こんにちは、
産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
従業員の健康問題(
従業員主治医の診断書が起因)が企業の経営に直結し、時には社長・
役員の辞任、売上減少、
株主代表訴訟にまで発展するケースが顕在化しています。また、
従業員の健康を第一に守るという目的により、企業ガバナンスの逆転現象が起き、結果的に健康を守りきれなかったという矛盾も生じています。
健康管理は、ケガからハラスメントまで、対策の範囲が広いです。そこで、企業ガバナンスを経営者主体という本来の形にすることで、会社と経営者を第一に守り、その結果、
従業員の健康を守るという目的で、下記の日本規格協会規格(JSA 規格)「JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針」を開発しました。
また、認証機関も立ち上げております。
なお、日本規格協会は、経済産業省による認定産業標準作成機関であり、唯一のマネジメントシステム作成機関です。
企業主体の健康管理体制の構築について、ぜひJSA-S1025をご活用ください。
※ホームページを、改訂しました。
https://www.kenpomerit.com/
今回は、「【テレビ局】たった年間2,000万円で済んだのに」について作成しました。
企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。
========================
【テレビ局】たった年間2,000万円で済んだのに
========================
テレビ局の問題について、第三者
委員会報告書の公表から約1年が経過しました(令和8年3月時点)。
この問題における健康障害に関して、第三者
委員会報告書では次のように指摘されています。
・性的暴力・ハラスメントは安全で健康的な職場環境の侵害にもなり得る。
・アナウンサーの安全かつ健康的な労働環境を確保するための措置が不足していた。
・本事案においてN氏が女性Aに対して性暴力を行い、PTSDを発症させた。すなわち、女性Aには頻回なフラッシュバック、食欲不振、うつ症状等を伴う重篤な病状が認められ、PTSDと診断されて精神科での入院・通院治療及びトラウマ治療を受けるに至った。N氏の行為は、重大な人権侵害行為に当たると解する。
当然ながら、第三者
委員会報告書でも客観的事実の証拠として、医師が発行した「診断書」が示されています。適切な健康管理体制が機能していれば、最悪の事態は避けられた可能性がある事件です。
なお、本件はハラスメント対策の中でも、起点は「カスタマーハラスメント(外部者からの加害)」に該当します。令和8年内にカスタマーハラスメント対策が義務化されることからも、すべての企業にとって対策を検討すべき重要な事例と言えます。
【令和8年3月時点の被害状況の整理】
〇 経済的損失の規模
健康障害に起因して、同局には次のような莫大な経済的損失が生じたと算出されています。
・損失額は約453億円:テレビ局側は、一連の問題に起因する直接的・間接的な損害額を約453億円と算出しています。
・広告収入の激減:企業のCM出稿停止が相次いだことにより、テレビCMによる放送収入が前年同期比で大幅(約73.2%)に減少しました。
・巨額の赤字への転落:テレビ局単体の業績において
売上高が激減し、約328億円もの最終赤字を記録する事態となりました。
〇 経営陣への
損害賠償・法的責任
また、経営陣の責任追及はかつてない規模に発展しています。
・旧経営陣2名に対し50億円の提訴:テレビ局は令和7年8月、前社長と元専務に対し、
善管注意義務を怠ったとして50億円の
損害賠償を求めて提訴しました。
・
株主代表訴訟:親会社(ホールディングス)の現旧経営陣15人に対し、
株主が約233億円の賠償を求める提訴を起こしています。
〇 組織的・社会的損失
組織的・社会的な損失としては、次のように指摘されています。
・
役員級20人の辞任・退任:経営責任による辞任4人、加害行為の認定による辞任・
退職13人、その他による辞任3人にのぼりました。
・二次加害の指摘:被害女性が訴えた際、会社幹部が加害者(N氏)側の利益を優先して動いた対応が「二次加害」に当たると指摘されました。
・幹部の相次ぐ処分:複数幹部のハラスメント認定により、番組降板等の影響が出ました。
◎「年間2,000万円」を有効活用できなかった代償
以下のコラムに示すように、
産業医はアナウンサーの上司から「本事案を上にあげたので、あとは僕たち(会社の上層部)でやります。
産業医と心療内科医にはメンタルを含めた心身のケアをお願いします」と告げられており、
産業医自身は「会社側が責任をもって対応する」と認識していました。
【第三者
委員会報告書】テレビ局
産業医対応まとめ
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177542/
医師は健康管理に関する最上位資格であり、歯科医師領域や薬剤師業務の一部を除き、健康管理に関するすべてを行うことができます。したがって、健康障害の統括責任について「医師の責任(専門家の判断)とすること」は、国民が共通して認める正当なプロセスだと思います。医師が専門家としての責任を負って職責の罰を受けたにもかかわらず、それでもなお社長の責任を追及されることは、少なくとも最高裁判例上、考えにくいことです。
しかし、テレビ局は、なぜか「医師の責任」にできることを、わざわざ「会社の責任」へとスイッチして抱え込んでしまいました。これは、実務上本当に不可解な対応です。さらに、その重い責任を社長個人に負わせる結果となりました。
大企業にとって、優秀な医師を確保・活用することは、年間2,000万円(
社会保障費等含む)程度の、決して大きな負担とはならない金額です。このテレビ局は、「医師の責任とする」という専門家への適切な委譲を活用できなかったばかりに、数百億円にものぼる経済的・社会的責任を負うことになりました。
もちろん、嘱託の医師と
契約している中小企業であっても、仕組みを整えれば「医師の責任にすること」は十分に可能です。
企業の規模にかかわらず、いかなる原因があったとしても、健康管理に関するすべての責任は、適切に「医師の責任にすること」を重視する体制を構築しましょう。
========================
JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針
JSA-S1025ページ
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JSA-S1025%3A2025
JSA-S1025紹介
https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/jsa/pdf_jsa_372.pdf
【JSA-S1025】開発の解説
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177724/
リサーチマップ(朝長健太)
https://researchmap.jp/yobouigyou
こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
従業員の健康問題(従業員主治医の診断書が起因)が企業の経営に直結し、時には社長・役員の辞任、売上減少、株主代表訴訟にまで発展するケースが顕在化しています。また、従業員の健康を第一に守るという目的により、企業ガバナンスの逆転現象が起き、結果的に健康を守りきれなかったという矛盾も生じています。
健康管理は、ケガからハラスメントまで、対策の範囲が広いです。そこで、企業ガバナンスを経営者主体という本来の形にすることで、会社と経営者を第一に守り、その結果、従業員の健康を守るという目的で、下記の日本規格協会規格(JSA 規格)「JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針」を開発しました。
また、認証機関も立ち上げております。
なお、日本規格協会は、経済産業省による認定産業標準作成機関であり、唯一のマネジメントシステム作成機関です。
企業主体の健康管理体制の構築について、ぜひJSA-S1025をご活用ください。
※ホームページを、改訂しました。
https://www.kenpomerit.com/
今回は、「【テレビ局】たった年間2,000万円で済んだのに」について作成しました。
企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。
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【テレビ局】たった年間2,000万円で済んだのに
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テレビ局の問題について、第三者委員会報告書の公表から約1年が経過しました(令和8年3月時点)。
この問題における健康障害に関して、第三者委員会報告書では次のように指摘されています。
・性的暴力・ハラスメントは安全で健康的な職場環境の侵害にもなり得る。
・アナウンサーの安全かつ健康的な労働環境を確保するための措置が不足していた。
・本事案においてN氏が女性Aに対して性暴力を行い、PTSDを発症させた。すなわち、女性Aには頻回なフラッシュバック、食欲不振、うつ症状等を伴う重篤な病状が認められ、PTSDと診断されて精神科での入院・通院治療及びトラウマ治療を受けるに至った。N氏の行為は、重大な人権侵害行為に当たると解する。
当然ながら、第三者委員会報告書でも客観的事実の証拠として、医師が発行した「診断書」が示されています。適切な健康管理体制が機能していれば、最悪の事態は避けられた可能性がある事件です。
なお、本件はハラスメント対策の中でも、起点は「カスタマーハラスメント(外部者からの加害)」に該当します。令和8年内にカスタマーハラスメント対策が義務化されることからも、すべての企業にとって対策を検討すべき重要な事例と言えます。
【令和8年3月時点の被害状況の整理】
〇 経済的損失の規模
健康障害に起因して、同局には次のような莫大な経済的損失が生じたと算出されています。
・損失額は約453億円:テレビ局側は、一連の問題に起因する直接的・間接的な損害額を約453億円と算出しています。
・広告収入の激減:企業のCM出稿停止が相次いだことにより、テレビCMによる放送収入が前年同期比で大幅(約73.2%)に減少しました。
・巨額の赤字への転落:テレビ局単体の業績において売上高が激減し、約328億円もの最終赤字を記録する事態となりました。
〇 経営陣への損害賠償・法的責任
また、経営陣の責任追及はかつてない規模に発展しています。
・旧経営陣2名に対し50億円の提訴:テレビ局は令和7年8月、前社長と元専務に対し、善管注意義務を怠ったとして50億円の損害賠償を求めて提訴しました。
・株主代表訴訟:親会社(ホールディングス)の現旧経営陣15人に対し、株主が約233億円の賠償を求める提訴を起こしています。
〇 組織的・社会的損失
組織的・社会的な損失としては、次のように指摘されています。
・役員級20人の辞任・退任:経営責任による辞任4人、加害行為の認定による辞任・退職13人、その他による辞任3人にのぼりました。
・二次加害の指摘:被害女性が訴えた際、会社幹部が加害者(N氏)側の利益を優先して動いた対応が「二次加害」に当たると指摘されました。
・幹部の相次ぐ処分:複数幹部のハラスメント認定により、番組降板等の影響が出ました。
◎「年間2,000万円」を有効活用できなかった代償
以下のコラムに示すように、産業医はアナウンサーの上司から「本事案を上にあげたので、あとは僕たち(会社の上層部)でやります。産業医と心療内科医にはメンタルを含めた心身のケアをお願いします」と告げられており、産業医自身は「会社側が責任をもって対応する」と認識していました。
【第三者委員会報告書】テレビ局産業医対応まとめ
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177542/
医師は健康管理に関する最上位資格であり、歯科医師領域や薬剤師業務の一部を除き、健康管理に関するすべてを行うことができます。したがって、健康障害の統括責任について「医師の責任(専門家の判断)とすること」は、国民が共通して認める正当なプロセスだと思います。医師が専門家としての責任を負って職責の罰を受けたにもかかわらず、それでもなお社長の責任を追及されることは、少なくとも最高裁判例上、考えにくいことです。
しかし、テレビ局は、なぜか「医師の責任」にできることを、わざわざ「会社の責任」へとスイッチして抱え込んでしまいました。これは、実務上本当に不可解な対応です。さらに、その重い責任を社長個人に負わせる結果となりました。
大企業にとって、優秀な医師を確保・活用することは、年間2,000万円(社会保障費等含む)程度の、決して大きな負担とはならない金額です。このテレビ局は、「医師の責任とする」という専門家への適切な委譲を活用できなかったばかりに、数百億円にものぼる経済的・社会的責任を負うことになりました。
もちろん、嘱託の医師と契約している中小企業であっても、仕組みを整えれば「医師の責任にすること」は十分に可能です。
企業の規模にかかわらず、いかなる原因があったとしても、健康管理に関するすべての責任は、適切に「医師の責任にすること」を重視する体制を構築しましょう。
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JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針
JSA-S1025ページ
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JSA-S1025%3A2025
JSA-S1025紹介
https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/jsa/pdf_jsa_372.pdf
【JSA-S1025】開発の解説
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177724/
リサーチマップ(朝長健太)
https://researchmap.jp/yobouigyou