平成19年12月15日 第50号
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人事のブレーン
社会保険労務士レポート
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目次
1.
後期高齢者医療制度について
===================================
ブログもよろしくお願い致します。
「
人事のブレーン
社会保険労務士日記」です。
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
是非見てみて下さい!
御陰様をもちまして今回でメールマガジン50号となります。
皆様方のお陰で、50号を発行することが出来ました。
平成14年12月15日に第一号を発行させて頂きまして、丸4年を迎えるこ
ととなりました。
その前1年半の間は、八王子商工会議所会報におきまして連載をしていました
ので、5年6ヶ月の間月1回の文書を書かせて頂いております。
講演を始め、クライアントの皆様とお話しする際にもこのメルマガを書く為に
準備したことは非常に役に立っており、今後も自分自身にムチを入れる為にも
このメールマガジンをノルマとして、月1回以上の文書を書くようにしていき
たいです。
今後とも宜しくお願い致します。
***********************************
1.
後期高齢者医療制度について
***********************************
1.はじめに
後期高齢者医療制度が平成20年4月1日よりスタートする。
後期高齢者医療制度とはどの様な制度であるのか検討したいと思う。
2.
後期高齢者医療制度の概要
(1)概要
後期高齢者医療制度を結論からまとめると以下の3点である。
・老人保健制度が廃止され
後期高齢者医療制度になる。
・
後期高齢者医療制度と老人保険制度の内容はほぼ同じである。
・保険料が発生するようになった
ということである。
これを検討していく。
(2)老人保健制度から
後期高齢者医療へ
老人保健制度は、高齢者が何らかの医療保険制度に加入をしていることが前提
であった。
老人保健という公的医療保険はなく、あくまで公的医療保険に加入した上での
制度であり、「老人保険」ではなく「老人保健」となっているのはこの為であ
る。
国民健康保険の
被保険者、
健康保険及び共済保険の
被保険者、
健康保険及び共
済保険の
被扶養者という立場にある事が前提の制度であった。
この中で
被扶養者については、当然保険料負担はなく、高齢者は子供の被
扶養
者として認定されているケースが多かった。
老人保健制度の下では、この保険制度の
被保険者証とともに老人保健証にて医
療を受けていたが、今回の改正により、原則として75歳以上の高齢者は全て
後期高齢者医療制度という医療保険制度に加入し、保険料を納付しなくてはな
らないということになった。
(3)
後期高齢者医療制度と老人保健制度の内容
両制度は基本的に同じである。
対象者についても75歳以上で、一定の障害がある方については65歳以上。
医療給付、窓口負担も同様である。
違いといえば運営主体が市町村から、市町村の広域連合に移るということであ
る。
これは
被保険者数が多いと保険財政が安定するという観点からの発想である。
(4)保険料の発生
保険料は運営主体である広域連合が条例で定めた保険料率により算出される。
今迄
被扶養者とされていた方については、平成20年4月1日より保険料を支
払うこととなる。
前述の通り
保険給付を受ける恩恵については何も変わらない。
そして保険料を納付するわけであるから、高齢者にとっては非常に厳しい改正
であることは間違いはない。
この保険料であるが、厚生労働省の試算では全国平均で月額6,200円程度、
年額で74,000円程度になるとされている。
しかし
介護保険制度のように、この保険料は上昇していくことが予想される。
しかし高齢者から保険料を徴収するが、それがどれほど財政的に恩恵があるか
といったらあまりない。
この
後期高齢者医療制度の財政は高齢者の負担額1割、現役世代の医療制度の
負担金4割、税金が5割(国:都道府県:市町村=5:1:1)であり、上記
保険料を徴収したといっても全体の1割しか負担していないのである。
依然として若年層に負担がかかるということは変わらないのである。
(5)事務窓口
事務の窓口は市町村である。
保険料の引き渡しや回収、保険料事務については市町村で行い、広域連合は保
険料の発行、保険料の決定、医療機関との
医療費のやりとりを行う。
3.保険料
(1)保険料の仕組み
保険料は、応益割(均等割)と応能割(
所得割)の合算である。
応益割については所得に応じて、7割、5割、2割の減額措置がある。
厚生労働省の試算によると以下の通りである。
・
基礎年金のみ受給(
基礎年金79万円)
応益 900円 + 応能 0円 =900円/月
・厚生労働省がいうところの平均値(
厚生年金208万円)
応益 3,100円 + 応能 3,100円 = 6.200円
基礎年金のみ受給している方についても、この応益割の減免措置は世帯所得で
考える為、子と同居している場合には仮に
基礎年金79万円のみしか収入が無
くても応益割保険料3,100円が徴収されることとなる。
(2)被用者保険の
被扶養者にかかる減免措置
これは
健康保険や
共済組合の
被保険者の
被扶養者とされていた方が、後期高齢
者医療制度適用により、保険料の発生してしまうと生活に影響が及ぼす可能性
があり、制度発足から2年間については激変緩和措置がとられることとなった。
内容は、制度加入直前に被用者保険制度の
被扶養者であった方には、平成20
年4月より10月までの保険料を凍結。
平成20年10月より平成21年3月までは9割減額するという内容。
平成21年4月よりこの措置はなくなるのであるが、2年間については激変緩
和措置がとられるということである。
4.まとめ
医療制度改革において、高齢者の医療負担を誰がどの様にしていくのか、診療
報酬体系をどの様に見直していくのか。
この2つが大きな課題である。
後期高齢者医療についても、高齢者から1割の負担をしてもらうという点にお
いては前進したが、診療
報酬体系をどの様に変えていくのか、国が
控訴した混
合医療をどの様に考えていくのか等々、支出の部分も抜本的に変えていかなく
てはならない。
この2つが同時に議論されてこそ、実効性のある政策が出てくるのである。
それに加えて
消費税の福祉目的税化と
基礎年金の
税方式が検討されている。
これは本質的問題点が全く議論されていないまま、選挙対策として進んでいる。
公的年金の意義とは老後や障害者になったときや、死亡し場合の遺族が過小貯
蓄になり生活保護の対象にならないように、国家が強制的に自助努力を促すと
いう性格のもの。これを保険料方式から
税方式に変えるということは政策の大
転換な訳である。
全額
基礎年金を
税方式に変えるということは、
基礎年金が受給できる65歳以
上の高齢者は
基礎年金が満額受給されることになり、理論上65歳以上の方は
生活保護の対象者は無くなるということになる。
厚生年金も共済年金もそれぞれの制度を通じて
国民年金保険料を拠出金という
形で負担しているわけで、
税方式になれば
厚生年金と共済年金の保険料は下が
らなければならない。
そして生活保護と
基礎年金の関係の整合性をどの様にするのか。
今迄保険料を納付してきた人としていなかった人の取扱をどの様にするのか。
少なくともこの3点を明確にして議論を進めていかないと、議論にならない。
政策に於いて他の政策との整合性ということは重要であり、「自助努力を国家
が強制的に促す」保険両方式を、「自助努力を放棄させて国家が
保険事故が発
生した場合の最低限の生活レベルを保証する」
税方式に変えることで、整合性
はとれるのか。
「最低限の生活レベルを保証する」と一言で言っても、「最低限」の定義が難
しい。
政権政党が変われば、この最低限の金額が上昇する事も想像できる。
現行の立場であると、生活する上での最低限の年金額を国家が給付しているわ
けであり、年金だけで生活するという制度ではないのである。
また、年金だけで生活するといっても、どこまでもらえば満足するのかという
問題もあり、無責任な政策により国家財政における年金財政の割合は大きくな
る事になる。
保険料方式と比べて確実に
税方式の方が国家の財政負担が重くなるのである。
そして
消費税が上がるわけであり、特にこの3番目の今迄納付してきた人と今
迄納付納付していなかった人との整合性は難しい。
税方式にしても、今迄納付してきた人は上乗せするのかどうか。
そして公的年金の意義が過小貯蓄の防止であるという前提に立てば、生活保護
との整合性は避けて通れない。
これらの整合性を政策として詰めてはじめて
税方式の
基礎年金の制度設計がで
きる。
自助努力を促す保険料方式に比べてはるかに財政負担が重くなり、
基礎年金額
も青天井に伸びる可能性があるわけで間違いなく大きな政府になる。
年金の議論で非常に残念なのは、公的年金の意義についてしっかりと把握して
議論がなされていないということ。
保険料から
税方式に
基礎年金が変わるといっても、負担の形が変わるというだ
けだという議論も見受けられるが、これは誤りで、上記のように年金政策の大
転換が行われるのである。
消費税を上げやすい環境をつくる為に、出てきた政策にすぎない。
表面的な議論に流さずに、本質的な点を注視して議論の推移を見守る必要がある。
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平成19年12月15日 第50号
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1.後期高齢者医療制度について
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1.はじめに
後期高齢者医療制度が平成20年4月1日よりスタートする。
後期高齢者医療制度とはどの様な制度であるのか検討したいと思う。
2.後期高齢者医療制度の概要
(1)概要
後期高齢者医療制度を結論からまとめると以下の3点である。
・老人保健制度が廃止され後期高齢者医療制度になる。
・後期高齢者医療制度と老人保険制度の内容はほぼ同じである。
・保険料が発生するようになった
ということである。
これを検討していく。
(2)老人保健制度から後期高齢者医療へ
老人保健制度は、高齢者が何らかの医療保険制度に加入をしていることが前提
であった。
老人保健という公的医療保険はなく、あくまで公的医療保険に加入した上での
制度であり、「老人保険」ではなく「老人保健」となっているのはこの為であ
る。
国民健康保険の被保険者、健康保険及び共済保険の被保険者、健康保険及び共
済保険の被扶養者という立場にある事が前提の制度であった。
この中で被扶養者については、当然保険料負担はなく、高齢者は子供の被扶養
者として認定されているケースが多かった。
老人保健制度の下では、この保険制度の被保険者証とともに老人保健証にて医
療を受けていたが、今回の改正により、原則として75歳以上の高齢者は全て
後期高齢者医療制度という医療保険制度に加入し、保険料を納付しなくてはな
らないということになった。
(3)後期高齢者医療制度と老人保健制度の内容
両制度は基本的に同じである。
対象者についても75歳以上で、一定の障害がある方については65歳以上。
医療給付、窓口負担も同様である。
違いといえば運営主体が市町村から、市町村の広域連合に移るということであ
る。
これは被保険者数が多いと保険財政が安定するという観点からの発想である。
(4)保険料の発生
保険料は運営主体である広域連合が条例で定めた保険料率により算出される。
今迄被扶養者とされていた方については、平成20年4月1日より保険料を支
払うこととなる。
前述の通り保険給付を受ける恩恵については何も変わらない。
そして保険料を納付するわけであるから、高齢者にとっては非常に厳しい改正
であることは間違いはない。
この保険料であるが、厚生労働省の試算では全国平均で月額6,200円程度、
年額で74,000円程度になるとされている。
しかし介護保険制度のように、この保険料は上昇していくことが予想される。
しかし高齢者から保険料を徴収するが、それがどれほど財政的に恩恵があるか
といったらあまりない。
この後期高齢者医療制度の財政は高齢者の負担額1割、現役世代の医療制度の
負担金4割、税金が5割(国:都道府県:市町村=5:1:1)であり、上記
保険料を徴収したといっても全体の1割しか負担していないのである。
依然として若年層に負担がかかるということは変わらないのである。
(5)事務窓口
事務の窓口は市町村である。
保険料の引き渡しや回収、保険料事務については市町村で行い、広域連合は保
険料の発行、保険料の決定、医療機関との医療費のやりとりを行う。
3.保険料
(1)保険料の仕組み
保険料は、応益割(均等割)と応能割(所得割)の合算である。
応益割については所得に応じて、7割、5割、2割の減額措置がある。
厚生労働省の試算によると以下の通りである。
・基礎年金のみ受給(基礎年金79万円)
応益 900円 + 応能 0円 =900円/月
・厚生労働省がいうところの平均値(厚生年金208万円)
応益 3,100円 + 応能 3,100円 = 6.200円
基礎年金のみ受給している方についても、この応益割の減免措置は世帯所得で
考える為、子と同居している場合には仮に基礎年金79万円のみしか収入が無
くても応益割保険料3,100円が徴収されることとなる。
(2)被用者保険の被扶養者にかかる減免措置
これは健康保険や共済組合の被保険者の被扶養者とされていた方が、後期高齢
者医療制度適用により、保険料の発生してしまうと生活に影響が及ぼす可能性
があり、制度発足から2年間については激変緩和措置がとられることとなった。
内容は、制度加入直前に被用者保険制度の被扶養者であった方には、平成20
年4月より10月までの保険料を凍結。
平成20年10月より平成21年3月までは9割減額するという内容。
平成21年4月よりこの措置はなくなるのであるが、2年間については激変緩
和措置がとられるということである。
4.まとめ
医療制度改革において、高齢者の医療負担を誰がどの様にしていくのか、診療
報酬体系をどの様に見直していくのか。
この2つが大きな課題である。
後期高齢者医療についても、高齢者から1割の負担をしてもらうという点にお
いては前進したが、診療報酬体系をどの様に変えていくのか、国が控訴した混
合医療をどの様に考えていくのか等々、支出の部分も抜本的に変えていかなく
てはならない。
この2つが同時に議論されてこそ、実効性のある政策が出てくるのである。
それに加えて消費税の福祉目的税化と基礎年金の税方式が検討されている。
これは本質的問題点が全く議論されていないまま、選挙対策として進んでいる。
公的年金の意義とは老後や障害者になったときや、死亡し場合の遺族が過小貯
蓄になり生活保護の対象にならないように、国家が強制的に自助努力を促すと
いう性格のもの。これを保険料方式から税方式に変えるということは政策の大
転換な訳である。
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厚生年金も共済年金もそれぞれの制度を通じて国民年金保険料を拠出金という
形で負担しているわけで、税方式になれば厚生年金と共済年金の保険料は下が
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今迄保険料を納付してきた人としていなかった人の取扱をどの様にするのか。
少なくともこの3点を明確にして議論を進めていかないと、議論にならない。
政策に於いて他の政策との整合性ということは重要であり、「自助努力を国家
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「最低限の生活レベルを保証する」と一言で言っても、「最低限」の定義が難
しい。
政権政党が変われば、この最低限の金額が上昇する事も想像できる。
現行の立場であると、生活する上での最低限の年金額を国家が給付しているわ
けであり、年金だけで生活するという制度ではないのである。
また、年金だけで生活するといっても、どこまでもらえば満足するのかという
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これらの整合性を政策として詰めてはじめて税方式の基礎年金の制度設計がで
きる。
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年金の議論で非常に残念なのは、公的年金の意義についてしっかりと把握して
議論がなされていないということ。
保険料から税方式に基礎年金が変わるといっても、負担の形が変わるというだ
けだという議論も見受けられるが、これは誤りで、上記のように年金政策の大
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