平成22年9月15日 第84号
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人事のブレーン
社会保険労務士レポート
───────────────────────────────────
目次
1.ハラスメントに関する考察
===================================
インターネットTV「覚悟の瞬間」に出演しています
http://www.kakugo.tv/index.php?c=search&m=detail&kid=168
ブログ「
人事のブレーン
社会保険労務士日記」
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
是非見てみて下さい!
就業規則サイト「
就業規則.COM」
http://www.sr-syuugyoukisoku.com/
Twirrer
http://twitter.com/yamamoto_roumu
***********************************
1.ハラスメントに関する考察
***********************************
1. はじめに
ハラスメントに関する相談が増えている。
特に
パワハラやモラハラについての相談が多い。
ハラスメントといえば、一昔前には
セクハラが殆どであったが、近年職場にお
ける上司の注意に対して
パワハラと主張をする
労働者が増えている。
パワハラとはいったい何であろうか。
この点を検討したいと思う。
2.ハラスメントの定義
ハラスメントとは、他者の人格を傷つける行為であり、人格権の侵害行為である。
性的要素を伴うものがセクシャルハラスメントである。
パワーハラスメントとモラルハラスメントについての明確な区分は出来ないが、
上司の優越的な地位を利用して性的要素を伴わない人格権の侵害行為がパワーハ
ラスメントであり、それ以外の、性的要素を伴わない人格権の侵害行為がモラル
ハラスメントと区分して考えるとわかりやすいと思う。
しかし実務的には、この区分は意味が無く、
パワハラであろうとモラハラであろ
うと同様の対策が必要である。
3.ハラスメントの違法性判断基準とその対策
(1)ハラスメントの違法性判断基準
ハラスメントの違法性は、被害者の主観的な感情を基準に判断される者ではなく、
両当事者の職務上の地位・関係、行為の場所・時間・態様、被害者の対応等諸般
の事情を考慮して、行為が社会通念上許容される限度を超え、あるいは、社会的
相当性を超えると判断されるときに
不法行為が成立する(「金沢
セクハラ事件」
名古屋高金沢支判平成8年10月30日労判707号37頁)とされている。
被害者の一方的な主張だけでは成立しないのである。
(2)対策
事前対策は後述するとして、ハラスメントの申告が
労働者や同僚からあったとき
や上司がそれに気づいた際には直ちに関係者からの事情聴取を行う必要がある。
違法性の判断基準の項で述べたが、ハラスメントは「被害者の主観」で判断する
べきものではない。
まず事実を正確に把握する為に両当事者やその関係者からの事情聴取が必要であ
る。
その上で、その事実に基づいて
使用者がそのハラスメントについてどの様にする
のかを判断する必要がある。
まずは、事実が何かである。
(3)優越的地位を利用したハラスメント
優越的な地位を利用してハラスメントを行った場合には、ハラスメントと認定さ
れやすい。
例えそれが冗談であったとしても、「相手が上司であることを認識せざるを得な
い状況下での上司の各発言は、冗談とみられるものも含まれているとはいえ、部
下を困惑させ、その就業環境を著しく害するものであったといわざるを得ない」
として、部下を食事に誘ったり、恋人との性的な関係を答う様なメールを送った
上司に対してその違法性を肯定した。(F製薬事件東京地判平成12年8月29
日判時1744号137頁)
(4)優越的な地位を利用していないハラスメント
優越的な地位の利用をしていないハラスメントについては、通常の
不法行為と同
様の基準で判断される。
よって地位の利用と比較すれば、重度な
不法行為でなければ成立しない。
4.上司の叱責とパワーハラスメント
最近増えている相談であり、経営者も興味のある分野であろう。
前述のとおり、ハラスメントとは、その被害者の主観のみで判断されるものでは
ない。
また、上司の叱責についても、厳しく叱責することだけをもってハラスメントと
判断される事はない。
叱責の経緯や内容で判断されるのである。
部下を叱責することは上司の職務である。
しかしその叱責の方法が、部下の人格権を侵害する言動が含まれていればハラス
メントとされるケースがある。
「馬鹿」からはじまり、「この職場にいる意味がない」「不要だ」という趣旨の
発言は慎むべきであろう。
叱責の目的は教育であり、業務を円滑に進められないことの不満を部下にぶつけ
ることではない。
この点を上司はしっかりと把握して行動すべきである。
教育をやり尽くしてもなお、その能力の向上や勤務不良が直らない場合には、労
働法のルールの中でどの様にすべきか考えるのであり、叱責の程度をエスカレー
トさせて、日々怒鳴るということでは何も解決しない。
経営層の中には、日々怒鳴っていれば自ら辞めていくであろうと考えている方も
いるが、これは大きな間違いである。
問題があればそれを正面から、その
労働者と話し合うことがその後の対応におい
ても効果が出てくる。
この点については、経営層は上司への教育をしっかりと行っていく必要がある。
5.
使用者責任
使用者は、
労働者が安全で衛生的な職場環境を整える義務がある。
これは
労働契約に付随した義務であるとされており、
業務災害等で
使用者が問わ
れる
安全配慮義務もこの考え方である。
ハラスメントが発生しないように
使用者は職場環境整える義務があり、またハラ
スメントが発生した場合には、直ちに職場環境を整える義務を負っている。
3.(2)で述べた対策と併せて、日々の勤怠管理や業務のチェックをしていく
過程で、部下である
労働者の健康状態や精神状態を把握していくことが事前対策
であろう。
部下を必要以上に怒鳴る上司も、何かストレスとなる要因を抱えているのかもし
れない。
中間管理層の精神状態を含めて会社がしっかりと把握していく姿勢が必要である。
この事により、通常の叱責であったにもかかわらず、
パワハラと主張された場合
には速やかに対処することが出来、その経緯をリアルタイムで把握していること
により、適切な対応も出来る。
「見て見ぬふり」「面倒くさい」この気持ちが経営層にあれば、いわれのないパ
ワハラの主張がなされてしまうと考える。
本稿を参考にされて健全な職場環境の整備を行って頂きたい。
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労務
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社会保険労務士2名
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ハラスメントに関する相談が増えている。
特にパワハラやモラハラについての相談が多い。
ハラスメントといえば、一昔前にはセクハラが殆どであったが、近年職場にお
ける上司の注意に対してパワハラと主張をする労働者が増えている。
パワハラとはいったい何であろうか。
この点を検討したいと思う。
2.ハラスメントの定義
ハラスメントとは、他者の人格を傷つける行為であり、人格権の侵害行為である。
性的要素を伴うものがセクシャルハラスメントである。
パワーハラスメントとモラルハラスメントについての明確な区分は出来ないが、
上司の優越的な地位を利用して性的要素を伴わない人格権の侵害行為がパワーハ
ラスメントであり、それ以外の、性的要素を伴わない人格権の侵害行為がモラル
ハラスメントと区分して考えるとわかりやすいと思う。
しかし実務的には、この区分は意味が無く、パワハラであろうとモラハラであろ
うと同様の対策が必要である。
3.ハラスメントの違法性判断基準とその対策
(1)ハラスメントの違法性判断基準
ハラスメントの違法性は、被害者の主観的な感情を基準に判断される者ではなく、
両当事者の職務上の地位・関係、行為の場所・時間・態様、被害者の対応等諸般
の事情を考慮して、行為が社会通念上許容される限度を超え、あるいは、社会的
相当性を超えると判断されるときに不法行為が成立する(「金沢セクハラ事件」
名古屋高金沢支判平成8年10月30日労判707号37頁)とされている。
被害者の一方的な主張だけでは成立しないのである。
(2)対策
事前対策は後述するとして、ハラスメントの申告が労働者や同僚からあったとき
や上司がそれに気づいた際には直ちに関係者からの事情聴取を行う必要がある。
違法性の判断基準の項で述べたが、ハラスメントは「被害者の主観」で判断する
べきものではない。
まず事実を正確に把握する為に両当事者やその関係者からの事情聴取が必要であ
る。
その上で、その事実に基づいて使用者がそのハラスメントについてどの様にする
のかを判断する必要がある。
まずは、事実が何かである。
(3)優越的地位を利用したハラスメント
優越的な地位を利用してハラスメントを行った場合には、ハラスメントと認定さ
れやすい。
例えそれが冗談であったとしても、「相手が上司であることを認識せざるを得な
い状況下での上司の各発言は、冗談とみられるものも含まれているとはいえ、部
下を困惑させ、その就業環境を著しく害するものであったといわざるを得ない」
として、部下を食事に誘ったり、恋人との性的な関係を答う様なメールを送った
上司に対してその違法性を肯定した。(F製薬事件東京地判平成12年8月29
日判時1744号137頁)
(4)優越的な地位を利用していないハラスメント
優越的な地位の利用をしていないハラスメントについては、通常の不法行為と同
様の基準で判断される。
よって地位の利用と比較すれば、重度な不法行為でなければ成立しない。
4.上司の叱責とパワーハラスメント
最近増えている相談であり、経営者も興味のある分野であろう。
前述のとおり、ハラスメントとは、その被害者の主観のみで判断されるものでは
ない。
また、上司の叱責についても、厳しく叱責することだけをもってハラスメントと
判断される事はない。
叱責の経緯や内容で判断されるのである。
部下を叱責することは上司の職務である。
しかしその叱責の方法が、部下の人格権を侵害する言動が含まれていればハラス
メントとされるケースがある。
「馬鹿」からはじまり、「この職場にいる意味がない」「不要だ」という趣旨の
発言は慎むべきであろう。
叱責の目的は教育であり、業務を円滑に進められないことの不満を部下にぶつけ
ることではない。
この点を上司はしっかりと把握して行動すべきである。
教育をやり尽くしてもなお、その能力の向上や勤務不良が直らない場合には、労
働法のルールの中でどの様にすべきか考えるのであり、叱責の程度をエスカレー
トさせて、日々怒鳴るということでは何も解決しない。
経営層の中には、日々怒鳴っていれば自ら辞めていくであろうと考えている方も
いるが、これは大きな間違いである。
問題があればそれを正面から、その労働者と話し合うことがその後の対応におい
ても効果が出てくる。
この点については、経営層は上司への教育をしっかりと行っていく必要がある。
5.使用者責任
使用者は、労働者が安全で衛生的な職場環境を整える義務がある。
これは労働契約に付随した義務であるとされており、業務災害等で使用者が問わ
れる安全配慮義務もこの考え方である。
ハラスメントが発生しないように使用者は職場環境整える義務があり、またハラ
スメントが発生した場合には、直ちに職場環境を整える義務を負っている。
3.(2)で述べた対策と併せて、日々の勤怠管理や業務のチェックをしていく
過程で、部下である労働者の健康状態や精神状態を把握していくことが事前対策
であろう。
部下を必要以上に怒鳴る上司も、何かストレスとなる要因を抱えているのかもし
れない。
中間管理層の精神状態を含めて会社がしっかりと把握していく姿勢が必要である。
この事により、通常の叱責であったにもかかわらず、パワハラと主張された場合
には速やかに対処することが出来、その経緯をリアルタイムで把握していること
により、適切な対応も出来る。
「見て見ぬふり」「面倒くさい」この気持ちが経営層にあれば、いわれのないパ
ワハラの主張がなされてしまうと考える。
本稿を参考にされて健全な職場環境の整備を行って頂きたい。
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