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高田・向井夫妻の出生届不受理事件(その2)

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     ★★★ 新・行政書士試験 一発合格! Vol. ’07-02 ★★★

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今年度の第1号を発行してから約1ヵ月が経過しました。繰り返しになりますが、これ
から夏休みまではコツコツと積み重ねることが大事な時期となります。

昨年までは、平成15年度の行政書士試験に約4カ月の受験勉強で合格した体験やノウハ
ウ、また、登録やその後の過程で得られた情報を、少しでもフィードバックしたいとの
思いから、また、そうした強いお勧めもあり、メールマガジンを発行してきました。

今年は、そうした受験対策という観点から離れて、受験後の開業を視野に入れて、実務
的な視点を提供することにしました。少しでも、受験生の皆さんに貢献することができ
れば幸いです。


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▲           仁 義 な き 戦 い                  
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■■■ 高田・向井夫妻の出生届不受理事件(その2) ■■■ 
(復習です。)母子関係についての最高裁判例では、「母と非嫡出子間の親子関係は、
原則として、母の認知をまたず、分娩の事実により当然発生する」(昭和37年4月27日
民集第16巻7号1247頁)とされています。

■ これ以外にも、実は(生物学・遺伝学的な母子関係ではなく)法的な母子関係が生
  じる場合があります。一つは養子縁組(普通養子と特別養子)の場合です。

■ もう一つは、「藁の上からの養子」(誕生した子の出生届を生みの親がせずに、そ
の子を貰い受けた他人が当人の嫡出子として出生届を行い、当該他人に実子として養育
された養子のこと。親の相続で実子等との間で争いが生じると、法的な親子関係がない
ため、相続できないばかりか、本人だけがその事実を知らない場合もあり、このような
場合には相当の年齢になっている当該子の過去が暴かれることにもなります。)にによ
る「権利の濫用」の主張が認められる場合です。つぎに掲げた最高裁判例は、これを認
めたものです。

●● 最高裁判例「親子関係不存在確認請求事件」(平成18年7月7日民集第60巻6号
   2307頁)
【裁判要旨】
戸籍上AB夫婦の嫡出子として記載されているYが同夫婦の実子ではない場合におい
て、Yと同夫婦との間に約55年間にわたり実親子と同様の生活の実体があったこと、
同夫婦の長女Xにおいて、Yが同夫婦の実子であることを否定し、実親子関係不存在確
認を求める本件訴訟を提起したのは、同夫婦の遺産を承継した二女Cが死亡しその相続
が問題となってからであること、判決をもって実親子関係の不存在が確定されるとYが
軽視し得ない精神的苦痛及び経済的不利益を受ける可能性が高いこと、同夫婦はYとの
間で嫡出子としての関係を維持したいと望んでいたことが推認されるのに、同夫婦は死
亡しており、Yが養子縁組をして嫡出子としての身分を取得することは不可能であるこ
と、Xが実親子関係を否定するに至った動機が合理的なものとはいえないことなど判示
の事情の下では、上記の事情を十分検討することなく、Xが同夫婦とYとの間の実親子
関係不存在確認請求をすることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断には、違法
がある。

■ ただし、他人の子を嫡出子として届け出しても、そのことだけでは養子縁組は成立
  しません。つぎの最高裁判例を確認して下さい。

●● 最高裁判例「身分関係不存在確認請求事件」(昭和25年12月28日民集第4巻13号
   701頁)
【裁判要旨】
養子とする意図で他人の子を嫡出子として届けても、それによって養子縁組が成立する
ことはない。
【理由】
養子縁組は本件嫡出子出生届出当時施行の民法第847条、第775条(現行民法第799条、第
739条)及び戸籍法にしたがい、その所定の届出により法律上効力を有するいわゆる要
式行為であり、かつ右は強行法規と解すべきであるから、その所定条件を具備しない本
嫡出子出生届をもつて所論養子縁組の届出のあつたものとなすことはできないので
ある。


【まとめ】法的な母子関係は、次の場合に発生します。
(1)分娩
(2)養子縁組(普通養子と特別養子
(3)「権利の濫用」の主張が認められる場合(ただし、限定的で、極めて例外的な場
   合です。)


★ 最高裁判例については、最高裁判所のホームページ http://www.courts.go.jp/
  利用すると便利です。「最近の判例一覧」または「裁判例情報」からどうぞ。


■■■ 商法会社法 ■■■
このメルマガの読者の方から、商法会社法の参考書・問題集についての照会がありま
した。私のお勧めの参考書・問題集はつぎのとおりです。

(A)まったくの初学者向け参考書
(a)基礎から学べる会社法、近藤光男他、弘文堂、2500円
(b)受験予備校のテキスト(商法会社法の概要を短期間に把握するには便利で
   す。)

(B)比較的コンパクトにまとめられている参考書
(a)会社法(9版)、神田秀樹、弘文堂、2500円
(b)日本の会社法(新訂8版)、河本一郎他、商事法務、3200円(会社法に直接関係
   ない箇所もありますので、この部分は無視することが必要です。)
(c)プリメール会社法、高橋公忠他、法律文化社、2900円

(C)(相当に)本格的な参考書
(a)会社法大要、龍田節、有斐閣、3900円
(b)最新株式会社法(4版)、近藤光男、中央経済社、3600円(株式会社法なので、
   純粋商法部分が欠落していますが、会社法に関しては読み応えがあります。)
c 株式会社法、江頭憲次郎、有斐閣、5400円(同様に、株式会社法なので、純粋商法
  部分が欠落していますが、会社法に関しては読み応えがあります。)

(D)(基礎的な)問題集
(a)会社法マスター115講座、葉玉匡美、ロースター21、2300円
(b)タクティクス商法、商事法務、2200円(憲法、民法、行政法もあります。)


■ ポイント(その1)
行政書士試験用の参考書としては(1冊だけとするのであれば)、商法会社法の両
 方をカバーしていることが必要です。
・受験予備校のテキストだけで終わらせないことも大事です。学者の書いた参考書も必
 要です。安直な短期・丸暗記タイプではなく、会社法の論理(基本的な考え方)を学
 ぶことができますが、これは合格後の実務に直結します(だから、今のうちからこう
 した参考書に取組んでください。)。
・「実戦」感覚は、合格に必須です。過去問が最適ですが、ほとんどすべてが旧商法
 問題なので、正解を自分で探すのは大変です。そこで、他の科目より予想問題集を多
 く解くことをお勧めします(多少お金が余分に掛かりますが、先行投資です。)。な
 お、基礎の理解度を確認するには(D)の問題集が適しているようです。

商法会社法の勉強の進め方としては、(A)→(B)→(D)、あるいは(B)
 (または(C))→(D)を経て実戦感覚の養成コースが考えられます。
・なお、(C)は、重要箇所(例えば、会社の設立や機関等)のみ集中して読破した
 り、受験終了後の時間を有効活用して読破したりすることも一法です。

■ ポイント(その2)
商法会社法は、他の法令科目に比較して、レベルも相対的に高く、範囲も広範なの
 で(ただし、民法ほどではありませんが)、分野を絞り、集中して勉強することがお
 勧めです。おおよそ60%程度の得点を狙うつもりで十分ではないかと思います。

・私としては、(ア)総則、(イ)会社の設立、(ウ)株式、(エ)機関(株主総会
 取締役会等)を中心にすることをお勧めします。会社の計算、組織再編、新株発行
 は学問的にはそれなりに面白い箇所ですが、行政書士が関与する余地はほとんどない
 ことから、また、上記(ア)から(エ)は合格後の実務担当者のための新会社法に繋
 がっていることから、興味がある場合に、かつ余裕がある場合に限って取組むことで
 問題ないように思います。


■■■ お願い ■■■ 
ご意見、アドバイス、ご批判その他何でも結構です。e-mail@ohta-shoshi.com まで、
どうぞお寄せください。

また、質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただ
し、多少時間を要する場合があります。


■■■ 編集後記 ■■■ 
とにかく忙しくて、前号から1ヵ月が経過してしまいました。もう少し早く配信する予
定であったのですが、申し訳なく思っています。

それでも、このメルマガが、少しでも受験生の皆さまのお役に立つのであれば、本望で
す(なお、配信時期は不定期です。)。


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 マガジンタイトル:新・行政書士試験 一発合格!
 発行者:行政書士 太田誠   東京都行政書士会所属(府中支部)
 発行者Web:http://www.ohta-shoshi.com
 発行者メールアドレス:e-mail@ohta-shoshi.com
 発行協力「まぐまぐ」:http://www.mag2.com/
 登録または解除はこちらから:http://www.ohta-shoshi.com/melmaga.html
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