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経済的に追い詰められた人々を救う宇都宮弁護士の挑戦志向!

    ◆◆コンピテンシーを磨けば仕事のできる人になれる◆◆

   <第220回>できる人のコンピテンシーをベンチマークする!


 ==■「経済的に追い詰められた人々を救う宇都宮弁護士の挑戦志向!」■==

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人は誰でも能力を保有しています。しかし、せっかくの保有能力が宝の持ち腐れ
となり、成果に結び付けられない人が実に多いのです。

「できる人のコンピテンシーをベンチマークする!」と題して事例を解説してい
きます。

コンピテンシーを磨けば誰でも仕事のできる人に自己変革できます。経営トップ
・管理者・社員の皆様、そして求職中の離職者の方や就職を目指す学生さんにも
是非ともお読みいただきたいと思います。

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<今回のメニュー>
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【1】どうして弁護士なんかになってしまったんだろう!
【2】サラ金事件を引き受けてくれませんか!
【3】元金も返さなくていいという革命的判決を勝ち取る!
【4】編集後記

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ヤミ金の世界では「トヨン」というキーワードがあるそうだ。10日で4割の利子
という意味だという。10万円借りれば10日で14万円。これを返すために次の
ヤミ金から借りる。それを繰り返しているうちに借金地獄に陥るというわけだ。

2008年に自己破産した人の数はおよそ13万人もいるという。多数の自殺者も出て
いる陰で経済的弱者を救おうと日夜奮闘している弁護士がいる。宇都宮健児氏その
人である。

宇都宮弁護士は農家の出。東大法学部に受かる秀才だった。弱い立場の人々を助け
たいと猛勉強して弁護士になった。ここまでは順調だったが実は落ちこぼれ弁護士
になってしまう。宇都宮弁護士は元来人とのお付き合いが苦手。弁護士など「士業」
を営む人は、自分で営業してクライアント(顧客)を見つけなければ仕事にありつ
けないのが一般的だ。そのためどこかの弁護士事務所に就職して修業しながら足固
めをする弁護士も多い。

顧客が付かない。たまに付いてもヤミ金で経済的に困っている人からの相談ばかり。
これでは収入に結びつかないわけだ。こんなことで法律事務所を二度もクビになっ
た。

再度就職できなければ田舎へ帰ることも視野に入れながら東京弁護士会へ行ってみ
た。「7年勤めてクビですか。ご苦労なさったんですね」と応対に出た女性職員の
クールな言葉。だが間髪入れずに「お仕事探しているんでしたらサラ金事件を引き
受けてくれませんか」と言われ、引き受けたのがきっかけで本格的に経済的弱者救
済の弁護士活動をスタートさせた。

そこで、今回は弁護士宇都宮健児氏の巨大な悪と戦う「挑戦志向」に迫ってみる。



【1】どうして弁護士なんかになってしまったんだろう!

私も士業(中小企業診断士)を営む自営業者の一人だが、クライアントを見つけて
くるのは容易なことではなかった。弁護士、技術士、一級建築士、行政書士、税理
士、公認会計士などたくさんの士業があるが軌道に乗るまでは皆いろいろご苦労が
あると思う。

宇都宮弁護士は人付き合いが苦手だからなおさらクライアントを見つけることは容
易ではなかったことと思う。弁護士事務所にこもっていて時々訪ねてくる人の相談
案件で仕事に結びつけるしかない。そんなことでは弁護士事務所の売上げに貢献す
ることもままならないわけだ。こんなことだから弁護士事務所をクビになるのは当
然といえば当然だった。「どうして弁護士なんかになっちまったんだろう」と落ち
込むばかりだった。



【2】サラ金事件を引き受けてくれませんか!

東京弁護士会を訪ねたとき女性職員にサラ金事件を引き受けて欲しいと言われ、渋
々ながら引き受けることになった。最初に手がけたのがタクシードライバーからの
相談だった。わずか5万円借りたのに300万円に膨れ上がり、毎日暴力的な取立て
に困り果てていたのだ。宇都宮弁護士はサラ金業者を50軒も回り、「私が代理
になったからタクシードライバーに直接請求しないで欲しい。直接請求すれば法律
違反になります」と毅然とした態度で業者に言った。ここはかなりの勇気だった。

業者はドスをちらつかせながら脅したが「そっちがドスでくるならこっちは法律で
受けてたちます」と。そして裁判所の和解を受け入れさせ、タクシードライバーを
救った。

しかしサラ金よりも怖いのがヤミ金だ。本人ばかりか家族、親戚、近隣の人からも
取り立てる。背後には大きな暴力団の組織が関与していた。宇都宮弁護士は被害者
182人を説得して高松地裁と東京地裁に5億円の損害賠償を求めて提訴することに
成功したのである。

高松地裁の一審は不本意な判決で被害者11人にたった1,400万円の支払いを認め
るものだった。ただちに高裁に上告した。

二審では弁護士費用も暴力団組織に支払いを命じる画期的と思える判決が出て被害
者たちは一様に喜んだのだった。しかし宇都宮弁護士は「これではダメです。借り
た元金も返さなくていいという判決を勝ち取るまで戦いましょう」と最高裁に上告
することを決断した。



【3】元金も返さなくていいという革命的判決を勝ち取る!

「借りたお金も返さない」と言うのはどう見てもやりすぎではないかと被害者たち
は思った。しかし宇都宮弁護士は「貸した金は法外な金を取り立てるためのエサで
しかない。彼らの資金源を完全に断たなければまた次の犯罪につながってしまう。
だから借りた金も返さないのが当然」と言い放って被害者たちを説得した。

おりしも2006年6月、「組織的犯罪処罰法改正法」と「被害回復給付金支給法」と
いう追い風とも言うべき法律が成立した。

そして2008年4月、最高裁で宇都宮弁護士は参考人意見を述べる機会を与えられ、
暴力団の資金源を断つためには借りた金も返さなくていいという判決がぜひとも必
要であることを弁論した。

そして迎えた2008年6月10日の判決の日、革命的な判決が言い渡されたのである。
これまで支払った損害額はもちろん借りた元金も含めて一切支払わなくていいとい
う内容だったのである。宇都宮弁護士が晴れやかな顔で裁判所から出てきて記者団
に取り囲まれた。巨大な悪と戦う「挑戦志向」が一つ実った瞬間だったのである。



【4】編集後記

経済的弱者を救済する弁護士は少ない。はっきり言ってあまりお金にならないから
だ。だが宇都宮弁護士は「お金じゃない。やりがい、生きがいだ」と。第213回目
に配信した「どん底の会社を蘇らせる再建のプロ、村松弁護士」ともどもエールを
送りたい。

<この記事は平成21年9月放送のテレビ東京「ルビコンの決断」を参考にしてい
 ます。>



次回に続く

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        彩愛コンサルピア代表 下山明央

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