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インボイス制度スタート

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          ~得する税務・会計情報~         第403号
           
           【税理士法人-優和-】   https://www.yu-wa.jp  
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            インボイス制度スタート


 インボイス制度が10月1日より始まりました。
 影響の大きい個人事業主などの小規模事業者を中心に、開始直前になっても、
不安の声が続いており、政府も経済対策に追加の支援策を盛り込むように指示
しています。
 ヤマト運輸の個人事業者への配達委託中止報道などに接すると、仕入税額控
除を確実にできるように、そのようにしたのではないかと勘繰りたくもなります。
 免税事業者は460万人おり、財務省はそのうち160万人が新制度への登録が
必要とみており、111万人が登録を済ませたようです(日経10月1日朝刊)。
 免税事業者に対する配慮やインボイスを入手しにくい取引等に対する配慮も、
経過措置や特例として、もり沢山組み込まれており、それはそれで評価されても
よいといえます。

 翻って、その経過措置や恩情措置的特例に対応しなければならない、
事務方や、購買担当、経理マン等の事務負担という視点でこのインボイス
制度を考えてみることとします。

1、特例がある故の記帳の煩雑さ
 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送、 3万円未満の自動
販売機による販売、 郵便切手を対価とする郵便サービス、 入場券等が
回収されるもの、古物商や質屋等が仕入れる古物、質物等、 従業員
に支給する出張旅費等については、帳簿のみ保存で仕入税額控除可能
となっています。

 「公共交通機関特例」とか「出張旅費等特例」とか帳簿に記載しな
ければなりません。最も、このように詳しく記載しなくても、略式化された
ものでもよいようですが、従来は記載不要でした。

 ジュース等を自動販売機で購入すれば、「自動販売機特例」ですが、
これを帳簿に記載するとともに、「仕入れの相手方の住所または所在地」
まで記載するそうです。「みずほ銀行芝支店前自販機」程度の記載で
よさそうですが、これも大変です。
 しかしジュース等をセルフレジで代金の精算をすれば、この特例対象外
なのでインボイス保存が必要となります。
 これを購入者自身や、事務方がいちいち区別しなければなりません。

 出張旅費精算も、従業員が立替して、旅費精算するなら、「出張
旅費等特例」でインボイス保存不要なものの帳簿への記帳が必要です。
そして出張旅費精算なら通常必要と認められる金額なら3万円を超え
ても良いとされています。「通常必要と認められる金額」の判断も面倒です。
 しかし会社が新幹線代を購入したら、3万円以上はインボイス必要
となります。
 航空券だと「公共交通機関特例」対象外なのでインボイス保存が
必要です。
 とにかく、事務方だけでなく、従業員サイドの現場は、当分頭が混乱しそうです。

 売手負担の振込手数料について、会計上は支払手数料として処理する
一方、消費税法上だけ売上値引き(対価の返還等)として取り扱っても
差し支えないこととされています。そうしておけば、1万円未満の適格返還
請求書の交付義務の免除により、インボイス制度対応が不要になりますが、
消費税の申告時には、二重に仕入税額控除しないように注意するが必要が
あります。

2、経過措置があるゆえの煩雑さ
 2割特例は簡単でわかりやすいというものの、実は「課税事業者選択届出書」
という消費税に関する届出を事前に出していると話が少々ややこしくなります。
 レアケースかもしれませんし、紙幅の関係で書ききれませんので、財務省が公表
した「インボイス制度の負担軽減措置のよくある質問とその回答」の問5以下を
お読みください。

 支払の相手が免税事業者の場合は、最初の三年間は80%を仕入税額
控除できるものの、残りの20%は本体価格に上乗せする必要があります。
 原価計算制度を採用していたりすると一つの支払いに対し、製造番号が
数十か所に渡るような場合、いちいちその20%部分を更に、手計算で割り
振るような作業を強いられている企業も実際にあります。

 事務手続きを簡単にしようとの配慮や、免税事業者に対する配慮が盛り
込まれているものの、それが逆に現場作業を煩雑にしかねない現実があります。
インボイス制度への対応の為に日本国民が今後割かざるを得ない時間と
コストを考えると、マイナンバー制度導入で得られるであろう生産性向上以上
に、インボイス導入は生産性悪化につながりかねないものと憂慮する次第です。



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