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シリーズ「組織力強化と
コンピテンシー!」
<第292回>[(第24話)「同族を越えた家族企業が組織を強くする!]
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今話題の「会社を救う
コンピテンシー」とは何かと
コンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「組織力とコンピ
テンシー!」と題して様々な角度から鋭く分析した記事を紹介していきます。中
小企業の経営者の方、管理者の方、
人事担当者の方に是非ともお読みいただきた
いと思います。
===========================
今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論「同族を越えた家族企業が組織を強くする!」
1.ワンマンに陥らない同族企業!
2.同族を超えた家族企業、矢崎総業とは!
3.矢崎総業の社是を考える!
4.総本山「Y-CITY」とは!
5.海外社員も家族の一員!
【3】今日のポイント
【4】編集後記
===========================
政治家は行き詰まれば直ぐに投げ出し辞任することができる。しかし逃げ出した
くとも逃げることができないのがオーナー経営者だ。経営を投げ出せばお客に迷
惑をお掛けすることはもとより、社員と家族の生活を脅かすことになるからだ。
さらには取引先にだってご迷惑をお掛けする。
企業の不祥事が起こるたびに、さも「同族経営だからいけない」ようにマスコミ
は書き立てる。同族経営イコールワンマン経営で裸の王様になってしまっている
例は確かに多い。だがたった一代で会社をここまで大きくしたという自負心はあ
ろう。一時期、ワンマン体制でぐいぐい会社を引っ張ることは決して悪いことで
はないと思う。
いけないのは成功体験に酔いしれて全て自分の実力と勘違いし、取り巻きをイエ
スマンで固めてしまうことだ。意見を言う者は全て抵抗勢力とみなして排斥する
ことから衰退が始まる例がほとんどだ。
日産ディーゼルの再建を託された仲村巌氏はV時回復させたとき「ワンマンがこ
れ以上社長をやると会社がおかしくなる」と言ってあっさり引退した。ワンマン
経営のいい面と悪い面を熟知していた立派な経営者だった。
【1】心に刻んでおきたい言葉
***********************************************************************
お金に重きを置きすぎると「自分だけよければ」という考えに流れてしまう。
矢崎裕彦
***********************************************************************
【2】メルマガ本論
[(第24話)同族を越えた家族企業が組織を強くする!]
1.ワンマンに陥らない同族企業!
同族経営でしかも非上場の会社にも優良企業はたくさんある。サントリー、
YKK、国分、そして今回採り挙げる矢崎総業だ。
同族経営でありながら決してワンマン経営には陥っていない。同族経営者に意
見を言ってくれる人、ブレーキをかけてくれる人、つまり参謀格がいてしっか
り補佐してくれる仕組みができているのだ。イエスマンだけで取り巻きを作る
同族経営とは一線を画している。
2.同族を超えた家族企業、矢崎総業とは!
矢崎総業は知名度が低いだけに一般にはあまり知られていないが創業は戦前の
1929年だから80年の伝統を持つ。創業者矢崎貞美氏亡き後長男裕彦氏が33
歳の若さで社長に就いた。現在裕彦氏が会長で弟の信二氏が社長である。
創業当時から自動車用ハーネスが主力だ。現在国内外を合わせると売上げ高は
1兆5千億円と思われる。矢崎総業の特徴は海外拠点の多さにある。38ケ国
に支社が91社もある。とてもワンマンでは見切れるものではない。
矢崎総業で働く社員は全て家族であり、国内グループ企業の社員も世界の支社
の社員も家族という考えが根強い。ただ単に家族といっても家族の絆が強まる
ものではない。やることなすことが家族として受け入れられる施策なのである。
このようなトップと社員の関係力が組織力強化の源泉になっている。
進出した国、地域、部落によって実情と価値観は大きく違う。一律ではない家
族としての価値観をどうやって発見し、会社として採り入れるかが大事だ。そ
のことは5項で詳しく解説する。
3.矢崎総業の社是を考える!
矢崎総業の社是は次の通りだ。
(1)世界とともにある企業
(2)社会から必要とされる企業
社員は国内約2万人、海外は20万人を超える。主力の自動車用ハーネスは多
品種化、そのため人手による人海戦術のほうが効率よく生産性が高い。コスト
を削減するためには人件費の安い国に工場を建てなければならないのと物流費
を抑えるためできるだけ顧客の近くで生産することが求められる。
そのため「世界とともにある企業」、「社会から必要とされる企業」を掲げて
いる。「社会がその企業を必要としなければ、どんな立派な経営でも潰れる」
という創業者の教えを踏襲しているのだ。つまり利益を追いつつも利益を最優
先しない経営モデルを構築してきたというわけだ。
勝ち逃げはしない。地域社会にどんな貢献ができるかをいつも真剣に考えてい
るのだ。例えば1988年に高知県に設立した子会社の南四国部品
株式会社。ハー
ネスの海外生産移転で工場は減産。普通の会社なら直ぐにリストラか工場閉鎖
だ。しかし第二創業として介護部門を設立し、社員の
雇用を維持している。慣
れない職場にもかかわらず社員は新しい職場で生き生き働いてくれるのだ。欠
勤さえも激減したという。
4.総本山「Y-CITY」とは!
東海道新幹線の三島駅から車で30分。そこに矢崎総業の総本山とも言うべき
「Y-CITY」がある。工場、研究所、開発センターがあるのはうなずける
が家族寮に独身寮、ショッピングセンター、プール、居酒屋、カラオケボック
ス、保育園まである。もはやコンパクトシティだ。
ここには社員と家族800人、独身社員260人が暮らしている。会社の食堂で三食
食べて525円。保育園は月7,350円(給食費別)だ。
かつては社内結婚が7割もあったという。海外に多くの拠点を持つことは社員
は百も承知。いつ海外勤務を命ぜられても心の準備はできている。海外勤務も
基本的には家族同伴、約2万人の社員のうち500人以上が海外で働いており、配
偶者や子供は400人以上が海外生活しているという。
矢崎総業の企業文化の中では、海外暮らしは当たり前と受け止められている。
5.海外社員も家族の一員!
大家族主義は国内に限らない。例えば中国広東省の8,000人の工場では社員とそ
の家族を引き連れた遠足が大人気だという。つつましい生活、地元から出る機
会の少ない暮らし。分割してバスを仕立てての家族総出の遠足は家族の絆を強
くする。
その上、合同結婚式まで会社のイベントとしてやってあげている。結婚式の次
はベビーラッシュだ。妊婦の社員が座って作業できる特別ラインも編成されて
いるという。
そのほかにもサマーキャンプ大作戦という家族で参加できる海外研修制度、逆
に海外の社員を日本に招くイベントもある。海外では子弟の職場見学会も好評
だ。子弟で矢崎総業に入社を希望する者は原則
採用という指令も出されている。
親子二代で働いてもらうから募集、
採用の手間も
費用も節約できるというわけ
だ。
【3】今日のまとめ
1.矢崎総業では同族経営を超えた家族経営モデルを構築していること。
2.グローバル企業として「世界とともにある企業」、「社会から必要とされ
る企業」を社是に掲げ、実践していること。多
国籍企業というよりも多文
化企業を標榜していること。
3.
雇用は最大の社会貢献であるとの認識を強く持ち、減産になっても第二創
業で
雇用の維持を図る努力をしていること。
コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
⇒
3223898301@jcom.home.ne.jp
【4】編集後記
矢崎総業は地味な企業だが日経ビジネスには度々採り挙げられてきた。同族経
営を超えた家族企業だが組織力は強固だ。顧客企業は国内自動車メーカーだけ
でなく世界の自動車メーカーが名を連ねる。
そしてハーネス以外の自動車関連商品の売上げ比率も徐々に伸びてきている。
HPには「ビジネスでの連絡だけでなく何なりとご意見を寄せてほしい」と書
いてある。ビジネスだけのコミュニケーションよりも広いご意見から新商品の
ネタを掴もうという視点の広さが伺える。
=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=
次回に続く。
***********************************************************************
発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
彩愛コンサルピア代表 下山明央
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから
3223898301@jcom.home.ne.jp
彩愛コンサルピアのHPは、
こちらから
http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/
(協)さいたま総合研究所のHPはこちらから
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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「組織力とコンピ
テンシー!」と題して様々な角度から鋭く分析した記事を紹介していきます。中
小企業の経営者の方、管理者の方、人事担当者の方に是非ともお読みいただきた
いと思います。
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【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論「同族を越えた家族企業が組織を強くする!」
1.ワンマンに陥らない同族企業!
2.同族を超えた家族企業、矢崎総業とは!
3.矢崎総業の社是を考える!
4.総本山「Y-CITY」とは!
5.海外社員も家族の一員!
【3】今日のポイント
【4】編集後記
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政治家は行き詰まれば直ぐに投げ出し辞任することができる。しかし逃げ出した
くとも逃げることができないのがオーナー経営者だ。経営を投げ出せばお客に迷
惑をお掛けすることはもとより、社員と家族の生活を脅かすことになるからだ。
さらには取引先にだってご迷惑をお掛けする。
企業の不祥事が起こるたびに、さも「同族経営だからいけない」ようにマスコミ
は書き立てる。同族経営イコールワンマン経営で裸の王様になってしまっている
例は確かに多い。だがたった一代で会社をここまで大きくしたという自負心はあ
ろう。一時期、ワンマン体制でぐいぐい会社を引っ張ることは決して悪いことで
はないと思う。
いけないのは成功体験に酔いしれて全て自分の実力と勘違いし、取り巻きをイエ
スマンで固めてしまうことだ。意見を言う者は全て抵抗勢力とみなして排斥する
ことから衰退が始まる例がほとんどだ。
日産ディーゼルの再建を託された仲村巌氏はV時回復させたとき「ワンマンがこ
れ以上社長をやると会社がおかしくなる」と言ってあっさり引退した。ワンマン
経営のいい面と悪い面を熟知していた立派な経営者だった。
【1】心に刻んでおきたい言葉
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お金に重きを置きすぎると「自分だけよければ」という考えに流れてしまう。
矢崎裕彦
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【2】メルマガ本論
[(第24話)同族を越えた家族企業が組織を強くする!]
1.ワンマンに陥らない同族企業!
同族経営でしかも非上場の会社にも優良企業はたくさんある。サントリー、
YKK、国分、そして今回採り挙げる矢崎総業だ。
同族経営でありながら決してワンマン経営には陥っていない。同族経営者に意
見を言ってくれる人、ブレーキをかけてくれる人、つまり参謀格がいてしっか
り補佐してくれる仕組みができているのだ。イエスマンだけで取り巻きを作る
同族経営とは一線を画している。
2.同族を超えた家族企業、矢崎総業とは!
矢崎総業は知名度が低いだけに一般にはあまり知られていないが創業は戦前の
1929年だから80年の伝統を持つ。創業者矢崎貞美氏亡き後長男裕彦氏が33
歳の若さで社長に就いた。現在裕彦氏が会長で弟の信二氏が社長である。
創業当時から自動車用ハーネスが主力だ。現在国内外を合わせると売上げ高は
1兆5千億円と思われる。矢崎総業の特徴は海外拠点の多さにある。38ケ国
に支社が91社もある。とてもワンマンでは見切れるものではない。
矢崎総業で働く社員は全て家族であり、国内グループ企業の社員も世界の支社
の社員も家族という考えが根強い。ただ単に家族といっても家族の絆が強まる
ものではない。やることなすことが家族として受け入れられる施策なのである。
このようなトップと社員の関係力が組織力強化の源泉になっている。
進出した国、地域、部落によって実情と価値観は大きく違う。一律ではない家
族としての価値観をどうやって発見し、会社として採り入れるかが大事だ。そ
のことは5項で詳しく解説する。
3.矢崎総業の社是を考える!
矢崎総業の社是は次の通りだ。
(1)世界とともにある企業
(2)社会から必要とされる企業
社員は国内約2万人、海外は20万人を超える。主力の自動車用ハーネスは多
品種化、そのため人手による人海戦術のほうが効率よく生産性が高い。コスト
を削減するためには人件費の安い国に工場を建てなければならないのと物流費
を抑えるためできるだけ顧客の近くで生産することが求められる。
そのため「世界とともにある企業」、「社会から必要とされる企業」を掲げて
いる。「社会がその企業を必要としなければ、どんな立派な経営でも潰れる」
という創業者の教えを踏襲しているのだ。つまり利益を追いつつも利益を最優
先しない経営モデルを構築してきたというわけだ。
勝ち逃げはしない。地域社会にどんな貢献ができるかをいつも真剣に考えてい
るのだ。例えば1988年に高知県に設立した子会社の南四国部品株式会社。ハー
ネスの海外生産移転で工場は減産。普通の会社なら直ぐにリストラか工場閉鎖
だ。しかし第二創業として介護部門を設立し、社員の雇用を維持している。慣
れない職場にもかかわらず社員は新しい職場で生き生き働いてくれるのだ。欠
勤さえも激減したという。
4.総本山「Y-CITY」とは!
東海道新幹線の三島駅から車で30分。そこに矢崎総業の総本山とも言うべき
「Y-CITY」がある。工場、研究所、開発センターがあるのはうなずける
が家族寮に独身寮、ショッピングセンター、プール、居酒屋、カラオケボック
ス、保育園まである。もはやコンパクトシティだ。
ここには社員と家族800人、独身社員260人が暮らしている。会社の食堂で三食
食べて525円。保育園は月7,350円(給食費別)だ。
かつては社内結婚が7割もあったという。海外に多くの拠点を持つことは社員
は百も承知。いつ海外勤務を命ぜられても心の準備はできている。海外勤務も
基本的には家族同伴、約2万人の社員のうち500人以上が海外で働いており、配
偶者や子供は400人以上が海外生活しているという。
矢崎総業の企業文化の中では、海外暮らしは当たり前と受け止められている。
5.海外社員も家族の一員!
大家族主義は国内に限らない。例えば中国広東省の8,000人の工場では社員とそ
の家族を引き連れた遠足が大人気だという。つつましい生活、地元から出る機
会の少ない暮らし。分割してバスを仕立てての家族総出の遠足は家族の絆を強
くする。
その上、合同結婚式まで会社のイベントとしてやってあげている。結婚式の次
はベビーラッシュだ。妊婦の社員が座って作業できる特別ラインも編成されて
いるという。
そのほかにもサマーキャンプ大作戦という家族で参加できる海外研修制度、逆
に海外の社員を日本に招くイベントもある。海外では子弟の職場見学会も好評
だ。子弟で矢崎総業に入社を希望する者は原則採用という指令も出されている。
親子二代で働いてもらうから募集、採用の手間も費用も節約できるというわけ
だ。
【3】今日のまとめ
1.矢崎総業では同族経営を超えた家族経営モデルを構築していること。
2.グローバル企業として「世界とともにある企業」、「社会から必要とされ
る企業」を社是に掲げ、実践していること。多国籍企業というよりも多文
化企業を標榜していること。
3.雇用は最大の社会貢献であるとの認識を強く持ち、減産になっても第二創
業で雇用の維持を図る努力をしていること。
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【4】編集後記
矢崎総業は地味な企業だが日経ビジネスには度々採り挙げられてきた。同族経
営を超えた家族企業だが組織力は強固だ。顧客企業は国内自動車メーカーだけ
でなく世界の自動車メーカーが名を連ねる。
そしてハーネス以外の自動車関連商品の売上げ比率も徐々に伸びてきている。
HPには「ビジネスでの連絡だけでなく何なりとご意見を寄せてほしい」と書
いてある。ビジネスだけのコミュニケーションよりも広いご意見から新商品の
ネタを掴もうという視点の広さが伺える。
=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=
次回に続く。
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彩愛コンサルピア代表 下山明央
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