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4月から6月は残業をしないでと言われる。なぜ?

2026年5月7日号 (no. 1240)
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■4月から6月は残業をしないでと言われる。なぜ?

4月から6月の間は、
残業、つまり時間外の労働時間がなるべく少なくなるようにする。

理由は、社会保険料が、4月から6月の給与で決まるためです。

社会保険料を減らすために、春から初夏にかけて、
残業を減らそうという試みをするのですね。

では、4月から6月に残業を減らすとして、
どれぐらい減らせば社会保険料が変わってくるのか。

その目安なり、基準なりを知りたいところですよね。

取り組むほどの効果があるのかどうか。

やったところでせいぜい誤差程度のものでしかないのか。

さあ、どうなることやら。


社会保険料を減らす効果は?

例えば、普段の時間外労働時間が平均で月30時間だとして、
調整して、4月から6月は月25時間の時間外労働にすると、
社会保険料はどれくらい変わるでしょうか。

仮に、1時間あたりの給与が5,000円の人がいたとして、
この人が法定時間外に残業すると、25%増しとして、
1時間あたり6,250円の報酬になります。

この方が1ヶ月あたりにおよそ30時間の時間外労働をしているところ、
それを月に25時間まで減らしたとすると、
社会保険料はどれほど減るのか。

減った時間数は月5時間ですから、5時間掛ける6,250円で、
1ヶ月あたり31,250円、報酬月額が少なくなります。

社会保険料は、標準報酬月額の等級によって決まりますので、
4月から6月の残業を減らして、
この標準報酬月額の等級が下がれば、
社会保険料も下がります。

では、この方の場合、
1ヶ月に31,250円の報酬月額が少なくなったとして、
社会保険料標準報酬月額の等級が下がるのかどうか。


時間外労働を月に5時間減らしても、社会保険料を下げる効果はない

この方の報酬月額が月850,000円だとして、
そこから時間外労働、月5時間を減らしたので、
31,250円の報酬月額を減らすと、

報酬月額は818,750円。

この場合、
標準報酬月額の等級は、
40等級の830,000円のまま。

そのため、
時間外労働を1ヶ月に5時間減らしたとしても、
社会保険料は変わらない。


■月に10時間残業を減らしても、社会保険料はたった6,000円しか減らない

では時間外労働を月に10時間減らしたとするとどうなるか。

この場合、
報酬月額は月に62,500円減りますから、
850,000円から62,500円を減らして、
787,500円となります。

これが報酬月額。

その報酬月額に対応する標準報酬月額の等級は39級の790,000円。

ですので、月に10時間、時間外労働を減らせば、
標準報酬月額の等級が1等級下がります。

その結果、社会保険料は減ります。

40等級の830,000円が標準報酬月額だと、
社会保険料を30%とした場合、
1月の社会保険料は249,000円。

一方で、
39等級の790,000円の場合は、
社会保険料は237,000円。

月に10時間、時間外労働を減らして、
社会保険料は12,000円減ります。

1か月で12,000円です。

社会保険料は労使折半なので、
本人負担分で減るのは6,000円だけです。

月収850,000円の人が時間外労働を4月から6月に減らす試みをして、
その結果、減らすことができた社会保険料は月6,000円。

あえて取り込むほどの価値があるのかどうか。
収入の規模から考えれば、おそらくやってもやらなくてもいいんじゃないか、
という結論になるのでは。



■4月から6月だけでなく、年間を通して時間外労働を減らす

社会保険料の「節約」だけを見てしまうと、
実際には将来給付や休業補償を下げる側面があります。

特に4〜6月の報酬を意図的に抑えると、

* 健康保険
* 厚生年金保険

が下がる一方で、

* 傷病手当金
* 出産手当金
* 老齢厚生年金
* 障害厚生年金
* 遺族厚生年金

などの算定基礎にも影響します。

例えば、
傷病手当金は、
原則として
「支給開始前12か月の標準報酬月額平均」
を基礎にしますので、

標準報酬月額を下げると、
病気や怪我で休んでいる時の給付も減ります。

老齢厚生年金も、
長期的には平均標準報酬額ベースですから、
将来年金にも影響します。


社会保険料を下げるため」

を前面に出すより、

「恒常的な長時間労働を減らす」
「年間を通じて労働時間を平準化する」

という目的で、
年間を通して時間外労働を減らしていく方が正攻法です。


* 業務の平準化
* ムダ作業削減
* 繁忙時期の見直し
* IT化
* 人員配置改善
* 残業前提運営の是正

などを通じて、
年間を通じて少しずつ時間外労働を減らすなら、

* 健康配慮
* 生産性向上
* 人件費適正化
* 離職防止
* 採用力向上

につながります。

これならば、
在職している人にも不自然さはありませんし、
働き続けてくれる人も増えますから、

小銭を節約するのではなく、
長い目で見て判断する方がリターンが大きいでしょう。




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