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中小企業診断士【第2次試験突破のノウハウ】<第51号>

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       中小企業診断士【第2次試験突破のノウハウ】

               第51号

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ご講読いただきましてありがとうございます。

このメールマガジンでは、新試験制度移行後の中小企業診断士【第2次試験】
の過去問題を中心に、解答作成のプロセスを詳細に解説していきます。


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当メルマガと連動する形で「事例構造化」資料を作成し、ホームページに掲載
しております。ここでの分析・解説の参考資料としてご覧ください。

※ホームページ http://www.geocities.jp/lazybird_jp/
 「事例構造化資料」の「平成14年度」から「事例IV」のリンクをクリック
 してください。


前回は「平成14年度:事例 III」の第3問の分析・解説を行いました。

いくつかの受験校の解答を見てみました。SFAって結構使ってますね。入れ
た方が良かったのでしょうか?具体的な内容については、計画と実績から納期
回答といったものが多いようです。実際の本試験でもそのように解答した受験
生が多かったのではないでしょうか。自分ではなんて書いたか全く覚えていま
せんが...あとは、顧客からの照会や受注の機会損失に触れているものもあ
りましたね。ただし、設問文に忠実に対応する場合、この設問ではC社のメリ
ットに関することはあまり書かないほうが良いのではないかと思います。解答
欄にスペースを作らないため、ならば仕方ないと思いますが...

それでは、いままでと同様にまずは「平成14年度:事例IV」の与件文の構成、
および事例テーマの解説から始めます。

<<<<<<<<<<    分 析・解 説    >>>>>>>>>>

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃                                 ┃
┃ 平成14年度 事例IV(財務戦略)                ┃
┃                                 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

【与件文の構成】---------------------------

平成14年度の財務戦略事例の与件文を段落ごとに分けると、以下のような構
成になっていると考えられます。与件文を参照して確認してみてください。

 [与件文]
  ・D社の概要(企業規模、取扱書籍、客層、仕入業者)
  ・ITの活用状況(POSシステム)
  ・当面の目標企業「X社」
  ・その他(新事業のアイデア、外貨決済

 [貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)]
  ・D社とX社の比較貸借対照表(平成13年度)+D社の前年度増減値
  ・D社とX社の比較損益計算書(平成13年度)

与件文の中から財務面で気になったことを挙げておきます。

 ・駅前に保有している自社ビルを店舗および倉庫として使用
  (倉庫?店舗にしてしまえばそもそも倉庫に「在庫」としてしまっておか
   なくて済むのでは?)

 ・従業員数50名(昨年度も同数)
  (なぜわざわざ昨年度にまで言及しているのか?人件費があやしい?)

 ・現在の事業は店舗での販売のみで、文芸書、実用書、学術書、文庫・新書、
  雑誌など、ほとんどの種類の書籍を扱っている
  (在庫に問題があることを示唆している?)

 ・駅前の持つ特徴で客層は曜日、時間帯で大きく異なっている
  (曜日や時間帯で売れ筋商品が異なるってこと?)

 ・総資本経常利益率の違いを強調している
  (D社:約1%に対してX社:約8%)

なぜ、上記のような「気になった点」を挙げたかと言うと、これまでは答錬や
模擬試験などで財務分析の問題に取り組むときに、まず財務諸表を見て「怪し
い」指標をいくつか特定してから、「どれにしようかなぁ~」などと考えてい
たのですが、

 「自分にとってこの方法は混乱を招くだけだ!」

という結論に達したためです。

いわゆるデュポンチャートによって分解した収益性の体系や長期、短期の安全
性、財務の健全性などで一通り計算すると、問題のある指標がかなり出てきて
しまう場合があります。そうすると、与件文と照らし合わせてみても余計なノ
イズが入ってしまい、見当外れの指標を選んでしまうのです。

そして、答錬や模擬試験の模範解答を見て

 「なんでそれを選ばなきゃいけないの?」

と思うわけです。半ば逆ギレ状態で。ところが、与件文を見ると選択すべき指
標のガイドが必ず記述されているのです。あるいは設問文などにそういったガ
イドが記述されている場合もあります。

したがって、最近は与件文から財務的な問題点を示唆していると思われる部分
を探してから、検証の意味で指標の計算をするように変更しました。というの
が「財務面で気になったこと」を挙げた大きな理由です。

ですが、財務戦略事例の第1問に関しては、様々なアプローチの仕方があると
思いますので、上記はあくまでも参考と考えてください。

【事例テーマ】----------------------------

「事例構造化」資料のタイトルには以下のようにテーマを記述しました。

資産効率の向上および費用の適正化による収益性向上と新事業展開により
 経営改革を図る書籍販売企業」

※ホームページ http://www.geocities.jp/lazybird_jp/ に掲載している「事
 例構造化」資料では、一足先に経営指標を算出してあります。

上記の【与件文の構成】で挙げた「財務面で気になること」を踏まえたうえで
経営指標を見たところ、D社の財務状況のストーリーは以下のようになってい
ると推測されます。

 ・総資本経常利益率の違いを強調している
  │
  └→ 収益性と効率性(資産の回転率)に分解
     │
     └→ 収益性、効率性ともにX社より低い
        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ・従業員数に関する記述がある
  │
  └→ 収益性の低い原因を人件費で検証
     │
     └→ 売上高に占める人件費の割合がX社より3.5ポイント
        大きい(しかも従業員数はX社よりも10人少ない)
        │
        └→ 売上高営業利益率がX社より低い
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここから、D社の収益性を低めている主要な原因が「人件費が適正でない」こ
とが考えられます。

次に効率性のほうですが、上記「財務面で気になること」で挙げた

 「駅前に保有している自社ビルを店舗および倉庫として使用」

から考えてみたいと思います。なぜなら、X社との比較財務諸表から、X社は
店舗を保有していないことが想定されるためです。

X社はD社と比較して

 ・土地・建物が少ない(B/S)
 ・保証金が多い(B/S)
 ・設備管理費が多い(P/L)
 ・減価償却費が少ない(P/L)

などの特徴があり、店舗を賃借していることがうかがえます。これにより、X
社の有形固定資産の効率はD社より大幅に良好な数値となっています。

以上、X社とのベンチマークの結果から

 ・狭義の収益性と資産効率を向上させて
 ・広義収益性である総資産経常利益率を高める必要性がある

ことと、与件文の

 「D社では新事業等のアイディアを検討中である。その候補としては現在の
  書籍販売との関連性を考慮して、インターネットによる書籍販売、中古本
  販売を考えている。」

といった記述から、新事業展開による成長を狙っている点を合わせて、

 「経営革新」

と捉え、本事例のテーマとしました。

「事例構造化」資料の財務分析シートを見ていただくとわかるのですが、X社
との比較ではほとんどの指標でD社のほうが劣っています。したがって、ここ
では人件費や有形固定資産の効率を問題視していますが、事例テーマでは、

 「資産効率の向上および費用の適正化」

と、少し「ぼやかした」表現を使っています。設問に解答していく過程で、他
の問題点も出てくるかも知れませんからね。特に「財務面で気になること」で
挙げている、多様な取り扱い書籍や曜日や時間帯で客層が異なっているところ
などが怪しい「ニオイ」がします。

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今回はここまでとさせていただきます。
次回は「平成14年度:事例IV」の第1問から分析・解説します。

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