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実力主義の「役割給」  キヤノン

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     人事労務トレンド情報玉手箱         
   < 第22号  H17.10.11>
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【実力主義の「役割給」  キヤノン】

10日の日経産業新聞に「人をいかす 検証人事労務戦略」という特集がありました。とりあげたのはキャノンです。掲載された同社の役割給の要旨はおおむね以下のとおりです。

1. 職能等級制度から役割等級制度への移行は01年、管理職から始まる。定期昇給や家族手当など属人的な要素を除き、仕事の重要性や成果などに応じて月例賃金や一時金を支払う仕組みに変えた。「ヒト基準」から「仕事基準」に転換し、社員に緊張感を持たせるためだった。現在約4300人いる管理職の場合、1年間に約300人の役割等級が上がる一方、約150人は等級が下がる。同期入社、40歳の管理職で2倍以上の年収格差がつくこともある。
2. 制度変更に伴うショックを和らげ、実力主義賃金を軟着陸させることにも気を配ってきた。最初の2年間は年収が10%を超えて下がらない激変緩和措置を設けた。等級が下がっても月例賃金は下げないという歯止めもかけてきた。現在、年収の90%保証はない。今年は月給の歯止めも外し、数10人が降給になった。
3.一般社員の制度改革は2段階方式だった。まず2002年に職能給制度から「職群等級制度」に移行。役割給の考え方を取り入れたものの、職能給の要素も残すという折衷的な制度だった。今年から管理職と同じ役割給制度に変わった。
4. 今年は一般社員の目標管理制度の評価項目を見直した。従来は「成果」と「能力・意識」から成り、成果はさらに「目標達成度」と「日常業務遂行度」に分かれていた。だが目標達成度を巡って問題が生じた。結果が客観的に判定できる数値目標などが推奨されていたが、日常業務とのかかわりが薄い目標を掲げたり、達成しやすい目標を立てる社員が増えたためだ。そこで数値目標などを無理に設定しないでも済むようにした。新しい項目は「役割達成度」と「行動」。上司との面接を通じ、本来の職務だけでなく、上位の仕事への挑戦や下位の仕事の分担も役割シートに書き込むようにした。過度の成果主義や個人主義に陥らないよう、チームワークも評価対象として重視している。
5. 一般社員に役割給制度を導入する際、約7500の役割(職務)を分析し、定義して重み付けをした。キヤノンはあえて職務給ではなく役割給ということばを使う。なぜなら同社での「役割」は「職務」より広い概念だからだ。自分の担当業務をこなすだけでなく、部下の育成やチーム活動への貢献も求めている。
6. 社内公募制度を運用している。社内ネットでポストの情報を開示し、希望する社員に応募の機会を与える。現在の上司の許可は不要だ。昨年はこの制度で部署を移った一般社員が約120人いた。管理職はほとんどいないという。
 今年から「キャリア・マッチング制度」と名称を変更。社員が希望部署と面談する前に人事部の面談を受けるようにした。キャリア形成や職場での悩みなどについても、相談を受けている。

注目すべきはその運用にあると思いました。
一つは激変緩和措置を2年間実施していること、等級が下がっても賃金は下げないという方法をとったことです。今年から年収の90%保証と月例賃金の歯止めも外し、数10人が降給になったようですが、4300人の管理職の一部ですから該当者は1%程度と思われます。この程度であればモチベーション低下に与える影響は軽微ではないのでしょうか。
二つ目は漸進的な取り組みをして制度をスパイラルアップする手法をとっていることです。一気に実施すると思い切った改革に映りがちですが、社員の意識改革が伴わないとうまくいかないことが多いと思います。少しずつ時間をかけて目標を実現する、そして課題が見つかったら常に修正するというという手法は制度の熟成に有効と思います。
三つ目は周辺の制度の整備です。社内公募制度が紹介されていましたが、人事制度はトータルシステムですから、関連する制度の充実も必要です。こうしたところの目配りも大切と思いました。


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