■Vol.128 2007-7-25 毎週水曜日配信
■■■――――――――――――――――――――――――――――――――
□□■ いまさら聞けない!お金と人と組織のこと
■■■ ― 経営者、起業準備の方必見です!―
□□■
■■■ 「
金融商品取引法(3)
株式公開買付制度」
□□■
■■■――――――――――――――――――――――――――――――――
ダヴィンチが、TOCに仕掛けた敵対的TOBが失敗し、日本では、敵対
的TOBがことごとく失敗しているそうです。
争いに手を貸すようなイメージがあり、敵対的という名称が日本人に受け
入れられないのでしょうか。いずれにしても、日本の
株主は経済的な理由
よりも、心情的な理由で行動を起こすようです。
何も分からないながらも、関係者が納得して買収できるような方法をにす
れば良いのに、と不成立と聞いてほっとしている私は、やっぱり日本人?
今回は、
金融商品取引法の3回目、
株式公開買い付けです。
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「
金融商品取引法(3)
株式公開買付制度」
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
金融商品取引法の概要について説明していますが、今回は、その第3回目
です。
金融庁によれば、この法律には4つの柱があるとされています。
第1の柱は「投資サービス」に関する規制、第2の柱は「開示制度」の整備、
第3の柱は「取引所の自主規制」、第4の柱は「
罰則の引き上げ」です。
そして、第2の柱である「開示制度」の整備については、公開買付制度の見
直し、大量保有報告制度の見直し、企業内容等開示制度の充実(四半期開示
制度や財務報告に係る
内部統制報告制度等)が挙げられています。
今回は、この第2の柱のうち、株式等の買い集めがなされるときに話題に
上る公開買付制度についての概略を説明します。
*********************************
【公開買付(TOB)制度の見直し】
*********************************
公開買付(TOB)制度は、会社支配権等に影響を及ぼすような証券取引
について透明性・公正性を確保するための制度です。取引所市場外で株式を
大量に買い付けようとする買付者に、新聞またはインターネットで買付期間
・数量・価格などをあらかじめ開示するよう義務付け、
株主(投資者)が買
付に応じるべきか否かを合理的に判断できるようにして、
株主に公平に売却
の機会を与えるものです。
自己株式の取得についても行われます。
平成2年の
証券取引法改正では、取引所市場外で多数の者(60日間で10
名超)から買い付ける場合、その買付後の所有割合が5%を超えるときには
公開買付の実施が義務付けられ、著しく少数の者(60日間で10名以内)
から買い付ける場合でも、買付後の所有割合が3分の1を超えるときには公
開買付の実施が義務付けられることになりました。
そして、ライブドア事件を受けて、平成17年の改正により、市場内取引
であっても
競売買の方式によらない取引として施行令で定めるもの(立会外
取引:ToSTNeT取引)も公開買付規制の対象に追加されました。
今回は、さらに、以下のような改正が加えられて、平成18年12月13日
から施行されています。
===================================================================
[1]公開買付規制の適用範囲の明確化(脱法的な態様の取引への対応)
===================================================================
市場内外等の取引を組み合わせて、一定期間以内に一定割合(3ヶ月間に市場
の内外で10%超を取得する場合であって、そのうち5%超が市場外取引)を超
える
株券等の買付等又は新規発行取得(第三者割当など)を行うことで、所有割
合が特別関係者と合計して3分の1を超える場合には、公開買付によらなければ
ならないこととされました。
===================================================================
[2]買付者が競合する場合における公開買付けの義務化
===================================================================
他の者が公開買付けによる買付け等を行っている場合に3分の1超所有してい
る
大株主が公開買付期間中に5%超の買付け等を行うときは、公開買付けによら
なければならないこととされました。
===================================================================
[3]公開買付けの条件変更・撤回の柔軟化
===================================================================
公開買付者が、対象会社が株式等の分割又は無償割当を行ったときは買付価格
を引き下げることがある旨の条件をあらかじめ付けた場合には、買付価格の引下
げを認めることとされました。また、公開買付の撤回が認められる場合として、
従来の
合併や破産等に加えて、いわゆる買収防衛策が発動された場合又はいわゆ
る買収防衛策が消却されない場合が追加されました。
===================================================================
[4]意見表明報告書の提出の義務化
===================================================================
公開買付けの対象会社に、公開買付開始公告から10営業日以内に意見表明報
告書を提出することを義務づけるとともに、その意見表明報告書に公開買付者に
対する質問が記載されている場合には、公開買付者に、意見表明報告書の送付を
受けた日から5営業日以内に対質間回答報告書を提出することを義務づけました。
===================================================================
[5]対象者の請求に基づく公開買付期間の延長
===================================================================
公開買付期間の範囲は20営業日から60営業日とされ、対象会社は、公開買
付者が設定した公開買付期間が30営業日未満の場合には意見表明報告書におい
て公開買付期間を延長することを請求する旨の記載をすることができることとし、
その場合には公開買付者は、公開買付期間を30営業日に延長しなければならな
いこととされました。
===================================================================
[6]全部買付けの義務化
===================================================================
公開買付けの後における
株券等の所有割合が3分の2以上となる場合は、公開
買付者に応募がなされた
株券等の全部の買付け等を義務づける等、全部買付を義
務化して、
上場廃止に至るような局面で手残り株を抱えることになる零細な
株主
を保護するようにしました。
次回(8/29)は、大量保有報告制度の見直しについてです。
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◆本メルマガへの意見、質問、感想、ご相談など
→
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C Cubeでは、税務、
会計だけでは解決しないさまざまのことを、
「人」の問題として考えています。
何か足らないとお思いの方は、弊社のホームページにヒントがある
かもしれません。
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争いに手を貸すようなイメージがあり、敵対的という名称が日本人に受け
入れられないのでしょうか。いずれにしても、日本の株主は経済的な理由
よりも、心情的な理由で行動を起こすようです。
何も分からないながらも、関係者が納得して買収できるような方法をにす
れば良いのに、と不成立と聞いてほっとしている私は、やっぱり日本人?
今回は、金融商品取引法の3回目、株式公開買い付けです。
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「金融商品取引法(3)株式公開買付制度」
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金融商品取引法の概要について説明していますが、今回は、その第3回目
です。
金融庁によれば、この法律には4つの柱があるとされています。
第1の柱は「投資サービス」に関する規制、第2の柱は「開示制度」の整備、
第3の柱は「取引所の自主規制」、第4の柱は「罰則の引き上げ」です。
そして、第2の柱である「開示制度」の整備については、公開買付制度の見
直し、大量保有報告制度の見直し、企業内容等開示制度の充実(四半期開示
制度や財務報告に係る内部統制報告制度等)が挙げられています。
今回は、この第2の柱のうち、株式等の買い集めがなされるときに話題に
上る公開買付制度についての概略を説明します。
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【公開買付(TOB)制度の見直し】
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公開買付(TOB)制度は、会社支配権等に影響を及ぼすような証券取引
について透明性・公正性を確保するための制度です。取引所市場外で株式を
大量に買い付けようとする買付者に、新聞またはインターネットで買付期間
・数量・価格などをあらかじめ開示するよう義務付け、株主(投資者)が買
付に応じるべきか否かを合理的に判断できるようにして、株主に公平に売却
の機会を与えるものです。自己株式の取得についても行われます。
平成2年の証券取引法改正では、取引所市場外で多数の者(60日間で10
名超)から買い付ける場合、その買付後の所有割合が5%を超えるときには
公開買付の実施が義務付けられ、著しく少数の者(60日間で10名以内)
から買い付ける場合でも、買付後の所有割合が3分の1を超えるときには公
開買付の実施が義務付けられることになりました。
そして、ライブドア事件を受けて、平成17年の改正により、市場内取引
であっても競売買の方式によらない取引として施行令で定めるもの(立会外
取引:ToSTNeT取引)も公開買付規制の対象に追加されました。
今回は、さらに、以下のような改正が加えられて、平成18年12月13日
から施行されています。
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[1]公開買付規制の適用範囲の明確化(脱法的な態様の取引への対応)
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市場内外等の取引を組み合わせて、一定期間以内に一定割合(3ヶ月間に市場
の内外で10%超を取得する場合であって、そのうち5%超が市場外取引)を超
える株券等の買付等又は新規発行取得(第三者割当など)を行うことで、所有割
合が特別関係者と合計して3分の1を超える場合には、公開買付によらなければ
ならないこととされました。
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[2]買付者が競合する場合における公開買付けの義務化
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他の者が公開買付けによる買付け等を行っている場合に3分の1超所有してい
る大株主が公開買付期間中に5%超の買付け等を行うときは、公開買付けによら
なければならないこととされました。
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[3]公開買付けの条件変更・撤回の柔軟化
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公開買付者が、対象会社が株式等の分割又は無償割当を行ったときは買付価格
を引き下げることがある旨の条件をあらかじめ付けた場合には、買付価格の引下
げを認めることとされました。また、公開買付の撤回が認められる場合として、
従来の合併や破産等に加えて、いわゆる買収防衛策が発動された場合又はいわゆ
る買収防衛策が消却されない場合が追加されました。
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[4]意見表明報告書の提出の義務化
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公開買付けの対象会社に、公開買付開始公告から10営業日以内に意見表明報
告書を提出することを義務づけるとともに、その意見表明報告書に公開買付者に
対する質問が記載されている場合には、公開買付者に、意見表明報告書の送付を
受けた日から5営業日以内に対質間回答報告書を提出することを義務づけました。
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[5]対象者の請求に基づく公開買付期間の延長
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公開買付期間の範囲は20営業日から60営業日とされ、対象会社は、公開買
付者が設定した公開買付期間が30営業日未満の場合には意見表明報告書におい
て公開買付期間を延長することを請求する旨の記載をすることができることとし、
その場合には公開買付者は、公開買付期間を30営業日に延長しなければならな
いこととされました。
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[6]全部買付けの義務化
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公開買付けの後における株券等の所有割合が3分の2以上となる場合は、公開
買付者に応募がなされた株券等の全部の買付け等を義務づける等、全部買付を義
務化して、上場廃止に至るような局面で手残り株を抱えることになる零細な株主
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次回(8/29)は、大量保有報告制度の見直しについてです。
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