登録

会員登録いただけると、

  • メールマガジンの受け取り
  • 相談の広場への投稿 等

会員限定のサービスが利用できます

登録(無料)を続ける
TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > 社員が「休みたいのに休めない」慢性的な人手不足を解消するためにまず取り組むべきこと3つ
休みたいのに休めない

社員が「休みたいのに休めない」慢性的な人手不足を解消するためにまず取り組むべきこと3つ

2022.09.01

大企業と比較すると、企業規模が小さく、従業員一人ひとりの重みが重要視される中小企業にとって、人手不足は非常に深刻な問題です。社員を採用してもすぐ退職してしまうケースや、採用時のミスマッチなど、人手不足の原因はさまざま。しかし、人手が足りない状況で操業を続けた場合、既存の社員の負担が増大し「休みたいのに休めない」という中で心身に支障をきたす危険性が避けられません。今回は、人手不足となる原因やすぐに実行できる解消法、実際に人手不足を解消した企業の成功例などを順に解説していきましょう。

常に人が足りていないのはなぜか

厚生労働省職業安定局が2018年6月に公表した「人手不足の現状把握について」によれば、働き方改革やワーク・ライフ・バランスの推奨効果もあり、30代前半までの若年層労働者は、企業規模や業種を問わず入職率(入職者数を常用労働者数で除した値)が高い傾向にあり、希望する職種や働き方を求めて積極的に転職をしていることがわかります。また、中小企業に入社した若者たちは、大企業と比較すると、離職・転職をしていくケースが多く、人手不足が解消できないという傾向が強くみられます。

これらの内容を総合すると、中小企業の場合はそもそも採用活動がうまくいかず望むような人材を確保できない、または若手社員が定着せず、中高年齢層の社員に頼らざるを得ないという問題点が顕在化しているといえるでしょう。

【参考】厚生労働省職業安定局リーフレット「人手不足の現状把握について 平成30年6月1日」

【もっと詳しく】スグやめる理由は…?若手社員の離職率が高い会社が行うべき3つのこと

人材不足に陥る企業の共通点

同じ業種・規模の会社でも、優秀な人材に恵まれて精力的に企業活動ができる会社があれば、慢性的な人手不足に悩まされる会社もあります。後者のケースに陥りやすい企業の共通点は、社員同士のコミュニケーション不足や適材適所に社員の配置が行われていない等の理由から会社の業績が上がらず、上司も部下も疲弊しきっていることです。このような会社の場合、新たに優秀な人材を採用したとしても、企業の将来性に不安を感じ辞めてしまう可能性が否定できません。

また、社内の環境に問題がある場合も人材流出が避けられないでしょう。たとえば、社内で使用する備品や機器導線が非効率的で思うように仕事が進められないケースや、長時間労働が慢性化しているケースなどがこれに該当します。

さらに重要な点は、社内の評価制度が不適切である場合です。特に若年層労働者は、自身の仕事遂行能力に対する正しい評価がなされていないと判断した場合、新たな環境を求めて離職するケースが少なくありません。新たな人材確保のみならず、既存の社員に長く働いてもらうためにも、適切な人事評価制度の確立が必須であるといえるでしょう。

【もっと詳しく】離職率が高い企業の特徴とは?計算方法と離職率を下げる対策をまとめて解説

人材不足解消したモデルケース2つ

人材不足に関する問題が今後も続く見込みであることを考えると、会社の将来に向けて現在から対策をとる必要があります。ここでは、実際に人材不足を解消した企業の例をいくつか紹介していきましょう。

事例①:受注案件の見直しにより職場環境の改善へ

建設業や不動産業を営むA社では、社員の月あたりの残業時間が200時間に迫るほどの長時間労働に追われる社員もおり、年間で全社員の3分の1近くが退職するという深刻な人手不足に陥っていました。特に会社の中核を担う社員の離職や女性労働者の妊娠・出産が重なったこともあり、今後に向けて社員の働き方を見直すことが急務となりました。

対策として、まずは仕事の受注基準を再検討し、短時間で高い収益をあげることができる案件や、社員の負担が少ない案件を積極的に受けるスタイルへ変更しました。また、既存の社員の負担を減らすため、短時間雇用の社員を採用し、業務のボリュームや社員自身の希望する働き方が受け入れられるような担当制へと変更。結果、残業時間の削減と離職率低下を実現することができました。

事例②:人柄重視の積極採用を実現し社員定着へ

IT業やコンサルティング業を営むB社では、会社の主要業種を担うシステムエンジニアの確保に苦戦していました。そこで、自社の求める業種を希望する求職者をターゲットに、人柄重視の採用活動を行いました。求職者の企業に対する不安感を取り除くため、面接時には話しやすい雰囲気を心がけ、求職者が求める働き方や望む仕事内容をじっくり聴きとる方法を取ることで、双方が納得した上での採用を実現することができました。

解決に向けて初動としてすべきこと3つ

この項目では、人材不足の解消を図るためにまず取り組むべき内容についてお伝えします。

求める求人増を明らかにする

採用がなかなかうまくいかない会社の場合、まずはどのような人材を求めているのかを明確にしましょう。ただ単に優秀であるからという理由でやみくもに社員を雇用した場合、双方が「こんなはずじゃなかった」と感じる事態に陥りかねません。企業側としては、採用した社員が求めていた人材とは異なることが明らかになった場合、新たに採用活動を行うか、配置転換を行うなどの更なる対応が必要になります。一方、入社した会社が自身の希望とは異なっていると感じた求職者は、新たな環境を求めて退職してしまうかもしれません。

このような事態を防ぐためにも、まずは現在欲しているのはどのような人物かを採用活動前に洗い出しておく方法が有効になります。

【こちらの記事も】中小企業の経営者は応募者のここを見るべし!中途採用で「即戦力人材」を見抜く方法

業務内容の見直し

よくみられるケースですが、社内で発生している問題が、実は人手不足によるものではないという場合があります。つまり、“人が足りない”のではなく、業務内容や業務フローなどに問題があるため、業務の効率化を図ることで現在の社員で賄える可能性があるということです。まずは、実際に行われている業務の中に不要な手続きや対応、効率の悪いやり取りが隠れていないかを洗い出してみましょう。

職場環境の整備

社員が長く働きたいと感じる職場は、どのような職場でしょうか。おそらく誰もが清潔で明るく、仕事のしやすい環境を望むことでしょう。特にコロナ禍の昨今では、働く場所や時間帯についても、これまでの固定観念を捨てた方法が求められています。

働きやすい職場環境については、既存の社員の意見を求める方法が効果的でしょう。実際に働いている人の意見は、率直で的を射たものであるケースが多くみられます。在宅やサテライトオフィスによる勤務を可能としたオンライン体制の充実や、社員が笑顔でいられるような風通しの良いオフィス作りなど、経営者・社員がともに意見を出し合うことで実現できるはずです。

【もっと詳しく】レイアウトを変えるだけ!コミュニケーション活発化を目指すオフィスづくりのポイント(PR)

まとめ

慢性的な人材不足に陥っている企業は、目先の問題にとらわれがちですが、根本の経営課題が見えていない経営者は少なくありません。まずは客観的な目で自社の内容を把握し、問題点を洗い出しましょう。ここで紹介した解決法も含め、優秀な人材に長く定着してもらうためにはどのような対策を取るべきか、入念に検討をする必要があるでしょう。

【こちらの記事も】中小企業向け!「人手不足を解消したいとき」に役立つ支援制度を一挙解説

【参考】厚生労働省職業安定局リーフレット「人手不足の現状把握について 平成30年6月1日」

*ryokrt、EKAKI、すとらいぷ、takeuchi masato、psisa / PIXTA(ピクスタ)