• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

採用面接で聞いてはいけない事項とは?

vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv
 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第37回 採用面接で聞いてはいけない事項とは?

<第49号>      平成23年2月14日(月)
vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv
発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv

こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。

新卒採用にしても、中途採用にしても
採用面接は必ず行われます。

ある時、私のよく知る某社総務部長から尋ねられました。
採用面接をした際に、聞いてはならない事項が
あるのか、と。

過去、30~40年前は職務遂行能力の可否とは関係ない
プライバシーに関する事も種々、尋ねていました。

しかし、個人情報保護法の施行とも相まって
聞いてはならない事項も明確にされてきています。

今回は、この点について考えてみます。

★☆[PR]★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
●労働社会保険諸法に基づく
 職業訓練校・セミナーの講師、新入社員等研修、法改正研修、
 社外各種相談窓口などを受け給わっております。
まずは、info@ho-wiki06.com にご一報ください。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

◆◆ 職業選択の自由と採用の自由 ◆◆

○ 日本国憲法第22条には、基本的人権の1つとして
すべての人に「職業選択の自由」を保障しています。

従って、求職者はどんな仕事を選び、どんな会社に
応募するかは、まったくの自由です。

○ 一方、採用する事業主にも、その企業の採用方針、
採用基準はそれぞれの企業が任意に決めており、

また、採用自体の可否も自由であり、
いわゆる「採用の自由」が認められております。

このことは判例でも「企業には経済活動の一環として行う
契約締結の自由があり、自己の営業のために

どのような者をどのような条件で雇うかについて・・・
原則として自由に行うことができる」と判示しています。
(「三菱樹脂事件」昭48.12.12最高裁大法廷)

○ ただし、この「採用の自由」については、
求職者の基本的人権を侵してまで認められる訳ではありません。

故に、採用選考を行うに当たっては、
求職者の基本的人権を尊重し、選考に必要な情報に限って
収集する必要があります。

◆◆ 採用面接の際に収集すべき個人情報 ◆◆
 
○ 職業安定法では、従業員の募集を行う者は、
「その業務の目的の達成に必要な範囲内」(第5条の4)で

求職者の個人情報を収集しなければならないとされています。

従って、採用面接の際に個人情報を収集する場合には、
求職者が、募集する職務の遂行に必要な適性や能力を

持っているかどうかを判断するための情報に主眼を置くようにし
必要以上にプライバシーに関わる質問は避けなければなりません。

◆◆ 面接時に収集してはいけない情報とは ◆◆

○ それでは、収集してはいけない情報とは何なのでしょうか。
職業紹介事業者等、職業安定法に関する指針(平11.11.17労告
第141号。以下「指針」という。)には、

採用選考にあっては「特別な職業上の必要性が存在すること、
その他業務の目的の達成に必要不可欠であって、

収集目的を示して本人から収集する場合を除き、
次の3点を収集してはならないと定めています。

1.社会的差別の原因となるおそれのある事項。
2.思想及び信条に関する事項。
3.労働組合への加入状況。

それぞれについて、詳しくみてみます。

1.社会的差別の原因となるおそれのある事項。
○ 指針では、社会的差別の原因となるおそれのある事項として
人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地を挙げています。

このうち、本籍や出生地に関する事項については、
いわゆる「同和地区」問題への配慮から情報収集すべきでないと
されたものです。

つまり同和地区と指定された地域では、
市民的権利と自由が住民に対しては完全に保障されていないという
差別があり、その中でも職業選択の自由、

すなわち就職の機会均等が保障されていないことが
特に重大な問題となっており、その保障のために行政指導が
行われていることを踏まえたものです。

故に、この本籍・出生地については同和地区出身者に限らず、
あえて聞くべき内容ではないと考えます。

○ また、このほか人種、民族、社会的身分、門地など、
差別的評価につながるような情報についても、
採用面接では聞かないようにする必要があります。

2.思想及び信条に関する事項。
○ 求職者の人生観、社会観、生活信条、支持政党や宗教等、
思想・信条に関わることは、本来各人の自由に属する事項です。

従って、思想・信条に関する事を直接的な採用決定の
可否の判断とすることは、

憲法第19条の「思想及び良心の自由」や同第20条の
「信教の自由」に反することになるため、

これらの点も面接の際に聞かないよう
配慮しなければなりません。

○ ただし、裁判例では次のように判示しているのもあります。
この事案は、看護婦(当時)の養成を目的とする大学医学部
付属学校の卒業生の思想・信条等を理由とする採用拒否に関し、

「思想、信条等が採否の判断基準の直接的決定的な理由である
場合には、憲法の諸規定の精神に反するといいうるが、

それらが判断基準の1つ若しくは間接の原因となっている
場合には、雇入れを拒否しても違法とはならない」と
判示しています。
(「慶応病院看護婦不採用事件」昭50.12.22東京高裁判決)

従って、企業の経営方針、組織風土等から思想・信条について
質問することがあるかも知れませんが、

その場合でも、求職者本人に趣旨を話したうえで、あくまでも
基本的人権を損なわない範囲で聴取すべきと考えます。

その際、質問の内容、言葉使い等、十分注意すべきことは
言うまでもありません。

3.労働組合活動歴等社会運動に関する事項。
○ 労働運動や学生運動、消費者運動その他の社会運動に
関する情報(活動歴等も含む)についても、
面接の際に聞かないよう配慮しなければなりません。

4.その他家族の職業や収入等に関する事項。
○ 求職者本人の適性や能力に直接、関係のない
家族構成や家族の職業・収入等についても差別的評価に

つながるおそれがあり、採用面接では無理に聞かないよう
配慮する必要があります。

◆◆ 男女雇用機会均等法による規制 ◆◆

○ 男女雇用機会均等法(以下「均等法」という。)には
労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく
均等な機会を与えなければならない」(第5条)と

定めていますが、均等法に基づく「指針」(平18.10.11
厚労省告示第614号)において、

男女で異なる取扱いをしている例として、

採用面接の際、女性に対して「結婚の予定の有無、子供が
生まれた場合の継続就労の希望の有無等、一定の事項について
女性に対してのみ質問すること」を挙げてこれを禁止しています。

従って、採用面接では女性に対して、未婚か既婚かの区別や
子供がいるかどうか、また子供が生まれた場合の

継続勤務希望の有無などについて、本人の意思に反して
聞いてはならない事項といえます。

○ また均等法施行規則で実質的に性差別なることとして
労働者の募集又は採用に関する措置であって、

労働者の身長、体重又は体力に関する事由を要件とするもの」を
挙げ、禁止しています。

従って、面接においても、男性の身長、体重や体力の有無等を
聞くことはもとより、

特に女性に対して、その容姿やスリーサイズ等に関すること、
更に性的不快感をもたせる質問も、
セクシュアルハラスメントの観点から避けるべきでしょう。

○ 最後に、採用面接において求職者の人格権を侵害するような
質問にも気をつけなければなりません。

個人情報保護法にその基本理念として、
個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に
取り扱われるべきもの」(第3条)とされています。

例えば、仕事上のトラブルやクレームなどにうまく対応できるか、
また打たれ強いか等を判断する為の1つの方法として、

面接の際に意地悪な質問をしたり、威圧的な態度を
あえて取ったりすることもあるようですが、

こうした面接の仕方は、人権侵害やパワーハラスメントと
みなされることもあるため、注意する必要があります。

○ いずれにしても、採用面接だけで自社にとって
本当に有為な人材かどうかを見極めることは
難しいことも事実といえます。

蛇足ながら、私の経験上で述べますと、
面接担当者が客観的で誠実な眼で求職者に接するとき、

相手も誠実に応えてくれるものと思います。
あたかも、鏡に映る自己自身の姿のように。

★☆★☆★☆★【ひとくち教養講座】★☆★☆★☆★
よく日本語は難しいといいます。

そこで、間違いやすい日本語について考えてみましょう。

次の文章のうち、どちらが正しいでしょうか

■A 彼はとうとう最下位転落の「憂き目」をみてしまった。
■B. 彼はとうとう最下位転落の「浮き目」をみてしまった。

答えは、編集後記で。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

~~~~~[[今日あった昔の歴史─2/14]]~~~~~
●207年の今日、愛のバレンタインデー生まれる。
 ⇒ 詳細をご覧になりたい方は
http://blog.ho-wiki06.com をクリックし
  ブログから該当日をご覧ください。
●1876年の今日、グラハム・ベルが電話の特許を出願する。
●1917年の今日、雑誌『主婦之友』創刊。
●1920年の今日、第1回「箱根駅伝」が開催される。
●1952年の今日、第6回冬季オリンピック・オスロ大会が
 開幕(2月25日まで)
●1990年の今日、ローリング・ストーンズの初来日公演が
 東京ドームでスタート。
●1996年の今日、羽生善治、将棋のタイトル7冠達成。
 
~~~~~~[[今日の主なバースデー]]~~~~~~
○清水次郎長(幕末・明治期の侠客:1820)
○岡倉天心(美術家:1863)
○ジャンヌ・カルマン(長寿世界一の仏女性=122歳:1875)
○花菱アチャコ(漫才師:1897)
○大坂志郎(俳優:1920)
○林与一(俳優:1942)
○マルシア(歌手・女優:1969)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

さて、どちらが正しいか分かりましたか?

答えは「A」です。

この文の「ウキメ」とは、つらく悲しいこと、ないし辛く
悲しい経験のことを意味しています。

「憂き」とは、つらい・せつないの意味の古語の形容詞です。
似たような語で「浮き世」という言葉がありますが、

元は、つらい事の多い世の中のことで「憂き世」と書いていたが
後に「浮き世」とも書くようになっています。

しかし、「ウキメ」を「浮き目」とは書きませんので
「憂き目」が正しい表現となります。

では、また次号でお会いしましょう。
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
★メールマガジン「経営・労務管理ビジネス用語の
         あれっ!これ、どうだった?!」
★発行責任者   小野寺 弘
★E-mail    info@ho-wiki06.com
★発行者サイト  http://www.ho-wiki06.com
★発行システム:『まぐまぐ』http://www.mag2.com/
★配信中止:http://www.mag2.com/m/0001103042.html
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

絞り込み検索!

現在22,386コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP