養者の削除により見込まれる前期高齢者納付金の負担軽減額が 9億円程度になったとのことで、重要な
取り組みになっています。
以上
日本はこれから益々高齢化社会に突入して行くようです。夫婦そろって高齢を迎える人もいますが、
伴侶に先立たれて老後一人暮らしをする人も多くなってきました。老後生活の収入の柱ともいえる年金は、
今後も物価の高騰ほどは増えては行きません。でも、生活がいくら苦しくなっても子供には迷惑を掛けたくないと
の思いから子供とは別居の生活を選ぶ高齢者が多数となっています。
先日、ベストセラー小説「老後の資金がありません」(2011年/中公文庫)を映画化した天海祐希さん主演の映画を
アマゾンプライムで観ました。 夫の失職、セレブ姑との同居、親の葬式、子供の派手婚……。
お金の災難に振り回される普通の主婦・後藤篤子(天海祐希)さんの奮闘が、小気味よく描かれています。
「二人の子供の私立大学の学費も払い終わり、気付けば手元にあるのは1,200万円の預金だけ。ただでさえ老後の
資金が心配な篤子(主人公)ですが、娘の結婚式費用に500万、舅の葬儀費用には400万と、羽が生えたように
お金は篤子のもとから飛んでいきます。さらに悪いことは続き、篤子はパートを解雇され、夫の会社も倒産してしまう。
篤子の努力もむなしく、手元の資金はアッと言う間に300万円を切ってしまい、不安にかられる篤子・・・・・・・」。
老後資金問題というシリアスなテーマをユーモラスに描いた作品です。
平成元年に金融庁が発表した「老後2000万円問題」が一時期話題となりました。これは「老後の30年間で
約2,000万円が不足する」と発表されたことが社会を驚かせたのです。報告書の中には以下の一文がありました。
「収入と支出の差である不足額約5万5千円」が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の
取り崩しが必要となる。
前提としては、
・夫が65歳以上、妻が60歳の夫婦のみの無職世帯
・夫が95歳、妻が90歳になるまでの30年間は夫婦とも健康である
・毎月約5万5,000円が赤字になる
毎月5万5,000円不足する根拠に関しては、総務省の家計調査(2017年)における高齢夫婦無職世帯の平均から
算出されています。
「2,000万円」という金額はあくまでもモデルケースでの老後資金の不足額ですので、人によって実際の不足額は
異なります。
頼りとする退職金についても、そんなに頼りには出来なくなってきています。退職給付額(退職金)は減少傾向にあり、
1992年度には企業の92%に存在した退職給付制度が、2017年には80.5%の企業にしか存在しない状況です。
企業規模が小さくなるほど、退職給付制度が用意されている割合も低くなります。
また、退職給付制度が存在する企業であっても、給付金額が減少傾向にあるので安心できる状況ではありません。
例えば、「大学卒業者または大学院卒業者、勤続35年」というケースでは、1997年に平均3,203万円だった退職金が
2017年には平均1,997万円(但し大企業の場合、中小企業ではこの半額程度)になっており、3~4割程度も減少
しています。更に、近年は転職回数が増加傾向にあることや、働き方の多様化によりフリーランスが増えていること
もあり、退職給付額が少なかったり受け取れなかったりするケースも発生しています。
そのため、かつてのような「定年退職後は、退職金と年金をベースにして豊かな生活を営む」というバラ色の老後生活を
送れる人は益々少なくなってきています。
こんな現実をわきまえて多くの人が60歳~65歳はもとより、65歳~70歳迄働く準備をしています。老後資金を、余裕を
もって準備するためには、無職となる老後期間(年金だけの収入となる期間)を短くするしかないのです。
仮に60歳から10年間、年収400万円で働けば4000万円の収入があります。そしてこの資金の半分位を老後資金として
蓄えることができれば、70歳の時に2000万円近くの金融資産が作れることになります。70歳の時これだけの資金が
あるかどうかで、その後の老後生活の豊かさは大きく変わるかもしれません。
超高齢化社会では、個人間の経済格差は一段と大きくなるようです。
同時に「お金が無いから長生きするのを躊躇してしまう世の中は何だかなぁ!」との思いも強くなる世の中になって
しまうのかもしれません。
さて、前回の「フリーランス取引適正化法」は如何だったでしょう?
今回は「被扶養者資格の再確認」の話をします。
──────────◆ 目 次 ◆──────────────
被扶養者資格の再確認
健康保険には被保険者の他に、一定の要件を満たした家族を被扶養者とできることになっています。被扶養者は
認定する時点での被扶養者の状況により、基準を満たしているかの判断することになっているため、継続的に
基準を満たしている状況にあるかを確認するため、被扶養者資格の再確認を実施することがあります。
協会けんぽでは被扶養者資格の再確認が毎年度実施されており、令和5年度も実施するとの公表が行われました。
実施の流れは、2023年10月下旬から11月上旬にかけて、順次「被扶養者状況リスト」が事業主宛に送付され、
事業主を通じて確認対象の被扶養者が健康保険の被扶養者要件を満たしているか、被保険者に確認することになります。
確認後は、被扶養者状況リストに結果を記入し、返信用封筒で返信することになります。
昨年度の被扶養者資格の再確認の結果としては、被扶養者から削除となった人が約7.8万人(2023年3月31日現在)、
被扶養者の削除により見込まれる前期高齢者納付金の負担軽減額が 9億円程度になったとのことで、重要な
取り組みになっています。
以上