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ロボット軍団安川電機の組織力!

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        シリーズ「組織力強化とコンピテンシー!」


    <第299回>[(第31話)「ロボット軍団安川電機の組織力!」

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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「組織力とコンピ
テンシー!」と題して様々な角度から鋭く分析した記事を紹介していきます。中
小企業の経営者の方、管理者の方、人事担当者の方に是非ともお読みいただきた
いと思います。

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今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論「ロボット軍団安川電機の組織力!」
1.何も悪いことしてないのに、ある日突然飛ばされて!
2.ロボット事業は将来性あるとポジィティブに考えた!
3.犬のように嗅ぎまわれ!
4.1機種だったものがいまや2千機種に!
5.安川流人材育成術!
【3】今日のポイント
【4】編集後記

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1915年創業の安川電機は炭鉱採掘用など大型モーターのメーカーだ。第二創業と
してロボット事業を立ち上げたがあまりうまくいかなかった。1994年ごろは141
億円の売上げで赤字15億円を垂れ流すお荷物事業部だった。

安川電機はいまロボット事業で年商850億円を売上げ、ロボットでは世界シェア
24%でファナックを押さえて世界一になった。

今回は安川電機やる気を生む組織力と人材育成術に迫る。



【1】心に刻んでおきたい言葉

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「マーケティングというのは犬のように嗅ぎまわること。つまりどんな売り方を
してどんなサービスをすればお客が喜ぶのか、それを考えて追求しなさい」と社
員に言った。

                          利島康司

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【2】メルマガ本論

[(第31話)ロボット軍団安川電機の組織力!]

1.何も悪いことしてないのに、ある日突然飛ばされて!

安川電機の本社工場は北九州市にある。1980年代に第二創業の一環としてロボッ
ト事業に進出したが前述のように赤字垂れ流し部門だった。儲かっているモータ
ー事業部の社員はエレベーターを使っていいがロボット事業部の社員は階段を歩
いて登れとママコ扱いされることもあったという。

1994年、当時工場長だった利島康司氏は突然辞令をもらうことになる。ロボット
事業部への左遷だった。「オレは何も悪いことしてないのに。完全に出世コース
から脱落したな」。利島氏はがっかりした。


2.ロボット事業は将来性あるとポジィティブに考えた!

いつまでもがっかりしているわけにはいかない。早速現状分析から入っていった。
ロボットといってもアーク溶接ロボット一機種のみで、ほかに売るものはなかっ
た。これでは勝負にならないと気付き、機種を増やさなければならないと考えた。

景気のよいときに新入社員を大量採用し、他部門で余ったからといって7人ほど
の若手技術者がいた。けがれていない真っ白なこれらの若手を人材として磨き上
げれば何とかなるのではないかと考えた。

利島氏のポジティブ志向なるコンピテンシーが如何なく発揮されていく。


3.犬のように嗅ぎまわれ!

一通り現状を把握したところで利島氏は全員を集めて檄を飛ばした。「バカにさ
れてもいい。お客のほしいものを御用聞きのつもりで聞いて来い。そしてみんな
で作ろう」と。

営業部隊は用がなくとも足しげくお客の下に通い始めた。そしてホンダ埼玉工場
の生産ラインに大型ロボットを納入することに成功した。ロボットが同時並行で
いくつもの作業をやるから生産性が高まる。名付けて千手観音ロボットだ。

ホンダの技術者に「安川電機は無理な要求をしてもいやとは言わない。何とか対
応してくれる。スピードも速い。そこが他社と違う」と言わしめた。

犬のように嗅ぎまわると「腕の長いロボットは無理だよね」といった話がお客か
らぽろっと出る。早速図面にして持ち込んで提案する。「これでどうでしょうか」
と。これが安川流提案営業の真髄だ。


4.1機種だったものがいまや2千機種に!

前述のように利島氏がロボット事業部に行ったときはアーク溶接ロボット1機種
だった。たった1台しか作らないロボットから数百台作るロボットまで、いまや
2千機種に膨れ上がった。

いま安川電機は、産業用ロボットからお好み焼きロボット、生活支援ロボットま
で拡大していこうとしている。例えば見本市に出品したお好み焼きロボットは具
を練るところからひっくり返して焼き上げるまでの全工程をやる。生活支援分野
では指示された物を取ってきて手渡してくれるロボットの試作品も完成している。
「スマートパル」と名付けた。世界初の7軸関節機構ロボットが次々市場を開拓
してくれるというわけだ。

介護の現場は恒常的な人手不足。おしゃべりしながら手伝ってくれるロボットは
きっと誰からも感謝されるだろう。


5.安川流人材育成術!

60歳代後半に差し掛かった利島社長だが人材育成には益々熱が入る。利島社長が
もっとも大切にしている社内会議がある。それは「人づくり会議」という対話集
会だ。月2回、10名前後の社員に集まってもらい社長といろいろな話をする。利
島社長は自筆の記録を取っており、記録のファイルは溜まる一方だ。もう800人
と会って話したという。同様の会議はTOTOの木瀬社長もやっている。末端の
社員との意思の疎通はばっちりだ。

ここで安川流の人材育成術を見てみよう。

□ 新人は自由に育てろ!

安川電機では新入社員は1年間仕事をしないで研修に明け暮れ、給料がもらえる。
例えば新人数人のグループでロボットの企画製作に取り組む。先輩が時々アドバ
イスする程度だ。

□ 大きな仕事も若手一人にさせよ!

2~3年目の若手に大きな仕事を任せるのが安川流だ。課長は時々進捗を見に来
て方向が間違っていないかだけを確認する。

□ 課長は昼も夜もフォローしろ!

昼間は課長は部下のよき理解者でアドバイザー。その延長が居酒屋で続くことも
ある。昼も夜も面倒を見てくれるから一人で悩むことはない。

□ 若手に任せても責任は上司がとれ!

仕事が完成に近づけば部長にプレゼンテーションしなければならない。失敗が発
見されても部長は課長を責める。組織にならって筋を通すのが安川流だ。

「『モノ作り』は開発にしても製造にしても人が開発して人が物を作るのだから、
『モノ作り=人づくり』と位置づけている」と利島社長は胸を張る。強い組織力
は人材育成が根幹にあるということだ。



【3】今日のまとめ

1.会社には左遷と思しき人事はあるが、ポジィティブに捉えれば光が見えるこ
  と。

2.現状分析をし、あるべき姿とのギャップを埋める戦略を立てることが大事で
  あること。「犬のように嗅ぎまわる営業」、「御用聞き営業」が活路を見出
  すこと。

3.「モノ作り=人づくり」は経営者ならみんな言うが、経営の雲行きが怪しく
  なると直ぐリストラに走る経営者の場合、「人づくり」とは単なるポーズに
  過ぎず、むなしく聞こえること。

コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
⇒ 3223898301@jcom.home.ne.jp



【4】編集後記

安川電機という会社は地味な会社だった。だがこれからお好み焼きロボットや生
活支援ロボット分野で活躍すれば、一般の生活者になじみのある会社になってい
くことだろう。

赤字垂れ流しのロボット事業をシェア世界一に育てた利島社長の「人間力コンピ
テンシー」を大いに参考にしなければならない。

=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=



次回に続く。

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発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
        彩愛コンサルピア代表 下山明央
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから 3223898301@jcom.home.ne.jp
彩愛コンサルピアのHPは、
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