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事例:離職票の退職理由(2)

◆事例:離職票退職理由(2)

 従業員を解雇すると助成金を受けることができないと聞きました。助成金
受けるためには一切の解雇ができないのでしょうか。

◇回答----------------------------------------------------------------
 助成金の種類にもよりますが、基本的には申請前6ヶ月に解雇があると助成
金の対象から外れます。解雇だけでなく、勧奨退職のごとく会社都合によるも
のも含まれます。制度上致し方なく、慎重にせざるを得ません。

■解説----------------------------------------------------------------
 先週に引き続き、離職票に関する退職理由の解説です。
 
 解雇を自己都合として届ける理由の3つ目に、助成金を受けている、または
受けようとするための場合が挙げられます。はっきり言って、これは不正受給
になります。

 解雇だけでなく、肩たたきのような勧奨退職であっても、会社都合の取り扱
いとなり、支給対象から除外されます。これは、助成金制度が再就職の援助を
目的としている以上、解雇し離職者を増やすような会社に対しては助成金を支
給しないという考えがあるからです。

 とは言っても、現場ではかなりの数の事業所が、助成金目的で退職事由を調
整しているケースがあるようです。調整というのは、本人了解の下でのことな
ので、意外と水面下で横行しているのではないかと思います。統計には絶対出
てこない数値でしょうね。

 もちろん、本人が了解しないまま会社都合を自己都合とすれば、先週述べた
ような面倒なことが待っています。もし助成金を受給済みであれば、即返還を
求められます。過去に同様の事例が続いていたり、敢えて退職事由を改変した
ことがわかると、不正受給のレッテルを貼られ、同額の返還の他、事業所名を
職安へ掲示されることもあります。悪質なケースでは詐欺罪での告発もあり得
ます。

 この背景には、残念ながら一部の社労士が一枚かんでいることもあります。
もちろん大多数の社労士は真面目に調査指導し、ダメなものはダメと言います
ので誤解しないで下さいね。
最近の社労士業務の中では助成金のウェイトが大きくなっています。貸し付け
と違い、要件さえ満たせばタダでお金がもらえるというのは、社労士にとって
極めてセールスしやすい材料となっているのは確かです。

 まして助成金の種類や支給要件がコロコロ変わり複雑化する一方、助成金
社労士の専管業務なので、多くの社労士が売り物にしています。私も一応、業
務内容に掲げていますが、本音は好きでありません。一時的資金のために役所
の定めたとおりに制度をいじるのは本末転倒で、会社方針に根ざした経営改善
の努力の方が先決だと考えているからです。それに後日監査等が入る可能性も
強く、特に会計検査院にでも入られると面倒なだけでは済まなくなります。
なお、助成金の支給要件は多数のメルマガ等があるようなので、そちらをご覧
になって下さい。

 最後に、離職票では解雇を自己都合として届けるのとは逆に、自己都合を解
雇扱いとするケースもあります。雇用保険狙いの場合がほとんどですが、まず
表面化しません。本人と会社(担当者)が共謀しないと不可能だし、職安では
自己都合のようには根掘り葉掘り理由を聞かないからです。その他にも色々な
ケースがありますが、またの機会にします。


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