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市場原理主義が高まってきている

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経営テクノ研究所
2013年9月2日 第1・3週月曜日発行
発行人:舘 義之http://www9.plala.or.jp/keiei-techno/
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★★経営のパートナー★★経営学で企業を再生する
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<目次>
★市場原理主義が高まってきている
★ちよっと苦言:創業は易(やす)く守成は難(かた)し
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★市場原理主義が高まってきている
 経済大国にのし上がった日本の成長の秘訣は、「終身雇用」「年功序列型
賃金と昇進」「労使協調の労働組合」の三本柱にありました。きわめて同
質性の高い日本の社会に合致したやり方が、高度成長を果たすまで、うまく
機能してきたといえます。

 第二次大戦後、何もない焼け野原から再スタートを切った日本は、欧米先
進国に追いつき追い越せで一目散に突っ走ってきました。高品質の商品を
“大量に”しかも“安く”作るために、個性を発揮するより、集団の結束を
優先してきました。

 その特徴は稟議や根回しなどによる意思決定、株式持合い、企業グループ
や系列、メインバンク制といった内容で構成されてきたのです。そして、そ
れらを推進するために必要となったのが、株式、土地の含み益とする企業資
産でした。

 ところが、バブル経済の時期には、とどまるところを知らない高騰を見せ
た株価・地価が、バブル崩壊を迎えて一転大暴落しました。当然、企業の含
み益は大幅に減少し、日本的経営を維持する体力は、見る見る衰えていった
のです。

 日本的経営は、バブル崩壊後、企業も個人も取り巻いていた環境が一変し
てしまいました。本業をさしおいて、土地や株の投機に熱を上げていた企業
は一転して経営危機を迎えることになりました。個人も年功序列の基盤が崩
れて出向、早期退職、新卒・中途採用の削減、臨時工・パートタイマーの解
雇などの人件費削減いったリストラが経営の中心となってきました。

 年功とか経験に少しも尊敬を払ってくれなくなってきたばかりか、むしろ
年功と経験を悪の根源とみなすようになってきたのです。従来の集団主義や
もたれ合い構造のままでは、世界に通用しない時代になってきたということ
で、日本社会は、能力や実績重視の「市場原理主義」に向かって突進を始め
ました。

 市場原理主義は、企業や個人に対して「勝ち組」と「負け組」との二つ
に区分し、従来と違って弱者が弱者として生き残れなくなってきたのです。
つまり、保護や規制の緩和によって弱者がその中に逃げ込めなくなくなって
きました。  

 この市場原理主義は不確定の要素が多すぎます。5年後、10年後の自分
の存在がどうなっているのか、現在、勤務している企業がどのように変化し
ているのか、未来に対して確たる人生設計を行うことができません。

 こういった不安の中で企業も個人も、どのように対応していけばよいのか、
新しい生きがいや価値観を形づくることになってきたことは事実です。

 これから述べる内容がそういった意味でその発想の道しるべになれば幸い
です。
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★ちよっと苦言:創業は易(やす)く守成は難(かた)し
 「創業」は仕事をはじめること、「守勢」は成業を保守することで、仕事
をはじめることにより、その事業を衰えさせぬように維持することは一層む
ずかしいという意味です。

 事業をおこすときには希望にもえているので苦労にも堪え困難にもうちか
っていけますが、その事業を衰えぬように維持することは創業よりむずかし
いことです。事業している者に対して、事業が軌道にのると、とかく油断し
て心がおごり、ぜいたくになりがちだから気をつけるようにと戒める言葉な
のです。

 唐書(とうじょ)によると、唐の太宗(たいそう)の時代には天下がよく
治まりましたが、それは皇帝(こうてい)がぜいたくをいましめ、賢臣を用
いたからです。

 あるとき太宗が「創業と守成はとはいずれが難きや」とたずねたら、大臣
の房玄齢(ぼうげんれい)は群雄と戦ってこれを攻め破るのだから創業はむ
ずかしいと答え、秘書監長魏徴(ぎちよう)は天下を得たのちは心がおごり、
ぜいたくになり、国はそれがもとで衰微するものだから守成のほうがむずか
しいと答えました。

1.成業の衰退は放漫な経営態度が基因
 誰しも「自惚れ」のないものはありません。なかんずく、経営者は、人一
倍自惚れを持っているものです。この自惚れが、企業内に向けられた場合は、
己の我に固執して、自分を喜ばせてくれる人間を好きになります。そして、
苦言を呈する人間を遠ざけてしまいます。

 この依怙ひいきの感情が労使間の不調という害毒を流すことになり、誤っ
人事は経営をゆがめ経営者への不振をかもし出すことになります。

 では、企業外に向けられた場合はどうでしょうか。自己をより高く評価さ
せたい欲望にそそのかされて、公職や名誉職にかり立てられることが多くな
ります。

 名誉心を満足させようとする行動は、より多くの時間やエネルギーを、企
業経営から削ることになり、経営の指揮を怠ることになっていきます。

 事業の衰退には、いろいろな型がありますが、この経営の散漫な経営態度
が基因をなしているケースがあまりにも多く見受けられます。成業発展への
全力投球こそが問題解決のすべてであると知るべきです。 

 では、成業をより発展させるために欠かせない基本となる要素はなんでし
ょえか。それは、「顧客」と「製品」の二つであり、これが成業の命とも言
うべき基本的エレメントなのです。

2.顧客とは何か
 まず、「われわれの事業とは何か」ということを問題にしなければなりま
せん。われわれの事業とは何かを知るためには、われわれの顧客とは誰か、
顧客はどこにいるか、顧客はどんな買い方をするか、顧客を獲得するにはど
うしたらよいか、といった問題を解決しなければならないのです。

 真の顧客とは、単に形だけ製品を購入する相手をいうのではなく、その製
品の「最終需要を左右する相手先」をいいます。真の顧客とは、現在の顧客
のほかに、将来の顧客、つまり潜在的な顧客をも含んでいます。ここでいう
最終需要とは、真に自己の資力でお金を払いうる相手または真に製品の「満
足性」を求める相手のことをいうのです。

 生産財を扱うメーカーの場合は、その製品を購入する窓口である資材部が
一見お客のようにみえるがそうではありません。それを部品として組立て、
当社の製品として完成させる上で十分かどうかを検討し得る力をもつ技術部
の技術者か、あるいは製造現場の技術者がウンといわねば取引が成立しませ
ん。となれば、その相手となる自社の担当者は、単なる営業部門のセールス
マンではなく、こちらも技術者であることが必要となります。

 消費財を扱うメーカーの場合も、この意味での真の顧客が誰であるかを探
すことは容易ではありません。たとえば、地方顧客か全国顧客か、低所得層
か高所得層か、男か女か、老人か子供かという具合です。

 この相手とする顧客の違いによって、製品と顧客を結ぶ架け橋(マーケテ
ィング・ミックス)の種類も変える必要があるからです。

 この問題を取上げなかったこと、あるいは少なくとも明確な形で取上げな
かったり、慎重に検討しなかったことが、多くの場合、事業失敗の大きな原
因になっています。この問題は、事業の創業期や危機の場合だけでなく、む
しろ事業が繁栄している時にこそ、慎重に検討されなければならないのです。
というのは、この問題の提起を怠った結果、事業が急速に衰退することもあ
りうるからです。

3.製品とは何か
 次に、「顧客にとって価値あるものはなにか」「顧客は何を求めて製品を
買うのか」ということを問題にしなければなりません。事業を発展させる秘
訣、それは自社で売っている「製品」を知ることです。

 製品は企業の生命であり、その製品の優劣によって、企業の運命が決まる
といっても過言ではありません。製品こそ顧客をひきつけ、成業を繁栄に導
く源です。

 ところで、屋台店でオデンを売っているおやじさんの製品はオデンではな
いのです。駅前で売っている新聞売りのおばさんの製品も新聞ではないので
す。それは、なぜでしょうか。

 製品とはお客がこれを買ってくれなければ製品とはいえません。屋台屋の
おやじさんが、もし客の一人も通らない道でオデンを売っていてもオデンは
売れないでしょう。

 オデンが製品であるためには、味のうまい、色合のよい、形恰好のよいオ
デンであるだけでは駄目であって、これに何かがプラスされなければなりま
せん。そのプラスとは屋台を人の多く通る、しかもオデンを好みそうな人の
多い場所にもっていくということです。

 新聞売りのおばさんも、駅前という場所がプラスされておばさんの新聞が
製品になるのです。ここでいう製品とは、扱う製品の物理的形状、色彩、機
構等々をもった物そのものだけをさすのではないということです。

 製品とは「顧客に買われている満足性」であるということができます。自
社の製品が現在顧客に買われているのは、たとえば、次のような満足性のど
れなのでしょうか。
●技術がよいからか。
●価格が安いからか。
●納期を守るからか。
●大量の供給ができるからか。
●きめの細かなサービスができるからか。
●嫌われる仕事を引き受けるためか。

 要するに自社がたとえ細々でも現在続けられているとすれば、必ずその買
われているものは何か(満足性)があるからなすのです。それを早く的確に
みつけ、それを育てていくことが、事業により豊かな繁栄を約束するはずで
す。

 今までの二つは、事業の現在に限られていたが、事業の将来についても考
えて見なければなりません。それは「われわれの事業は将来どうなるだろう
か」という問題です。

4.顧客と製品の移り変りを知る
 さらに進んで、「われわれの事業はこれでよいか、われわれの仕事をすえ
るべきではなかろうか」という問題をも考えなければなりません。それは、
顧客と製品の移り変りを知るということです。

 ある意味で顧客層というものは変わるということが考えられます。昔は、
女子供の消費欲を満足させるような商売をすればまず間違いはありませんで
した。しかし、今では老人でもおしゃれをするし、男性用の化粧品もばかに
ならない時代です。

 となれば、顧客と製品を結ぶ諸々の架け橋も、これに伴って変えなければ
ならないはずです。ところが、一度架けた橋はいつまでも通れるものとして
何の変更改修も施さずにいる会社がこれまた多いのです。
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★舘 義之のポジション
 人事・IE・VE・マーケティングコンサルタント
 人事・IE、VE・マーケティングの3輪で企業体質改善の仕組みを構築
して、厳しい経営環境の中で勝ち残っていく会社にすることを第一に支援し
ます。
舘 義之への問い合わせstudy@agate.plala.or.jp
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