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ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
石下雅樹法律・
特許事務所 第64号 2011-07-05
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事務所概要
http://www.ishioroshi.com/btob/lawyer_officeb.html
弊所取扱分野紹介(英文
契約書翻訳・英語法律文書和訳)
http://www.ishioroshi.com/btob/jisseki_honyakub.html
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1 今回の判例 病院経営管理に関する書籍と職務著作
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東京地裁平成22年9月30日判決
医療・福祉経営コンサル会社X社に就職し、
取締役になったY氏
が、出版社から病院の経営管理に関する書籍の執筆の依頼を受けま
した。
Y氏は、部下である
従業員らと分担して執筆を担当しました。Y
氏がX社を
退職後、当該書籍Aが出版されました。
これに対し、X社が、書籍AがX社の職務上作成されたものであ
るとして、また、
従業員らが執筆した部分の著作物の著作権がX社
に帰属するとして、Y氏に対し、書籍Aの出版、販売及び頒布の差
止めと廃棄、
損害賠償を求めました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2 裁判所の判断
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
裁判所は以下のように判断し、X社の請求を認めませんでした。
(1)書籍Aの執筆は、Y氏個人に対して依頼されたものであり、
各執筆担当
従業員がY氏からの個人的な依頼に基づき執筆を行った
ものであると認定し、書籍Aの執筆過程で作成された著作物は、X
社の発意に基づき職務上作成されたものであるということはできな
い。
(2)したがって、書籍Aに含まれる著作物はX社の職務著作とは
いえず、X社に著作権は帰属しない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3 解説
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(1)職務著作とは
通常、ある著作物の著作者になるのは、その著作物について現実
に創作活動を行った個人です。
しかし、会社(
法人)等の職員がその職務上著作物を創作する場
合があります(例:会社の
従業員が製品マニュアルを作成する。新
聞記者が新聞記事を執筆するなど)。このような場合に、会社にそ
の著作権が帰属させないと不都合なことが多くなります。
そこで、著作権法は、一定の要件を全て満たす場合、会社などの
法人が著作者になる旨を定めています(著作権法15条)。
(2)職務著作の要件
著作権法が定める一定の要件は以下のものです。
a その著作物が、当該
法人や
雇用者の発意に基づくものである
こと
b
法人等の業務に従事する者が、職務上創作したこと
c 公表するときには、
法人等の名義で公表されること
d
契約や
就業規則に別段の定め(例えば
従業員を著作者とする
定め等)がないこと
以上のとおり、職務著作が認められる要件は少なくありませんの
で、自社で何かの著作物を作成する場合、上記要件を意識した運用
が必要となってきます。
例えば、前記bの要件についていえば、
使用者と作成者とのあい
だに
雇用関係があること、または、実質的にみて、
法人等の内部に
おいて従業者として従事していると認められる場合があることをい
います。それで、
雇用関係のない外部の者が
請負契約により著作物
を作成した場合には、職務著作は適用されません。したがって、請
負
契約等で第三者に著作物の作成を依頼する場合、
契約書に著作権
の移転を明示する必要があるわけです。
なお、職務著作の要件に関する個々の論点は、今後都度取り上げ
ていきたいと思います。
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本マガジンの無断複製、転載はご遠慮ください。
ただし、本マガジンの内容を社内研修用資料等に使用したいといっ
たお申出については、弊所を出典として明示するなどの条件で、原
則として無償でお受けしています。この場合、遠慮なく下記のアド
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【編集発行】石下雅樹法律・
特許事務所
〒220-0011 神奈川県横浜市西区高島2-10-13
横浜東口ビル4階
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顧問料)についての詳細
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医療・福祉経営コンサル会社X社に就職し、取締役になったY氏
が、出版社から病院の経営管理に関する書籍の執筆の依頼を受けま
した。
Y氏は、部下である従業員らと分担して執筆を担当しました。Y
氏がX社を退職後、当該書籍Aが出版されました。
これに対し、X社が、書籍AがX社の職務上作成されたものであ
るとして、また、従業員らが執筆した部分の著作物の著作権がX社
に帰属するとして、Y氏に対し、書籍Aの出版、販売及び頒布の差
止めと廃棄、損害賠償を求めました。
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2 裁判所の判断
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裁判所は以下のように判断し、X社の請求を認めませんでした。
(1)書籍Aの執筆は、Y氏個人に対して依頼されたものであり、
各執筆担当従業員がY氏からの個人的な依頼に基づき執筆を行った
ものであると認定し、書籍Aの執筆過程で作成された著作物は、X
社の発意に基づき職務上作成されたものであるということはできな
い。
(2)したがって、書籍Aに含まれる著作物はX社の職務著作とは
いえず、X社に著作権は帰属しない。
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3 解説
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(1)職務著作とは
通常、ある著作物の著作者になるのは、その著作物について現実
に創作活動を行った個人です。
しかし、会社(法人)等の職員がその職務上著作物を創作する場
合があります(例:会社の従業員が製品マニュアルを作成する。新
聞記者が新聞記事を執筆するなど)。このような場合に、会社にそ
の著作権が帰属させないと不都合なことが多くなります。
そこで、著作権法は、一定の要件を全て満たす場合、会社などの
法人が著作者になる旨を定めています(著作権法15条)。
(2)職務著作の要件
著作権法が定める一定の要件は以下のものです。
a その著作物が、当該法人や雇用者の発意に基づくものである
こと
b 法人等の業務に従事する者が、職務上創作したこと
c 公表するときには、法人等の名義で公表されること
d 契約や就業規則に別段の定め(例えば従業員を著作者とする
定め等)がないこと
以上のとおり、職務著作が認められる要件は少なくありませんの
で、自社で何かの著作物を作成する場合、上記要件を意識した運用
が必要となってきます。
例えば、前記bの要件についていえば、使用者と作成者とのあい
だに雇用関係があること、または、実質的にみて、法人等の内部に
おいて従業者として従事していると認められる場合があることをい
います。それで、雇用関係のない外部の者が請負契約により著作物
を作成した場合には、職務著作は適用されません。したがって、請
負契約等で第三者に著作物の作成を依頼する場合、契約書に著作権
の移転を明示する必要があるわけです。
なお、職務著作の要件に関する個々の論点は、今後都度取り上げ
ていきたいと思います。
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